日記
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2009年10月1日(木) 姉のまね
 べびプリ虹子(10/1)。
 ちょうど1年前にも、栗の歌を口ずさんでいましたね。ほんと大好物なんだなぁ。同じ話題を2年続けるとなると、ネタ切れなのかと心配になる向きもありそうですが、そこは先生ぬかりありません。
 まず、栗以外の秋の味覚が列挙されていること。柿、蜜柑、芋、葡萄、茸、うどん。……うどん? 鍋のシメに入れるからでしょうか。夏は冷や麦や素麺などの細い麺がもっぱらなので、太いうどんが食卓に登場すると、ああ秋なんだな、と感じるのかもしれません。ちべたくないから、ふーふーして食べようね。
 次に、歌が進歩していること。もちろん柿その他が挙げられているためでもあるのですが、ここで真璃が作ったパウダールームの手洗い・うがい歌を思い出すのがぼく。

>だいじなことは
>てあらい、うがいっ

>あーきのたべもの、
くりっ/かきっ/みーかんっ

 ね。なんとなく、真璃の歌の旋律(おそらくそれも、幼稚園などで覚えた歌や昨冬の歌をもとにしてるのでしょうけど)を、虹子なりに真似してもじってみた感じがするのです。真璃があれ以降、長男にも年少さんにも毎日歌ってあげてるとすれば、みんな覚えてアレンジし始めてもおかしくないんじゃないですかね。小説版にもあったように、まったく思いつきのメロディである可能性も大きいのですが、

>おにいちゃんは――
>ちゃーんとおじょうずに
>食べられるかしら?
>
>クフフフフ
>
>こんど、にじこが
>見ててあげますからね!

 この結びを読むと、マリーの影響があるのでは、と思いたくなるのです。虹子が青空にお世話したがるのはいつものことだけど、長男にこういうこと言うのは昨年5月以来なんですよね。
2009年10月2日(金) 明日はどっちだ
 べびプリ星花(10/2)。
 明日の土曜日はみんなでお出かけですか、いいですねー。そこでまず大切なのがおやつ。マリーは3種類、吹雪は1種類を主張。それぞれ、3種類くらいないと味気ない/カロリー消費量、と個性が出てて面白い。ミリメシのエナジーバーとかカロリーめちゃ高くていいよ。
 そんな議論もお出かけ前の楽しみの一部なのかもしれませんが、きりがないのも困りもの。そこで綿雪の「ツルの一声」ですか。理屈は間をとって、という大岡裁き。立夏・夕凪裁きなら、3種類持ってって吹雪の2種類は自分が責任をもって始末、とかなのかしら。

>2人ともユキちゃんには
>弱いんだから。

 うん、そんな雰囲気ですね。ユキの笑顔でほわっと丸められる、それが心地よい。

>ま、氷柱お姉ちゃんが
>ユキちゃんの後ろにいたせいも
>たぶんあるかも知れないけど――

>……

 うん……氷の微笑で威圧される、それもまぁ……。
 さて、ともかくお出かけですね。空模様は心配だけど、みんな一緒ならいつだって楽しい一日のはず。で、いったいどこへ行くのでしょうか星花さん。……「幕張まで」? 電車に乗るというのは麗もさぞかし嬉しいことと思いますが……。
 「イベント」ってつまりこれ? カロリーかなり消費しそうな気がしますが、はてさて。
2009年10月3日(土) いい漫画
 最近、かがみさんとこのジャンプ感想を読んでるうちに『ONE PIECE』をリアルタイムで追いかけたくなり、週刊ジャンプを毎週購入してるのですが。他の漫画は別にいいや、とほとんど真面目に開きもしなかったのだけど、感想の中でふと『賢い犬リリエンタール』が絶賛されてるのに注意が向きまして。確認してみたら、ああこれはいい漫画……。
 登場人物が全員好ましくて物語の展開が穏やかで温かくて不思議、ということはすでに指摘されてることで、ぼくもまったく同感です。そして、シスプリファンのぼくにとっては、例えば第3話で兄がリリエンタールを叱ったときの台詞が、すんごくじーんとくるものでした。

兄「なんですぐぼくに言わないんだ
  次からは困ったらすぐぼくに言うんだぞ」

 このあとに続く、委縮し困惑してるリリエンタールとの対話もじつにいいのですが、ともかくさっきの台詞。これ、アニメ版シスプリ第22話で、航が四葉と花穂を叱ったときの言葉を思い起こさせるのです。

航「隠し事しちゃだめだよ。
  はっきり言ってくれれば、ぼくやみんなだって心配しなかったんだから」

 あのとき航は、初めてはっきり兄として妹達を叱りました。それは航の成長の証であり、逸脱しかけた妹達をぐいと引き戻す行為だったわけです。リリエンタールに向けた兄の言葉も、隠し事せずに自分を兄として頼れ、と言いきってるんですよね。それは、犬であるリリエンタールを、年下の家族として真正面から受け入れているということ。いい兄貴だよね、この人。そういえばべびプリ小説版第1巻でも、隠し事が一つの焦点となっていました。
2009年10月4日(日) 一家でおしごと
 べびプリ。一昨日、まさか電撃のイベントに出かけてるんじゃないよね、と書いた御一行ですが。昨日そして今日と、「ただいまイベント出張中☆」のイラストが……。霧賀先生、ああもう素晴らしい。
 昨日の絵では、メインのヒカルとその頭にのっかってる青空が赤。わきを固める氷柱と立夏が青と黄という、なんだか特撮ヒーローかプリキュアかという雰囲気ですね。……はっ、キュウビの前に四葉のクローバーが……! するとキュウビとフレディは、タルトとシフォン……!?(カエルもいるけど)つかフレディ久しぶりやね。
 で、今日の絵では、昨日の面々に海晴(緑)・霙(黒)・あさひが加わって、キュウビとフレディが入れ替わりに退場。なるほど、新しいチームはレッド・ブルー・イエロー・グリーン・ブラック、それにあさひがマスコット。ちなみにリーダーのレッドは青空。ヒカルは何かというと、ロボです。頭に搭乗したレッドが操縦するのだ。すすめーがおー。『ねむ荘』さんで描かれてた光景ですね。

 朝プリキュア。インフィニティという名の、ハイライト消えたシフォンを取り戻せ。もちろんハイライトも戻せ。
 呑気な長老もやってきて、隠されていた過去を知る一同。しかし長老、人ん家のお茶を勝手に飲んで「まずい」とは(笑)。ともあれシフォンを探さねばならないわけですが、ラビリンスの方が情報網には長けており、たちまち発見おもちゃの国に。映画の宣伝ですね分かります。ウエスターとサウラーのコンビが意外とよくて大喜び。なんといっても、こっちの世界に戻されてからラブ達と対決するとき、プリキュアは個々人ごとの変身なのに、敵の二人はお互いの拳をくっつけて「スイッチオーバー」ですよ。あれー? 二人の手が触れて変身って、むしろこっちが元祖プリキュアっぽい?
 なんだかんだでシフォン復活でめでたしめでたし。でも、ついに最後の幹部ノーザが送り込まれるみたいですね。強そうだ悪そうだ巨乳だ。せつなとの因縁対決もあるんでしょうか。来年もこの番組続くんでしょうか。心配です。
2009年10月5日(月) べびプリ連結部
 ついったーでも書いてたことですが。
 べびプリの新旧部屋わりに即したグループ内(海晴・霙、春風・ヒカル・蛍、立夏・小雨・麗、星花・夕凪・吹雪、幼児さんたち)でお互い仲がいいのは当然として。これらグループ間の連結部はどうだろう、という。
 蛍―氷柱は、ちょうど11月号で描かれましたね。自慢の妹として可愛がってたさまが微笑ましいです。しかしまた、初年度の公式日記における相互言及数をみるとこのペアは堂々の第4位でしたので、以前からこの連結部はずっと表現されてきてたわけです。今月号は、そのことにはっきり気づかせてくれる機会でした。それにしてもああホタホタ。
 麗―星花は小説版第2巻で、「その趣味の方向性で気が合う傾向があるらしい」(p.164)と説明されてます。が、26さんから反応いただいたように、これ以外に明確な描写はとくになく、相互言及数もわずかなものでした。今後のポイントかもしれません。
 吹雪―綿雪―真璃は、こないだの公式日記で星花の口から語られました。また、本誌連載でも真璃が吹雪に配慮している様子が描かれてましたし、小説版第1巻では「一緒にこの部屋で過ごすことの多い」(p.86)吹雪と綿雪が語らってましたね。このへんは常日頃から安定してます。
 そうなると、残るは霙―春風のラインでしょうか。このつなぎ目は描写が本当に薄く、相互言及数もわずか3。一緒にいる場面はけっこう多いんですが、直接会話してないんですよねー。今後に期待です。

 べびプリ観月(10/5)。
 ありゃー、担当のさくらが寝ちゃいましたか。この日記が始まった頃の、ヒカル寝ちゃって立夏が代理の日を思い出します。さすがに幼児さんでは、こんな時間なら就寝も当然。って観月はまだ起きてるわけですけれど。
 その観月も、日記担当を楽しみにしていた妹のことを気遣っていて、これまた当たり前のこととはいえほっこりします。観月の分も、これで1回分と数えずに次またお願いします海晴姉さん。
 さて、観月が代筆してくれたさくらの、寝言。「さくらやさん」というのがいいなぁ。青空がさかなやさんごっこで「そらさかな」を売ったりしてましたが、さくらも夢の中でお店屋さん。しかし、すっかり「見捨てないでねお兄ちゃま」状態ですねこれ。
2009年10月6日(火) ふれーふれー
 べびプリさくら(10/6)。
 今日はちゃんとさくらが担当できましたね、よかったよかった。日記の内容はちと心配でもあるのですが。のっけから謝ってるのは、昨晩寝ちゃったことへの反省であり、様子を想像しても微笑ましいんですけども。
 運動会の練習を頑張ったことがとても嬉しそうで、

>さくら、かけっこ
>昨日は初めて
>ころばなかったの!

 これは幼稚園の先生はもちろん、長男もいっぱい褒めてあげたいところ。昨日のうちに、帰宅したさくらが大慌てで報告していたとすれば、そのとき長男たちが反応してくれたことでしょう。しかし、もしも長男の帰宅が遅く、観月たち以外にはさくらが伝えられなかったとすれば。それはとても残念だろうし、寝てしまった自分のことが悔しくてかなしくてたまらないでしょう。夕ご飯を食べられなかったことよりも、ずっと、ずっと。

>お兄ちゃん――
>さくらきのうはせっかく
>かけっこ、がんばれたのに
>日記がねちゃって、     (←引用者注:ここ、さくら的表現。)
>やっぱり――
>
>悪い子になっちゃった。

 そう、ここなんですよね。さくらは自信のない子。人並みのことが難しくて、焦って失敗してどんどん落ち込んでしまいがちな子。それでも姉のマリー達を見倣おうとしたり、長男の参入後は勇気を
出せるようになったりと、成長のさまを示してもきたのですが。今回、努力の成果を獲得したはずなのに、それを最後の最後で自ら台無しにしてしまったということが、やはり自分は駄目な子なのかと痛感させられて辛すぎるのです。それは、長男に「悪い子」と思われないだろうかという、夢の中でさえ問い続けてしまう不安をいっそうかきたててしまいます。
 元々さくらは、虹子たち下の妹に母親をとられてしまい、代わりの保護者を欲していた甘えんぼという設定でした。自分の居場所がなくなること、自分が役に立たない子・悪い子として否定されてしまうこと。そういった不安は、頑張って成果を示して褒めてもらうことで、解消されるはずでした。しかし、その努力のサイクルが一度こうして止まってしまうと、とたんに逆行を始めて自信喪失と不安増大のスパイラルに陥っていくという。

>お兄ちゃんもやっぱりさくらのこと
>悪い子だと思う?
>
>思わない?
>
>本当?
>
>ホントに本当?
>
>そしたら――
>さくらのこと、
>
>いる?

 この結びの問いかけを読むと、涙が滲んできてしまいます。それはただ憐憫とかいったものじゃなくて、長男もまた、とくに小説版でははっきりと描かれているように、同じ不安に囚われてしまいやすいから。後からやってきた長男、しかしそれは本当に家族の一員なのか。きょうだいの不可欠な一人として、唯一の男の子として、長男というリーダーとして、固有の務めを果たせるのか。頑張ってみたけれど失敗したとき、自分が姉妹のためにやろうとしてできなかったことをヒカルや他の姉妹がいつもどおりやってのけたとき、自分が役立たずで情けなくなる。それは、さくらと同じ気持ちです。
 だから、長男は、さくらの問いかけに笑顔でうなずき答えるとして。そのうえで長男もまた、さくらに「お兄ちゃんのこと、いる?」と、だっこしながら訊ねてみましょうか。失敗したことを打ち明けてみましょうか。さくらは、長男からのこの問いかけに不安を覚えるかもしれません。いなくなっちゃやだ、あるいはかわいそう、と泣いてしまうかもしれません。でも、さくらが「お兄ちゃん、いて」と言ってくれることがどんなに嬉しいのかを、さくらに伝えてほしい。こうしてだっこしてることがどんなに幸せでどんなに手放したくないかを、繰り返し語りかけてほしい。そして昨晩食べられなかったさくらの分のデザートを冷蔵庫から取り出して、さくらの昨日の頑張りのお祝いをしてほしい。
 そうして、長男とさくらがそれぞれの自信のなさを措いて、お互いの頑張りを真っ直ぐ応援できるようになったなら。それは、アニメ版シスプリ第16話で航と花穂が辿りついた場所に、長男とさくらが大きな一歩を踏み出したという
ことです。
2009年10月7日(水) まかしとき
 べびプリ海晴(10/7)。
 軽口をたたきながらも、前回はインフルエンザ、今回は台風と、対策を立てる問題についてちゃんと指示を出すのが長女の貫録です。おお、そういえばぼくもまだ寝間着が夏物でした。どうりで頭が痛いと思った(すでに初期症状)。「一緒の寝室だったら」云々は平常運航のからかいですが、むしろ海晴姉さんこそ「元気なねぞう」だったりしたらたまらんですね。くかーって。
 しかし、「そっとくちびるも/奪ってみちゃったり」なんていう話のときに、春風さんの名前は当然出てくるにせよ危険極まりないので勘弁してください。
 で、問題の台風。うちもどうなることかと心配なんですけど、このきょうだいの家もいくら裕福とはいえ大変です。しかも、「お天気お姉さん」こそ仕事の忙しいとき。本来リーダーシップを発揮すべき長女の不在を補うのは、これはもう長男の役目に決まっています。

>だから、お願い!
>今日と明日の2日間――
>
>この強力な台風から
>家族を守るのはキミの役目よ!!

 おお。おおお。
 なんか武者震いが、ってのは大げさに思えるかもしれませんが、これは本当に気合の入る言葉です。ぼくはべびプリ公式日記を読むにあたり、ずっと「長男と長女のパートナーシップ」や「長男の固有の役割」にこだわってきました。海晴の担当日記は、毎回この視点から長男の位置づけとその変化を考える手がかりとなっていたのですが、今回は、海晴の口からストレートに「家族を守る」のが「キミの役目」と語られたのです。これで勇み立たない長男がおりましょうか、この2日間は頼りになるところを存分に見せつけるつもりで頑張ってもらいたいものです。……とはいえ、どうして指名を受けたかといえば、

>霙ちゃんはイマイチ当てにならないし、
>春風ちゃんは力仕事は向かないし、
>ヒカルちゃんは――
>意外とパニクるタイプだから。

という消去法の結果なのではありますけれど。むーん。
 しかしこの評価も、海晴ならではだけど酷いですね(笑)。春風は蛍ともども仕方ないとして、ヒカルはそうか土壇場に弱いか。吹雪が倒れたときも、どっしり構えて対応できてたのは霙姉さんだったんだよね。……でもその霙姉さんについても、「イマイチ当てにならない」って……。どっしり構えるのはいいけど拙速を要するときにそれでは困るということなのか、それとも雨漏りの修理などが「ヘタクソなんだもん!」(by真璃)ということなのか。てきとーに板を打ちつけられても、そりゃ意味がないですし。
 「土嚢」まで用意してあるってのもすごいですね。それじゃさっそく見回りして、危ない箇所を片付けていきますか。相棒はフレディ。
2009年10月8日(木) のち晴れ
 べびプリ綿雪(10/8)。
 台風一過ということで、皆様ご無事でしょうか。ぼくは元気でした(過去形)
 さて、ユキです。首都圏は昨晩から相当の暴風雨だったみたいですね、普通の雷雨でもマリー達ちっちゃい子は長男やヒカルの布団に泣いて潜るくらいですから、みんなさぞかし怖かったことでしょう。
 ユキも思い出すだけで「息が苦しくなって」、っていかんいかーん。思い出すのだめぇ。長男と一緒にいたことの嬉しい記憶だけ残しておくのです。
 しかし海晴姉さんに姉妹を託されていた長男、

>夜中の大きな雨の音で
>起きちゃったユキのこと、
>とってもやさしく
>ギュってしてくれて――

 よぉやった! 「ニコニコの笑顔」の数だけお手々をぱち。涙が引っ込んでしまうほど安心させられたというのは、もう素晴らしいの一言です。とくに今日ユキが綴ってくれたように、夜の嵐を自分の病気に重ねて怖がっていたその否定的な思考を、長男の温もりが台風以上の勢いで吹き飛ばしてくれたのであれば。胸のドキドキも違う意味を得て、もうこんな夜も怖くない。風よ吹け吹け嵐よほえろ。いや、そこまで喜ばずともいいのですけれど。
 長男に守られて、ユキが安心して再び眠りについたあと、部屋の外で待っていたのは春風さんを先頭に数名。あと、氷柱がこの話を聞いていろんな意味で切歯扼腕。

 ところで、小説版第1巻で陽太郎が家を出ていったと知ったときの綿雪の心中を慮ると、たちまち泣きそうになります。
2009年10月9日(金) おすいもので十分と強がり
 べびプリ吹雪
 タイトルはいきなり危ないですが、内容は普通に秋の味覚の話です。食欲を誘う魔法のキノコ。キはキノコの以下略。
 さて、「きのこ好きな子が多い」とのことですが、日記で直接言及されたのはこないだの虹子と、昨年のバレンタインデーでの青空、他にもあったかな。そして「炊き込みごはん」好きな子も多いとなれば、

>今日の夕食は、氷柱姉の提案による
>まつたけごはんでしたが、
>みな、たいそうよく食べました

 えー。なんたるおかねもち。この人数の子供達に、まつたけごはんを満喫させるとは……。氷柱が食べたいと言ったので、長男がへそくりを否応なく供出させられたとか。いやさすがにそれは。そんな背景事情はともかくも、吹雪の「たいそう」という言い回しがなんだか可愛らしいですね。
 で、まず食べ過ぎてお腹ぽんぽこなのは虹子。にもシチューを食べすぎてましたっけ。幸い、お腹を壊しそうなほどではないようですが、このうえ「デザートのアイスミルクバー」を食べるつもりというのは、さすが霙や立夏の妹というか。でもたぶん、言いだしっぺの氷柱はもとより麗あたりもたいそう食べてる予感がします。
 ふくれたお腹でうんうん唸りながら、横になっている微笑ましい姿。そんな虹子も青空も、別にまつたけを珍重してるわけではなくて、ただ「きのこ!」ならおいしいね、という。うん、しめじやえのきやなめこもおいしいよね。というか普段ぼくの口に入るのはそういうきのこ。美味ければそれでいいんだ。

>松茸はキライではないですが、
>対費用高価という面ではどうなのか、
>はたしてそれほどの価値があるのかと
>よく考えてしまいますので――

 意図せず吹雪と同じ結論となりましたが、「知識」が「邪魔な物」という見解については、まつたけを食べられる人とそうでない人とでは微妙に違うんじゃないかな。そんな悲しみを胸に秘めた読者は、長男が氷柱から「私のおかげで食べられるんだから、がっつく前に香りをちゃんと楽しみなさいよ」などと世話を焼かれたであろうことを想像して憩うのでした。
2009年10月10日(土) さーびすさーびす
 馬鹿話。

らむだ「TVアニメをDVDで売るとき、販促特典として透過光を消すという噂があったけど」
美 森「ああ、コレクター・ユイとかあのへんの変身シーンにな」
らむだ「逆に、ちゃんと着衣してる女の子に透過光をかぶせる、というのはどうだ」
美 森「なんだそれは(笑)」
らむだ「授業中とか食卓とかごく普通の場面なのに、いきなりいかがわしくなるという」
美 森「何の意味もないな(笑)書いとけ」
2009年10月11日(日) ぷーい
 出張中につき朝プリキュアも観られず、何も書く気になれぬ日曜日。うがー。
2009年10月12日(月) 毎日なう
 この日の日記が空いてしまってたので、ついったーから適当に転載し穴埋め。

・『涼宮ハルヒの憂鬱』を観ながら、長門の有能さと冷静さと責任感に自分を重ねる氷柱。でもそのあと無意識のうちに、長男の手首を掴んであちらこちらへ引っ張り回す。答えはいつも薄い胸に

・ヒカルは家でも学校でもさらけ出せなかった本心(役割や他者による像から離れた自分)を、長男に受け止めてもらえた。氷柱もまた同じく、普段言葉に出さずにいたきょうだいへの熱い愛情と、責任感によって抑圧していた我儘を長男に語ることができた。そして両者とも、長男の存在によって自己像が揺らぐ

・天才料理少年、アリオッチ陽一。かくし味は人間の魂。人を斬るたびに「うーまーいーぞー」と叫ぶ包丁ストームブリンガー

・目を逸らし愚息を反らす水遊び

・さーて来週のサザエさんは?「カツオ、エンドレスエイト」の3本です

・「ふええ、ペテロくん、あたし…」鼻を啜りつつイエス様は独白のように呟いた。「昇天できなくなりましたぁ…」「つまりですね、こういうことです。我々は同じ受難の3日間を延々とループしているのです」(復活
2009年10月13日(火) 紺色の空
 べびプリ観月(10/13)。
 ああ、先日さくらの代理を務めた観月でしたが、この子自身の順番もちゃんとすぐ回ってきたんですね。よかったよかった。でもあんまり夜中まで起きてないように……ほとんど日付が替わる時間でしたよ日記更新。渋茶とか飲んでるからこうなるのでは。
 さて話題はどっぷり秋。衣替えといえばおそらく日本古来からの風習なのですが、観月はとくにこういうことに敏感です。でも、和風の極致のような佇まいでありながら、

>こんな時――
>洋服というものは
>無粋な様でいて――
>意外と風流なのやもしれぬ。

とはまた意外な指摘です。なるほど、「和服には半袖などない」。言われてみれば納得ですが、普段スーツ&ネクタイ姿を強制されているぼくとしては、まったく気づかない視点。和風に過剰にこだわらないというのは、ゲーム版2の春歌にも表れていた適度さでした。
 で、もひとつ言われてみればなのが、観月も幼稚園児であるということ。マリーと同じく、同級の男児たちを洟ったれと呼びながら、ここで2年目に明らかとなる衝撃の事実。

>これで、あと――
>体操服のブルマも衣替えしてくれれば、
>真冬の体操も寒くないのじゃがの。

 おお……。意外と風流やもしれぬ……。
 ふと11月号の電撃G'sを引っ張り出すと、ああっ観月がちょうちんブルマだかかぼちゃブルマだからしき紺色のそれをっ! さんざん眺めておきながらスルーしていた自分の目が呪わしい。しかし冬の最中もその格好というのは、「子どもは風の子」と言いつつ自分達は厚手のジャージを着こんでいる幼稚園の先生たちに一つ改善を求めたいところです。ちょうちんブルマをさらに遡り本来のブルマの形、そう長ズボン状の冬ヴァージョンをぜひ。……さくらが裾踏んで転んじゃいそうかしら。
2009年10月14日(水) 離さないために離れる
 べびプリ氷柱(10/14)。
 うん、今日は重要なポイントがいくつか。

 まず、氷柱から見た海晴像。「正直けっこう軽そうなのに」、きょうだいのために貴重な休日も年の一度の誕生日も笑顔で捧げてしまえる、そしてそのことを心から喜べる姉。この長女のことを、氷柱は尊敬してます。氷柱もまた海晴と同じように、このきょうだいを守ろうという意志を有し、そのために自分の能力を用いることをためらいません。そう考えると、氷柱が自らの誕生日プレゼントに鉄道博物館行きを望んだのも、海晴が代表するきょうだいのルール・制約への反発(ぼくの当時の解釈)というだけでなく、氷柱なりに長女を見倣って自分の個人的利益を供出した、ということだったのかもしれません。不器用ながらリーダーシップを発揮しようとする氷柱が、生まれながらのリーダーをこっそり真似してるという姿。

 でも、この姉の態度をそのまんま受け入れてるわけでもなくて。「海晴姉様くらい美人な/年頃の女子」が世間で普通に望むことを、まったく求めていないかのような姉。それは、たんに海晴が納得できるような男性と出会えていないというだけかもしれませんが、しかし家族イベントにこれだけ参加してれば出会いそのものも少ないわけで。あるいは海晴が長男のリーダー的成長を奨励し支援してるのは、自らの役目を長男にすっかり委ねられれば恋愛などに時間を割くことができる、という思惑もあるのでしょうか。
 それはまだ分からないけど、いまの氷柱にとって海晴は、尊敬するけど疑問を抱かざるを得ないという。すごいけど、自分が同じことできるとは思えない。

>私は――
>
>あんな風になる
>自信ないな。
>
>私はもっとワガママだから。
>
>きっと海晴姉様くらいの年になったら、
>もっと家族のことなんか気にしないで――
>行動しちゃうと思う。

 ここまで読んだとき、もしや氷柱は恋愛なるものに一歩踏み出すのかな、と思いました。本誌連載ラブバトル導入漫画でも、娘達がやがて彼氏を見つけてしまうと嘆く母親に、そんなの当たり前だと一人言い放ってましたし。
 だけど。

>もし、留学とか――
>
>……
>
>したいって言ったら。

 ……うん、それってさー。綿雪の持病を一刻も早く治せるようになるため、だよね。
 海晴に比べて自分は「ワガママ」で「家族のことなんか気にしない」と言いながら、氷柱だって大切な家族のために行動し続けている。ただ異なるのは、海晴が働きながらもきょうだいのそばに居続けているのに対して、氷柱は妹のために自分を全力で高めようとしたら、いったんきょうだいのそばを離れねばならない、ということ。氷柱自身はその覚悟をかためて踏み出せるつもりだろうけど、そりゃそう簡単に気持ちが割り切れるわけもなくて。
 でも、いざ家を飛び出すとなれば、ユキがどうこう言わずにただ自分の「ワガママ」を言い訳にして振り切るんだろうね。ああ。もう。この子は。

>ユキは――寂しがるのかな。
>
>ねぇ、下僕は――
>
>どう思う?
>
>……

 長男だって返事に窮するってば。さて読者として考えるならば、今回の氷柱が示した留学をめぐる葛藤は、シスプリの鈴凛のそれとほぼ同じ。自分の夢をかなえるために大切なきょうだいとしばらく別れる未来像。でも、その夢はそもそも、そのきょうだいと分かち合って生まれた絆の証。だから諦められなくて、だから辛い。……こうなれば、吹雪や観月に頼んでメカ氷柱や幽体氷柱を(却下)。
 そして、氷柱は綿雪のことが心配だし、綿雪に寂しがってほしくない以上に寂しがってほしい。その綿雪はといえば、寂しい気持ち以上に、独りで留学する氷柱のことを、とてもとても心配すると思います。今だって学校での様子を気遣ってるくらいだもの。
 だから、氷柱に向かって胸を張り「ユキのことは任せろ」と言うべきなのかもしれないけれど。そうして氷柱にどやされる下僕であるべきなのかもしれないけれど。氷柱から後を託された長男に、やがて綿雪が「お兄ちゃん、氷柱お姉ちゃんのそばにいてあげて」と懇願してきそうな予感がして。二人とも相手を思いやる強情さがよく似ているものだから、どうしょうもなくほろっとしてしまうのです。そもそも氷柱が留学となれば長男だって寂しいんだけど、どうしたものかなぁ。氷柱がこの相談を持ちかけたのも、長男ただ一人なんだよねきっと。

 いやー、時間の流れへの意識(予期される未来の別離への葛藤)がこんなふうにプッシュされるとは、まったく油断しておりました。2年目にこれか。やられた。
2009年10月15日(木) ふかー
 べびプリ青空(10/15)。
 昨日の氷柱のは短期留学という可能性もあるかなぁ、と思いつつの暴れ青空です。衣替えもこないだ済ませたところ、今度は秋冬用の布団を干して取り込んで、と。交換する夏布団とあわせて、居室にうず高く積まれているみたいです。これ、人数分を取り込むのも一苦労だよね……。長男が頑張ったに違いないけど、昔はヒカル達年長者が総出でなんとかしてたんでしょうか。そして全部を一気に干せる場所のあるこの家はやはりすごい。
 さて、布団の山を見れば乗っかりたくなるのが子供のサガ。

>そらのことを
>よんでるよ?
>
>のぼって、
>のぼって、
>そらちゃん、
>のぼってって(はぁと)

 うんうん、そうだねー。可愛いかわいい。相変わらず青空には特別甘いぼくですが、「えいえい、/ぴょーんっ!!」のジャンプ一発で登れてしまうのはどうなんだ1歳児。日頃カエルと友達なだけはあります。いやむしろ、ぴょんこ先生なのかしら。「そら、おふとんくにの/おしめさま!!」という表現に、おちんちんはもういいのかな、とか、お姫様はそういうことしないよね、とか突っ込みたくなるものの。

>あれ?
>
>おふとんおやま――
>
>ざぶんざぶん。
>
>おふとんうみになってきた――

 あ、揺れて崩れた……? あるいはふかふか布団に埋もれてしまたか。下にいる長男の踏ん張りどころです。とりあえず布団をちゃんと下ろして敷いてから、一緒にごろごろしましょう。もう少し寒くなると、まきまっきーの季節もやってきます。
2009年10月16日(金) かいかいむし
 べびプリあさひ(10/16)。
 ありゃ、厚めの布団に替えたら、ちょっと汗かいちゃったんですかね。あるいは普段と同じおむつ蒸れか、新製品のおむつが合わなかったのか。風呂上がりのシッカロールが足りなかったのか。赤ちゃんのお世話では、いろいろ思い悩みますね。何はともあれ、かいかいのケア。

 そして、こうして氷柱の留学話は、乳児ローテーションによって来週以降に持ち越されたのだった。こんな流れは今までもありましたねー。しばらく引っ張るのかしら。氷柱の隠された中心として維持されるのかもしれませんが。
 べびプリで「未来」への時間の移り行きを、しかもきょうだいにとって危機的なものとして予感させる姉妹としては、これまで海晴と綿雪が挙げられていました。前者は社会人としての本格的活動開始による自立。成長した長男に後を託していけるかどうかが鍵です。後者は持病の発症による長期入院。逆に快復・完治という方向性もあるけど、そっちにしても紆余曲折があるだろう、という。
 このたびの氷柱は、綿雪のこの完治ルートの前提である「治療法の確立」に向けて、氷柱がずっと表明してきた「私が治してあげる」という決意を留学という行動に具体化しようとするものです。ツートップヒロインのもう片方であるヒカルもまた、自分の女性性や長男と同年齢であることをどう受け入れるのかという問題を抱えていますから、彼女もまた未来の不安を暗示しているのですが、しかし公式日記に限ればその不安はかなり控えめに表現されてきました。これに対して氷柱は、ずっと明確な未来の不安を長男に打ち明けることで、新たな固有の絆を獲得しました。このことはまた、「成長と永遠という本作品の主題の葛藤」を最大限につきつける公式日記(日々の成長の表れと1年の繰り返し)にいっそうの緊張を生むものでもあるため、今後の展開がどうなるのか、かなりわくわくしてます。
それにしても、この夏の氷柱の甘えようを振り返ると、いったいいつ頃から彼女は留学のことで悩み始めたのか気になります。アニメ版シスプリ第22話で、鈴凛と航の時間認識のずれを検討しましたが、同じことをいま氷柱と長男の間に確認したくなります。
2009年10月17日(土) もうちょっとだけ続く?
 グインサーガ第129巻。こないだのが最終巻かと思いこんでおりましたが、まだ出てたー。もしや、さらに次もあるのでしょうか……。しかし今度こそ本編はこれで終わりだとしても、その表紙を飾るのがフロリーとスーティというのは、何とも穏やかで納得できるものでした。
2009年10月18日(日) きあいだー
 朝プリキュア。大きいお友達の多くがゴレンジャーストームを思い出した、そんな新必殺技。
 お話としては、特訓に個々人の強化を求める4人に対して、心を一つにすることに気づかせたいコーチという、まぁ典型的な内容なのですが。今までずっとチームワークよかった4人なので、ここいらで少し動揺があるという描写をしておいてくれたらもっとよかったかも。それにしてもミユキさん、あなたどこまで面倒見がいいんですか。あと金持ち凄い。
 個人特訓の内容もじつに古風で結構でした。あれにすぐ対応できるというのも怪しい施設ですが……。そして伸ばすべき長所というのが、ピーチ:殴る、ベリー:蹴る、パッション:素早さ、に対してパインが「持久力」(笑)。耐えるのだ、どんなにぶたれてもけられても……。もしや敵の技をあれだけくらうのは、避けずに受け止めて起き上がるというプロレス魂の発露なのかしら。
2009年10月19日(月) 釘をさす
 べびプリさくら(10/19)。
 さくら、風邪のひき始め。せきこんこんです。「おててで/お口おさえるの/わすれちゃってた……」とは、マリーなどの年長さんや姉達の指導が行き届いている証拠。はいはい、マスクしようねー。

>お兄ちゃんがさくらのせいで
>お病気になっちゃう――

>さくらが悪い子だから――
>おててしないで、こんこんする
>悪い子だから――

 さて今日もまた、自罰感情が表れております。幼児心理学あたりをひもとくと、さくらに限らずこの年齢の幼児は基本的な善悪の観念や「よいこ」「わるいこ」という自己像を重視するものかもしれず。しかしそれでもさくらの場合はちょっとそれが強く出てるという感じなのかな。どうしたものかしら。
 と考えていたら、今回は長男がその場で対応してくれたみたいです。

>うぅん。
>さくらはお熱はないの。
>
>今日も元気でようちえんに
>行ったし――
>
>おべんとうもからっぽの
>ピカピカ賞!

 まず、さくらの体調を訊ねる長男。当然のことながらグッドです。そしてさくらの答えがまた面白い。ここでさくらは、平熱・元気に通園・食欲旺盛という体調のよさに、朝ぐずつかなかった・好き嫌いなく食べたという行動のよさをも無意識に込めて、「よいこ」である自己像を示してます。そして、さっきは口をうっかり手で押さえなかったものの、そうすべきだということもきちんと分かってます。だから、さくらはとっても「よいこ」なのであり、長男はそのことをこの妹に伝えてあげねばなりません。

>それなら――
>お兄ちゃん、お風邪ならない?
>
>本当??
>
>わ――、すごい(はぁと)

 そう、風邪のバイキンなんかに負けないのがお兄ちゃん。さくらの不安も吹き飛ばせ。「かっこいい(はぁと)」と褒められることよりも、そっちの方が大切なのです。あと、さくらが風邪ひきそうだということも事実なので、マリーの歌のとおり一緒にうがい手洗いを。
2009年10月20日(火) んがんぐ
 べびプリ立夏(10/20)。
 気持ちのいい秋空が続いてますが、夏が終わっても何かにつけて年中ご機嫌な立夏です。今日もまた、いつものように長男にアピールしてますが、しかし振り返ってみると夏休み明けの修羅場の次はこないだの蛍酒乱騒動で、2回連続して意気消沈してたんですねこの子。落ち込むといってもすぐ復活するんですけど。
 そういうわけで、久々に最初からテンション高い今日の日記。……中間テストとかどうしたんだろう……。またもや喉元過ぎたんでしょうか。まぁ明るいのは結構なことです、はい。立夏がほどほどに賑やかだと、周りも元気になりますし。

>学校の近くのお家の
>ハスキーのジョンより
>ぜーんぜん上手っ!!

 わんわんわん。ピアキャロ2のつかさを覚えている者は幸いである。学校近くの家で何やら遊んでることが丸わかりですが、ちゃんと大口開けてチョコボールを捕えるあたり長男の面目躍如というか、汚名挽回というか(誤用)。
 さて、お菓子の食べすぎが改まらないことなどはともかくも。先週の氷柱の留学話は、そのまま達消えになったんでしょうか。ああいう話題の直後に幼児さん担当回が続いたときは、その間に家族会議が開かれたり騒動が広がったりしてるという印象があるのですが……。
 今日のところは、立夏に元気づけられてチョコボールをもひとつポイッ。
2009年10月21日(水) かなしくいとしく
 べびプリ(10/21)。
 さて。氷柱の話は続いていた模様です。

>未来とは――
>無数にあるもの。

>きっと私達姉妹にも――
>様々な可能性があったろう。

 「パラレルワールド」は信じないそうなので、これはあくまでも、今と異なる今というものを想像してみると、ということ。

>例えば、姉妹の人数が
>半分以下であった可能性。
>海晴姉と私が
>2人姉妹であった可能性。
>逆に私の方が――
>末っ子であった可能性。

 ここまでは、過去のある時点では事実だったこと。春風が生まれるまでは霙は2人姉妹の末っ子だったし、星花が生まれるまでは姉妹の人数は今の半分以下でした。

>さらに新たな姉妹が
>増えてしまう可能性。

 これは、まだ将来に可能性のあること。

>何人かが男だった可能性――

 これは、今までのきょうだいには実現しなかったこと。 

>そしてヒカルが――
>
>……
>
>いや、オマエが。
>
>オマエが我が家に
>存在していなかった可能性――。

 問題はこの箇所です。「そしてヒカルが」は、直前の「何人かが男だった可能性」よりもやはり「オマエが我が家に/存在していなかった可能性」にかかる言葉でしょう。……ヒカルが? 
 長男と同年齢のヒカルについては、吹雪がすでに疑問を投げかけていましたし、氷柱が「私たち姉妹のこととか、あなたが何で来たのか、とか――」と綴っていたことも改めて気になります。小説版第1巻でも吹雪(p.89-90)やヒカル自身(p.115)が問いを発してたり。氷柱と立夏の誕生日など、他にも問題を指摘されているこのきょうだいですが、とくに長男とヒカルは同年齢であるために、双子なのかそれとも一方が非血縁なのかと議論の焦点となってきました。今回の霙姉さんのこの言い直しは、それゆえ読者の想像をさらに掻きたてるのです。

 とりあえず単純に考えると、「そしてヒカルが――」に続く言葉は例えば「オマエだった可能性」。要するにヒカルが希望どおり男の子だった場合ということですが、それなら直前の「何人かが男だった可能性」に含まれるのでわざわざヒカルだけ取り上げる必要はないかもしれません。しかし、ここで霙が含意させているのは、男になりたかったがなれない、でも男きょうだいの役割をいまも果たしているヒカルと、男でありその役割を期待されある程度責任を果たしているが、まだヒカルのように対応できない面がある長男とを、分裂した不完全な存在として捉える見方です。ヒカルが男として生まれていれば、長男はそのヒカルの中に一体化され、心身が一致した完全な存在となるはず。それだけこの二人は緊密で固有の関係を有しているのですが、これを霙姉さんが鋭く把握して言葉に上らせようとした、と。でもこんなのよっぽど説明しないと意味が分からないので、長男がすぐ理解できる喩え話に切り替えた、という。
 あるいは、長男の気を悪くさせないために最初は「ヒカルが存在していなかった可能性」を挙げようとしたが、この長男がこれまでの共同生活の中できょうだいの一員としての自覚と自負をしっかり備えるに至ったことを思い出して、ならば眼前にいないヒカルを縁起でもない事例にするよりも長男を取り上げてやった方がいい、と判断したとか。つまり長男い対する霙姉さんの信頼感がこの言い換えにつながった、という解釈。
 霙姉さんにとってヒカルよりも長男の方が自然な存在になってしまった、という説もありうるでしょうが、ぼくの趣味に合わないので却下します。

 で、そんな多様な可能性があるこの世界で、気がつけば「ただ1つ」の現実に辿りついているという不思議。それは奇跡と呼んでもいいでしょうし、偶然と、あるいは必然や神意と呼んでもかまわない。ただ、それがかけがえのないものであることを霙姉さんもよく承知していて、だからその儚さ素晴らしさを満喫してきました。
 だけど、そうすることができるのは、いまを最善なものとして受け入れられるから。いや、そんなライプニッツ的な話ではないですか。いまを唯一のものとして受け入れること。自由意志によって努力しながらも予想しえない結果に行きつくこの世というものを直視するということ。この直観にはどこか諦観がまとわりついており、そういう態度を決して受け入れようとしないのが氷柱ということになります。

>アイツはきっと――
>いつもいつも。
>
>心の隅で、綿雪が病気に
>なっていなかった可能性を
>追い求めているのだろう。

 以前も確認したように、氷柱は綿雪の病状を悪化させてしまった自分の行動を深く悔いています(本誌連載)。妹の健康のためによかれと思ってしたことが、まったく裏目に出てしまった。霙が観想する意志と行為と結果のずれは、氷柱にとって自らの罪を生み出した悪しきからくりであり、それ以来彼女は不条理な世界に戦いを挑み、そのために自分の優れている(はずの)知性をすべて捧げようと決意してきました。

>現実の未来を知らずに。

 そう言いきってしまう霙姉さんを、氷柱は敗北主義者として突っぱねるでしょう。そこまでせずとも、この見解に自分を止める力を認めようとはしないでしょう。未来は切り開く、今度こそうまくやってみせる、そしてユキに自分がしてしまったことをつぐなう。それが氷柱の意志です。

>ああ、無駄な努力をこそ――
>
>人は愛と呼ぶのかも知れないな。
>
>私には氷柱を止めることはできない。

 そんな妹の真摯な情熱を、霙姉さんも分かっているから。しかしおそらく、綿雪の持病について霙も調べてみたことがあるから。そして、綿雪のために氷柱が留学することで、綿雪の安定した日常生活が揺らいでかえって心身を崩しかねないというこの世の不条理、意志と行為と結果のずれを容易に予測できるから。霙姉さんは「無駄な努力」と断定しつつも、「氷柱を止めることはできない」。これもまた、愚かで誇らしくて愛しい妹への、この姉ならではの愛です。

 さぁて、長男はどう判断するのか。長男が姉達に相談したのか、それとも氷柱本人が話を切り出したのか分かりませんが、先週末からやはり事態が進行していたわけで。……あ、ユキの担当回がこの騒動の締めくくりの番になりそう……?
2009年10月22日(木) ぽりしー
 べびプリ春風(10/22)。
 氷柱留学問題をめぐり、きょうだいそれぞれ思うところがきっとあるわけですけど。春風さんの夢は、

>大好きな人の――
>お・よ・め・さ・んっ(はぁと×3)

 いやー、強烈ですね。3つハートの頻度が高いこの姉ですので、話題ゆえのテンションは、まぁ期待通り。

>おまけに今すっごく
>最高に――
>
>気になる人の――
>前だし。

 いやー、もうね。最初からほぼ露見しっぱなしだった長男への好意ですが、そろそろ長男の側も慣れてきてるんでしょうかね。はいはい。みたいなあしらい方だと、過激なエスカレーションを招きかねません。いつまでも初々しいのが王子様。
 さて、この夢はいかにも乙女らしい、つまり「とってもありふれた/ちっちゃなちっちゃな夢」であるとして。でもそれは春風自身にとって「世界でたった1つの/大事な大事な夢」であり、「世界で1番――/大きな夢」。氷柱の夢に負けないくらい、「胸を張って」堂々と宣言できる夢。そう、この誇らしさが春風さんにも他の姉妹にも感じられて、読者もピッと凛々しくなるのです。
 本誌連載では、長男への恋心を姉としての役割に抑え込むという場面が何度か描かれておりますが、それが過剰に湿っぽくならないあたり、春風という名前のとおりの爽やかさ。もっとも、この毅然と宣言した夢がどのように実現するのか、いまこの姉が望むように進むのかどうかを考えると、シスプリのごとくほろ苦さを予感せざるを得ませんし、またそのことをよく分かっているはずの春風さんが敢えてこう綴ることに、いっそうの誇り高さを看取するものでもあります。
 とか見惚れたようなこと書いてるうちに、気がつけばこの姉の掌中にしっかり掴まれてしまうかもしれませんが。それが乙女のポリツァイ。

 ……とりあえず、春風さんは留学に反対せず、と。氷柱は結局どうするのかなぁ。
2009年10月23日(金) ちゃんちゃん♪
 べびプリ虹子(10/23)。
 ……。
 えーっ!? ここは順番的に、海晴姉さんか綿雪で話を括るとこじゃないの?(笑)
 またも乳幼児担当回で話題を来週に持ち越しか、とも考えられますけど、この結びを読むと、どうも……氷柱の留学申請書類か何かに、虹子が落書きして終了、でしょうか。あーあ。ほんとにこれで一件落着であれば、いかにも氷柱らしいとも言えますが……。ぎりぎりまで悩んだあげくに書類を整えたのだとすれば、もう提出期限間際でしょうから、予備の書類がなければこれにておしまい。もちろん、留学への意志そのものは消えてないわけですので、また何かの折に話題となることでしょう。そうでなくとも、これは氷柱固有の鍵ですから、鈴凛と同様に、この妹の言動を解釈するさい必ず意識にのぼることとなります。だいぶ厚みがついたなぁ。

 で、それと知らずのお絵描きで、氷柱におしりぺんぺんされてしまった虹子。本人が口をとがらせてるとおり、悪気があってしたことではないので、そこまで叱られる理由はないのですけれども。
 おしりの痛みについては、「おめめ、なみだが/出ちゃうよ。」などと言いつつも、まだ余裕があります。歌を口ずさみもできるし、お薬の心配などもしてるし、このことでぴーぴー泣くことはないのですね。
 だけど、その痛みよりも辛いのは。

>つららおねえちゃんが――
>ないちゃうなんてちっとも
>おもわなかったんだもん!!
>
>うえぇぇぇ〜ん……

 ふだん妹達を叱り飛ばす役目の氷柱が、自分のしたことで泣きだしてしまったという衝撃。まさかのまさか。そして、きょうだいを泣かせてしまうことは、体の痛みよりもずっと胸にこたえるものでした。自分がよっぽど「悪い子」なのかと不安に陥り、謝るほどにまで。
 長男としては、トリックスターとして問題を有耶無耶にしてしまったこの幼い妹を、だっこしてよしよしして、こっそり感謝すべきなのでしょうか。そんなわけで、長男の決断はまたも先送りとなりました。
2009年10月24日(土) たぶん背後に加藤せんせが
 羽生や森内など将棋のトッププロ達と一緒に寺社観光して、みんなで住職にどつきツッコミされるという夢を見ました。羽生がすんごくいい笑顔で何かくだらないジョークを飛ばしてたり。森内がややうつむき加減でボケたところに、謎の住職がきっちり一発くらわせてたり。むしろ豊川・神吉・先崎といった面々が並んでいるべきあり得ない光景でした。
 もしかしたら住職に見えたあの禿頭の人物は、大山だったのかしら。
2009年10月25日(日) 私パーペキ
 朝プリキュア。美希、完璧な失態の巻。
 ラブとせつなの夫婦漫才もすっかり板についており、巻き添えをくらったタルトは睡眠不足。子供の夜泣きに困憊したお母さん達の記憶が、画面のこっち側でまざまざと蘇ります。これ、みんなで起きてる必要ないんだよね。ローテーションで対応するとか、自動回転機を開発するとか、今後の手だてが必要です。
 さて、そんなタルトを気遣って代役を申し出た美希。しかし、通りがかった幼女の懇願にクローバーボックスを貸したのが運のつき。携帯電話に気を取られてちょっと目を離した隙に、というのもお母さん達の日々の心配が重なります。幼女こそ大事故から救ったものの、小箱は行方不明に。
 言い訳しない美希の内心を、せつなが鋭く看取したり。自分一人で?と逡巡するラブに、「あなたなら……あなただから」任せられる、と真正面から信頼したり。せつなが既にどれほど重要な役割を担っているかがよく分かります。しっかり者の美希が動揺してるときだから、なおさら有り難い。そして当人は、絶望しかけたところでかおるちゃんの絶妙な一押しをもらい、キュアベリーの「希望」をシフォンの笑顔に見出すという。そいえば美希、最初の頃にもシフォンとの関係作りに悩み抜いてました。子育てに苦労し自信を失いそうな母親達がこの番組を子供と並んで観ていたならば、きっと思うところがたくさんあるんでしょう。
 そして、単身でサウラー達に挑むキュアベリーの勇姿たるや。今回のフェイントはじつに見事で、野球回のバント以来の頭脳プレーでありました(拍手喝采)。敵を攻撃するキュアソードよりも、シフォンを救うクローバーボックスの方をこそ選ぶべき。揺るぎのない意志、まさに完璧です。
 次回はラブ話ですかね。するとその次はブッキーか。たぶんインフィニティの便秘を治す。
2009年10月26日(月) ニタァ
 べびプリ観月(10/26)。
 氷柱問題は依然として継続中。ちょうど台風も接近しつつありますが、この嵐の目は家の中にいます。「懊悩」「煩悶」「躊躇」「逡巡」と並べると様々なように見えて、要するに留学のことで迷ってる。書類こそ一度駄目になったといえ、問題自体は未解決なままですから、そりゃ氷柱も悩まないわけにいかないのですが……。
 しかし焦眉の問題は「苛苛」。あらし熱帯低気圧。いや、「サザエさん」という超メジャータイトルに対抗するには、リンリンランランソーセージくらい必要でしょうか(どうでもいい)。タマQvsヘビメタ子とか思い出しますね。
 そんな余談でごまかそうにも、この雰囲気の悪さはにんともかんともしがたいわけで。煮詰まりすぎた氷柱のオーラは、観月をして危急の措置を講じさせるほどのものでした。

>いざ――ゆけ!
>
>キュウビよ、あれらを
>喰らいつくすのじゃ――!!!!!!!!!

 お、おおお。キュウビすごい……。まぁ本当に処理できればですが。取り込まれてしまったりしないかしら。そして白面の者登場。長男の肩凝りひどい。いま一瞬『うしおととら』の主人公の名前を思い出せなくて困った。馬鹿につける薬はありません。
 氷柱の「苛苛」にも、特効薬はないんですよねぇ。綿雪がいきなり完治したとしても、今度は自分の力を試したいという氷柱の個人的欲求が前面に出るだけかもしれませんし。どうしたものか、うーん。
 というわけで、来週のつららさんは。氷柱の留学先に一家揃って短期移住、の1本です(えー)。アメリカに行けば、立夏のあの友人に会えるかもしれません。
2009年10月27日(火) おっと
 ちょっと探してきます。
2009年10月28日(水) 負の連鎖
 べびプリ綿雪(10/28)。
 あー見つかりませんでしたー。一昼夜行方不明というのは、霙姉さんの迷子以来のことですが。あのときはそれでも幾分かの余裕があったような気がする一方、今回の氷柱はどうも……心配でなりません。友達の家に駆け込んだのか(それなら親御さんから連絡があってもよさそう)、裏庭の離れにでも隠れているのか(そこはとっくに探したはず)、あるいは。氷柱、中2の女の子ですからね。ああもう。
 そしてもちろんユキが。小説版でも陽太郎の家出のとき、作中で描かれてはいなかったもののユキは心配のかぎりをつくしたはずで、その半日を想像するだけでたまらなくなるのですけど。今回は、物心ついたときからずっと世話をしてきてくれた氷柱の家出ですから、その衝撃たるや。

>氷柱お姉ちゃん、
>ユキのこと――
>置いて行っちゃった……

 ぐわー。
 ユキが元気になったのは長男の訪れ以来だとしても、それは氷柱が当たり前にいたうえでのプラス長男効果だったから、まるで見捨てられたような、足元が崩れたかのような。

>泣いたら不幸がやってくるのに。

 うあー。
 どうしたらいいんだ。ああ。
 と悶絶してたら、霙姉さんには連絡あったのね……。友達ん家に泊まるですか。ひとまず安心しました……。しかし、なぜ霙姉さんはユキ達にそのことを昨晩伝えなかったのか。うっかりさんか。それとも、氷柱がそう言いながらも帰ってくる可能性を踏まえてか。「まぁ心配するな」とか言うばかりで、具体的な説明をしなかっただけかも。
 うがった見方をするならば、今回の一件を各自がしっかり反省するために敢えて、ということもあり得ます。友達の家にいる、と知れば「なーんだ」と安心して軽く考えそうだけど、そうはさせん、という。でも、行方不明となれば騒動を顧みる余裕さえなくなるのでは。
 そして、自分を責めるユキ。この意識が頭をもたげないように願ってたんだけど。

>氷柱お姉ちゃんはもうすごい
>お姉さんなんだし、もちろんたまには――
>お友達とお泊まりだってしたいんだろうなって思うの。
>
>でも、ユキは――
>
>うぅん、きっと氷柱お姉ちゃんは
>ユキのためにいままでそういうの
>我慢してくれてたのかな――

 この「でも、ユキは」の後に飲み込んだ言葉は何でしょう。でもユキは、氷柱にもっと自儘に振る舞ってもらいたかった。でもユキは、氷柱がそう思ってるかどうかを訊けなかった。でもユキは、氷柱にずっとそばにいてほしかった。
 綿雪の病状悪化という展開は覚悟してましたが、氷柱の側からこういうもつれが生まれるのを目の当たりにして、こないだからずっと唸っております。海晴と麗の喧嘩のときは結局ヒカルが頑張ってくれましたが、このたびの容易に解決しがたい問題に、さて長男はどんな行動を示せるのか。直球勝負で、連れ戻しに行きますか。
 ただねー、氷柱も自分自身を責めてるだろうから、戻るに戻れないよね。昨日の

>どうせ私なんて、
>
>いない方が――

てのは、虹子に怒ったことへの非難だけが問題なんじゃなくて。かつて綿雪にしてしまったことを、今でも悔やんでも悔やみきれなくて自分を許せないままにいるから。普段の自信満々で攻撃的な態度の裏では、自分への不信感が彼女を絶え間ない努力へと突き進ませてるという。咲耶に似てるのは、こういう完璧さ・優秀さへの強迫性です。

 追記。思えば最初の正月に、長男との凧上げではしゃぎすぎた綿雪が熱を出してしまったとき。氷柱は長男に怒ったのだけど、それは、かつて自分が綿雪にしてしまったことを、長男が反復したということでもあり。氷柱が長男を罵るとき、長男に重ねた自分の影をも同時に罵倒しているのかもしれず、歌などによるつぐない方を長男に教えるとき、過去の自分のとりかえしのつかなさをわずかなりとも補償しようとしているのかもしれず。「下僕」と呼ぶ自分こそ、愛する者のしもべ。
2009年10月29日(木) 三連鎖
 べびプリ夕凪(10/29)。
 ぎゃー発熱もきたー。あわわわわ。おちつけ。おちけつっつのぱー。ヨーメイシュ! あそれヨーメイシュ! 1ページ浮いた。
 そんなパタリロ懐かしネタでごまかせません一大事です。報告者は夕凪。しかも事態の悪化に一枚かんだのも夕凪。その意図あってのことではないので、この子が悪いわけではありませんし、もとを糺せば今回のことの発端は氷柱なのでして。

>そういえば昨日の夜、
>夕凪が“リューガク”のこと
>話したときから――

 いやーん、まだ知らなかったのよね。夕凪が自らを責めるのも仕方ないことですけど、「マホウ」が効かないことがこれほど辛い場面もないはずで、この子としては二重三重に悔しいのです。
 で、綿雪は。氷柱に留学の意志があるという話を聞いて、まず顔色失って。それは、たった一日不在なだけでこれほど寂しい姉が、もしかするとずっと遠くに行ってしまうかもしれない、という衝撃。あるいは、綿雪がもっと勘のいい子であるならば、姉が自分の治療のために遠くへ行こうとしているのだと気づいたのかもしれません。

>帰ってきた氷柱お姉ちゃんを
>1番に笑顔でお出迎えしたいからって――
>
>元気なところ見せて
>安心して欲しいからって
>ずっと玄関ホールに座って待ってて――

 だから、この場面もまた二重三重の意味を持っているように思えます。
 帰宅した氷柱が後ろめたくならないように、自分こそ真っ先に明るく迎えてあげたい。
 自分の元気な姿を見て、これなら大がかりな治療も必要ないからその勉強のために留学しなくてもいいんだ、って氷柱に思いなおしてほしい。
 自分がふらついてたら氷柱が留学に踏みきれないので、自分ならこんなに元気だから大丈夫、氷柱の思うとおりにして、って伝えたい。
 どれですか。どれもですか。

 有無を言わさず連れ戻せ長男。この姉妹が自己否定しあってはいけない。
2009年10月30日(金) 同じ罪を背負って
 べびプリ氷柱(10/30)。
 ああ戻ってきてくれた。よかった。綿雪の病状はどんなでしょうか。この姉の姿を見て落ち着いたでしょうか。

>なんだかタイミングの悪い女なの。
>
>ユキのためにって思ったことだって
>いつも空回りして――
>みんなに迷惑をかけて――

>ユキは私みたいに短気でわがままで
>おまけにタイミングの悪い女なんかより、

>私の方こそこの世から消えてしまえばいいのに。

 と並んだ自己否定、これって日記では初めて告白されましたよね。こないだ書いたように、綿雪を健康にしようと思って外に連れ出したら、かえって具合を悪くさせてしまったという幼い頃の罪。頭のよさという天賦の能力を努力によって磨いて、運命に立ち向かおうとすると、逆に運命の悪意にからめとられてしまう悲劇。そこに、自分の至らなさ・無能さを痛感してしまう。
 蛍が本誌連載で語ったとおり、氷柱は基本的に情の厚い子で、妹達の面倒見も昔から良いわけです。叱り役を任じているのは性格ゆえでもあるのだけれど、姉達の役割分担を氷柱の視点から見つめたとき、この六女が姉の一人として何を担わんと決心したかが自ずと分かります。
  海 晴:トップリーダー。きょうだいの公正さを保つためルールを定めて遵守させる。
   霙 :サブリーダー。ガス抜きをすることで秩序を保ちやすくする。緊急即応。
  春 風:家事全般のリーダー。母性・少女趣味的雰囲気の担い手。
  ヒカル:男役。きょうだいの感情のもつれを直球で解きほぐす。
   蛍 :家事全般のサブリーダー。母性・家庭的雰囲気の担い手。
 この姉達と重ならず、氷柱の長所を活かせる役割とは、やはり優れた頭脳による問題解決担当。情緒面は姉達が得意なので、氷柱は小説版第2巻でも話しているように、外界からの攻撃に対応する作戦立案・実行を引き受けようとしました。
 それともう一つ、きょうだい間のルールがその目的である公正実現に抵触してしまうとき、それに敏感に気づいてバランスをとる(衡平)のも、氷柱がもって任じたところでした。鉄道博物館見学を要望したときなんかがそれ(夕凪も感動し尊敬してましたね)。綿雪に対して、「いくら海晴姉様がキョウダイ平等って言ったって。/私ぐらいは思いっきりえこひいきして」あげようとしてきたのも、これに該当します。
 その根底には、彼女の持ち前の正義感や情愛だけでなく、やはり綿雪に対して自分がしてしまったことへの罪悪感、それを償わねばならないという自己への命令が、あるように思われます。「でも、いくら私がそう思ったって。」綿雪の体は治らず、自分の罪も贖われない。辛く、出口のない日々。

 そして、今はさらにもう一つ、氷柱に罪悪感を与えることがあって。べびプリ日記考察で、ぼくはこんなふうに書きました。
「現在、氷柱は綿雪に変わらぬ愛情を注ぎながら、しかし長男に対する個人的欲求も高まっている。ここで氷柱は、綿雪を長男に取られたくないという嫉妬心と、長男を他の姉妹に(綿雪にさえ)独占されたくないという嫉妬心を獲得してしまい、自分と長男を責めるほかない。」
 今回、氷柱は、綿雪を長男に奪われたと感じていたことを素直に吐露しています。

>私、ユキはもう――
>アナタの方がもう好きなんだと思ってたの。
>だから私、もう私なんてって――

 しかし、綿雪は氷柱がいなくなってしまうことを恐れてくれたわけで、この妹は変わらず「私のユキ」のままでした。氷柱の家出中に綿雪を「守ってくれ」たのは長男だとしても、綿雪は氷柱を必要とし続けている。これは、勝利です。綿雪の保護者役をめぐっての長男に対する勝利。
 今まで綿雪が氷柱を一番の姉と感じてくれていたという事実は、この妹の病気を治せない、それどころか悪化させてしまった張本人かもしれない氷柱にとって、唯一支えとなる評価でした。毎晩ユキの顔を見にいく。何くれとなく世話を焼く。それらが、究極のところで何もできないし失敗しがちな氷柱に、せめて可能な一切であるならば。その綿雪が笑顔になってくれること、姉のすることを喜んでくれることが、たとえ氷柱の罪悪感・無能感を消し去れないにせよ、それをどれだけ和らげてくれてきたでしょうか。この唯一の、これしか自分を支えてくれない全ての心の拠り所を、長男は後からやってきて奪いかねなかった。どれほど恐ろしく、許しがたいことでしょうか。

 しかも、長男は参入直後に綿雪と凧上げをして、はしゃぎすぎた綿雪の体調を崩させてしまいました。その翌日、氷柱は何を記したか。長男を引き連れて、綿雪を慰めに行こうというのです。タイトルが「一緒に遊ぼう」ですよ。ぼくはアニメ妄想第5話でこのエピソードをもとに、氷柱が長男の監督不行届を非難する場面を描きました。しかし、いま振り返ればこれは氷柱を見誤っていたかもしれません。
 長男には悪気があったはずもなく、ただ綿雪を喜ばせようとして凧上げを頑張ったということは、氷柱もよく分かってるわけです。その結果ユキの体調が崩れたとして、氷柱に長男をなじることはできません。なぜなら、自分もかつて幼いユキに同じことをしてしまっているからです。長男が抱いているはずのその後悔の念を、氷柱が誰よりもよく理解できるからです。知らずにしてしまった過ちをつぐなう方法を、先輩である氷柱が差し伸べる。それは、かつて氷柱が姉の誰かにしてもらえたことかもしれませんが、ここで氷柱は長男を支えつつ、自分の傷をも癒しているのです。(その一方で、長男がもう充分に問題を知悉したはずにも関わらず軽率な行為でユキを危険にさらしたときには、氷柱は長男を非難しつつ、ユキを病魔に・長男に奪われる二重の危険性に抵抗しています。)

 さて、今回の氷柱が涙を流したわけを想像するならば。そこには、家出などという愚かしい真似をして綿雪を辛い目にあわせてしまった、自らへの反省は当然あるでしょう。そして、ユキが結局は自分を選んでくれたことへの安堵感、自分が存在することを許してもらえたことへの感謝の念もあるでしょう。さらに、長男への嫉妬にかられていた自分の弱さ情けなさ、長男に勝利したことを喜んだ自分の身勝手さをも痛感したのでしょう。
 そうして、そんなみっともなくて駄目な自分を、ただ長男だけにさらけ出せたことへの、安らぎもまた。氷柱は長男の罪悪感を分かち合うことで固有の絆を獲得し、それゆえに氷柱が自分の奥底に伏せてきた孤独なありのままの姿を、長男にいま分かち合ってもらいたいのです。
 今日の日記を読んだ直後、ぼくは「ああ、また姉妹に先んじられた。長男では間に合わなかった」と感じました。ヒカルの仲裁と同じように、新参者の長男ができないことを姉妹が共同生活の厚みによって解決した、と。氷柱を連れ戻すしか問題解決の手立ても(そして長男にできることも)ないかな、と考えたのもそのため。だけど、こうして見ると、ヒカルが長男と同様に姉妹の間にしっくりはまらないという問題を共有し固有の絆としているのに対して、氷柱も上述のような関係を長男と結び、長男を通じて初めて言葉にできたものを示してくれました。たしかに長男は、この家に来てよかったのですし、彼にしかできないことを果たしています。

 だから、氷柱が長男に伝えてくれた言葉を、長男からも返してくれればと思います。「ありがとう」と。綿雪のため、長男のためにしてきてくれた全てのことに、感謝を。これからは、これからも、「一緒に」ユキを守っていく。背中ごしに告げる、そんな夜の約束です。
2009年10月31日(土) 補足
 昨日の氷柱について書いた内容の補足。最初に留学の話を切り出したあのとき、氷柱はたしかに長男に本気で相談してたわけですが。その底には、自分がこれほどまでに綿雪のことを想って踏みだす覚悟があるのだ、と長男に挑戦状を突きつける態度や、(長男が綿雪を奪うのと表裏一体のものとして)長男が綿雪に奪われることを避けるために自分との別離を長男に危機感として認識させようという策略などが、潜んでいるのかもしれません。この三角関係、バランスをとるのがとても難しいのです。
 しかも、バランスがうまく取れすぎてしまうと、擬似的な核家族が成立しちゃうかもしれず。これもまた、共同生活内の閉鎖系として問題となりそう。そこで立夏や夕凪が介入してくれるので、まぁうまいこと開放されるんでしょうけど。

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