日記
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2006年6月1日(木) データ絶賛移転中
 というわけで、5月の末からノートン先生ご乱心のためネット環境が崩壊しつつあります。ひい(悲鳴)。いかなる回復手段も受け付けないうえ、長門さんからのメッセージも来ません。こ、これは<ウェブ>でいうところのあれでしょうかダン・シモンズ先生。完全復旧まで更新・返信などがしばらく遅れております、すみません。
2006年6月2日(金) PCなおらない(大人向け)
 脳内えろげ『ド隷奴☆の〜と』。

 時は戦乱。とある海洋世界の全国家を巻き込んだ長年にわたる軍拡競争に終止符をうつため、マッドサイエンティストのフィッシャーが発明したのが奴隷美少女戦艦どれっどのーと。従来の戦艦をはるかに上回るその戦闘力をもって、大えい帝国はついに世界制覇に乗り出すのだが……。

<主な登場艦船少女>

どれっどのーと:メインヒロイン。世界が注目するスーパー戦艦。正義と根性のド級乙女。
        「怖いものなし」のはずなのに幽霊が怖いあたり名前負け。
あがめむのん :ドレッドノートより後に生まれながら能力が劣る悲劇の妹。
        でもお姉ちゃん大好き。健気。
おらいおん  :胸の大きな超ド級艦。悩殺ばでぃで圧倒的な攻撃力を誇る。
        この最新戦艦以降、世界は大艦巨乳主義に突入する。
いんびんしぶる:かけっこの好きな巡洋戦艦。太股まばゆいスポーツ少女。
        服装の薄さがたたり、戦前の予想を裏切る恥ずかしがり屋ぶりを露呈。
ふっど    :意味不明な台詞を叫びつつ戦場を駆け回る半裸巫女。
        じつは自分の爆沈を予知しているがそれでも笑っている強い子。
ろどねい   :巨乳ここに極まれり。胸が大きすぎてよく前に転ぶ。
        なぜか母性的でほわほわ、「ろど姉」と呼ばれ親しまれる。
えればす   :モニター艦。鈍足でどじっこ。浅瀬でちゃぷちゃぷしてるのが好き。
        フィッシャーのお気に入りだけど、じつはスパイ。
ふゅーりあす :新時代を告げる航空母艦。気弱だけど根に持つタイプ。藁人形所有。
        フラットトップなのでもちろんつるぺた。ふたなりルートあり。

りゅっつおー :どいつ帝国の主力巡洋戦艦。冷たい仮面の奥に情熱を秘める。
        戦いの中でどれっどのーとの奇妙な友情が生まれたが、しかし……。
らんぐれー  :やんきー帝国の試作航空母艦。設計者の好意を得ようと頑張る少女。
        性格は攻撃的。当然「あんたバカァ?」とか言う。
ながと    :未来からやってきた、旭日帝国が誇る脅威の眼鏡っこ戦艦。
        主砲発射で時空も歪む。愛称「ユキ」。後に初代銀河帝国皇帝となる。
2006年6月3日(土) 涼宮ハルヒの今川
 古泉と同じほどの超能力を持つ人間は10名くらいしかいないそうですが、つまり『機関』とは国際警察機構ということでよろしいでしょうか。A級エキスパート”微笑みの”古泉。必殺技は赤玉ぱんち。
 となれば敵はもちろん十傑集。Big Brother団、略してBB団。美少女怪盗なんかが闘っている光景をモニタしながら、「すべては計画通りですよ、お兄ちゃん」とほくそ笑む三つ編みの軍師。
2006年6月4日(日) 反応とか
 アニメ版シャナについてのしゅんたんの結論。読んでて慄然としたのですが、シャナという作品は、記憶の抹殺をそのまま大団円の手段として組み込んでるんですか? それは……もしそうなのだとしたら、血の気が引きます。そして、しゅんたんのこの憤りはやはり若い人達に伝えておくべきだと思いました。ただまあ、そう判断する前にぼく自身も原作を読んでみないといけませんけど。

 daidoujiさんよりハルヒ2点。ハルヒー各団員関係の対等性というのは、ほとんど考えてきませんでした。なるほど。
2006年6月5日(月) 涼宮ハルヒの接触編
 第六文明人の遺跡から発掘された謎の3マシン。バッフ・クランの奇襲を受けて逃げまどう俺達が乗り込んだとき、秘められたイデの力によって目覚めた巨神がやにわに立ち上がった。ところで、こういう状況を一番楽しんで最高にややこしくしてしまう人間には心当たりがあって、その名をハルヒという。

「なによこれ、起きあがったはいいけど攻撃されっぱなしじゃないの。ほらキョン、あんたも何か武器がないか探しなさいよ」

 耳元でぎゃあぎゃあ騒ぐな。いいからお前は腕でも振り回してろ。だいたい何で俺がお前のコ・パイロットなんだ。なんて言ってると舌を噛みそうな衝撃がコックピットに再び走る。

「あーまた撃たれた! このポンコツ、ちょっとはミサイルとかグレンキャノンとか使えないの? あいつら全部吸い込めるマイクロブラックホールでもいいわよ」

 冗談にならないから物騒なことを言うんじゃない。放っておくと、惑星をぶったぎるビームソードだの超新星を消滅させる大砲だの言い出しかねない。誰か何とかしてくれ。俺はべつに人類の終焉が見たいわけじゃないんだ。

 見ることになったけどな。
2006年6月6日(火) でーでー
 くわねさんより、デュマレスト復刊してるのですか。昔16巻あたりまで読んで挫折しましたが、2巻目から物語の軸がはっきりしたような記憶が。
 小説に登場する食べ物で最も心惹かれるのは、この『デュマレスト・サーガ』のベイシックと、ダンセイニ『魔法使いの弟子』の厚焼きベーコンなのです。最近だと、キョン妹の残しかけたピーマンというのもありますが>MK2さんへの挑戦状。
2006年6月7日(水) mixiバトン
 しゅんたんのとこからmixiバトンいただく。

あなたのミクシィネームは?そしてその由来は?

 くるぶしあんよ。由来は、IRCにて新HNを募集したらこれになりました。

今現在表示されているあなたの「写真」はどんなものですか?

 Zoroさんからいただいた可憐。ぼくのアニプリ考察はそもそも可憐への恋文
 (自分の妹になってくれという)でした。

今あなたのトップページに表示されている9つのコミュは?

 ・眞深 〜あの人〜
 アニプリの13人目のヒロインであります。

 ・可憐ちゃん同盟
 妹の可憐であります。
 
 ・長谷川裕一
 大ファンであります。でも最初に読んだ作品は雑誌連載の『童羅』。

 ・しすアン
 毎度お世話になっております。

 ・好きスキ!さく&ちか
 百合というより、甘くて苦い妹カップリングは好きです。

 ・シスタープリンセス
 もう言うまでもなく。

 ・萌え文集
 ぼくのホーム。部室。
 文集そのものは、そのとき各人が抱く狭義の「萌え」を濃縮発酵させたような内容で、
 次また機会があれば書けるというものでもないのでしょうけれど、
 いま書けそうな人達だけで第3集を編むというのもそろそろありかも。

 ・ペルシャが好き!ですの。
 好きなんです。はい。原作も持ってます。うっすらぱー。

 ・佐藤大輔ファンページ
 アド・テクノスを知っている者は幸いです。

トップにいる9人樣にバトンを回します。

 mixi外なので、いちおここまでということで。
2006年6月8日(木) ウェルカム・ハルヒ
 今年の夏合宿に訪れた島は昨年のあの離れ小島とは趣も異なり、階段状に整った街並みの美しい「癒し系テーマパーク」だった。「癒し」なんつうのも流行がいまやはるか後方へ過ぎ去った気配だが、日頃さんざんくたびれさせられている俺には一周回ってちょうどいいタイミングである。
 島の管理者であると紹介されたおっとりした感じの青年は俺たちとそんなに歳も離れていないようで、鶴屋さんといいどうしてこう金持ちなのに性格もよさそうな同年配とお近づきになりやすいのかね。しかもこれからお世話になる屋敷の人達が、なぜか美人で優しげな女の子ばかりときた。名字が管理者とみな同じ「海神」なのでどうも一族経営らしい。自分にとりえを一つももたらしてくれなかった先祖代々の遺伝子に繰り言をつぶやいているうちに、ボートのチェックを終えた古泉がやってきていつもの微笑みを暑苦しくふりまいた。
「一族どころか、もっと親密な間柄だそうですよ」
 なんだ、まさか一夫多妻だとか言うんじゃないだろうな。
「全員、航さんの妹だそうです。12人いるとか」
 面白い冗談だ。これが宇宙船訓練としてもまだ1名多い。それとも、今回はそういう旧家にまつわるドロドロの設定で推理ネタをしこんだのか。どこかの水たまりから足が2本突き出てるなんてのは止めてくれ。
「今回のはそういう予定ではないですし、冗談でもありません。本当にご兄妹という話です。組織ともハルヒさんの能力とも無関係ですよ。ちなみに、そのうちのお一人は推理マニアだそうでして、準備のさいにはいろいろ助かりました」

 そして、古泉の言ったとおりであることを俺はすぐさま知ることになる。
 航さんたちの御両親の事情を詮索するほど俺も失礼な人間ではないが、ハルヒも根ほり葉ほり聞き出していなかったのは、こいつも初対面の人間に対するあの礼儀正しさをまだ維持しようとしてるってことか。被った猫をひっぺがすのも時間の問題として、まあ波風をたてないのは結構なことだ。
 団長が島の地図を広げて何かよからぬ計画を立案している横で、朝比奈さんは可憐さんや咲耶さんといった年長妹の方々と談笑している。さながら三女神といった風情だが、それでも俺が金のリンゴを誰に渡すかは迷わないね。一方、長門はすみっこの方で、亞里亞ちゃんとかいった年少のフランスお人形みたいな妹さんと、ひたすらじっと見つめ合っている。何か通じ合うものがあるのだろう、そっとしておいてやろう。などと思っていると、
「ほらキョン何をぼさっと突っ立ってるの、秘密基地へ行くわよ!」
 いきなりハルヒが蝉を追い散らす大音声で叫ぶ。なんだその秘密基地って。
「鈴凛さんの怪しい発明品が、子供の手の届かないとこに隠されてるんですって。島の住人達も知らない超弩級の極秘情報だけど、四葉さんがあたしたちだけこっそり連れてってくれるって」
 そういう危険な品々は、お前の手にこそ届かない方がいいんだが。まあ、こんな一夏の客人に来島初日から教えちまうような秘密情報は、たしかに超弩級だろうよ。空母艦載機に叩かれたあげく、目標直前でくるっと反転して帰っていくような。
 作戦の決定的一瞬における指揮官の決意について俺が深遠な分析を試みようとしている間に、ハルヒはとっとと話をまとめてしまっていた。急な話に今後の予定を大きく狂わされそうな航さんは、やはり驚きと困惑を隠しきれていない。すみませんこういうヤツなんです、慣れない方にはご迷惑でしょうが。もちろん慣れていただく前に俺達はここを離れるのだろうし、そもそもハルヒの奇天烈ぶりに慣れるヤツなんてこの世にはいない。

 ところが、そのあと航さんが見せた表情は、ただの商売人としての愛想笑いでもなく、古泉のような気色悪いデフォ顔面でもなく、いわく言い難い深みを見せていた。なんというか、まるでこういう事態に慣れ親しんでいるかのような。俺が引っかかりを覚えたまま航さんを見ていると、こちらの視線に気が付いたらしく顔を向け、今のともまた違う微笑。なんなんだ。背後に気配を感じて振り返ると、再び近寄ってきた古泉が、工具入れをかかえてまたニヤニヤしてやがる。言いたいことがあるならはっきり言え。
「そっくりでしたね」
「何がだ」
「表情がですよ。航さんがいま妹さんたちの思いもよらぬ行動を見たときの表情と、あなたがいまハルヒさんの突発的命令を受けたときの表情です」
 何が言いたい。
「そして航さんは、そんなあなたの立ち位置が自分とよく似ていることを直観したんでしょうね。あなたに向けた微苦笑は、そういう共感的なシグナルではないでしょうか」
 まあ、いくら可愛い妹でも、12人もいればそりゃ大変だろうよ。俺なんて小学6年生1名でも手に余ってるくらいだ。
「しかし、あちらはその苦労のしがいがあると思っておられるようですよ。日々の疲労感よりも、相手への愛おしさの方が優越しているのでしょう、きっと」
「……奇特な人もいたもんだ」
「おや、あなたは共感的に理解できるものだと思っていましたが?」
 クスクス笑う古泉に俺はトランクを放り投げると、渡し船から残りの荷物を引きあげに戻った。

 ようやく荷物が片づいて一息入れる間もなく、ハルヒに率いられた俺達はたちまち秘密基地とやらに向かうこととなった。ハルヒと並んで先頭を行く四葉さんの元気のよさをみるに、これで鶴屋さんが合流したならどういう恐ろしい事態になるのだろうね。朝比奈さんが巻き込まれてなけなしの体力を消尽してしまう前に、なんとかその水着姿を拝んでおきたいものである。
 ふと視線を感じて、妄想にゆるみきった顔の筋肉を慌てて引き締めると、長門がいつもながらの無表情で俺の顔をまっすぐ見ながら、ぐるぐる模様のキャンディーを手に握っている。もらったのか。
「……」角度にして2度ほどこっくり。
 あの亞里亞ちゃんからか。
「そう」
 ……よかったな。仲良くしてもらえそうじゃないか。後でお前からも何かお礼をしておくといいぞ。例えばチョコレ−トとか、そんなのがいいだろう。
「……」
 わずかにうなずいた気配がして、長門はぐるぐるを口元に運んだ。銀河星雲からやって来た宇宙人には、こういう渦状なお菓子の味もまた格別なのかもしれない。
2006年6月9日(金) ウェルカム・ハルヒ2
燦緒へ。

今年も暑いね。そっちの様子はどう? リゾート楽しんでる?

ぼくたちの方は、まあ、相変わらずにぎやかな毎日を送っている。
鈴凛ちゃんや四葉ちゃんは、「眞深ちゃんが戻ってきたときのために」って
何やらまた新しい発明に取りかかっているみたいだし、
山田は、「燦緒を越えるのはこの夏が勝負だ」ってすごく張り切っている。
鞠絵ちゃんのことは、とても心配してくれて本当にありがとう。
退院してからというものずっと体調がよくて、
お医者さんからも、とてもいい見立てをいただいたんだ。
勇気を出して治療を受けて本当によかった、って嬉しそうにしているよ。
ぼくもそんな鞠絵ちゃんの勇気を分けてもらえたからかな、
島の経営もなんとか頑張ってやっているつもりだ。
じいやの指導は厳しいけどね……。

そうそう、こないだ話した鶴屋家のことだけど、
提携がうまくできそうなんだ。
これも燦緒のアドバイスのおかげだね、感謝している。
それでね燦緒、その鶴屋家のお嬢さんが、
こんど島に遊びに来ることになったんだ。
高校のサークルの合宿なんだって。
リーダーが「団長さん」って呼ばれてるそうだけど、
応援団かなんかなのかな? とにかく賑やかな人達らしい。
燦緒達がいなくて寂しがっている妹達には、
ちょうどいいお客様になりそうだね。
ぼくの方は、ちょっと緊張してる。相手は鶴屋家の跡継ぎだもんね。
失礼のないように、可憐ちゃんや咲耶ちゃんたちとよく相談するよ。
燦緒からもまたアドバイスもらえると助かるな。
あんまりリゾートのじゃまをすると、眞深ちゃんに叱られちゃうけどね。
それじゃ。

追伸:
燦緒は、予知夢って信じる?
2006年6月10日(土) ウェルカム・ハルヒ3
 今宵は…………なんて激しい西風だろう…………怒り猛るゼフィロスが、島をなぎ払い、深淵の彼方へとうち沈めようとしているかのようだ…………。そこにはもしかすると、光に汚されるにはあまりに繊細な…………闇の女主人が、兄くんの純粋な魂のおとないを待ち続けているのかもしれない…………永劫の時の果てから至る、長い、ながい月日を塗り込めた暗黒の中で…………。
 そうだよ、兄くん…………。兄くんの魂を欲しがっているのは、私だけじゃないんだ…………。その輝きに貫くような痛みを覚えながら、密かに指を伸ばして…………その痛みのうちに息づく甘美なためいきを、求めてやまないんだ…………。
 だから、私は…………兄くんを誰にも渡さないために、夜更けにこうして星々の狭間に語りかけるんだ…………。兄くんが私だけのものであることを知っている、頭上にひろがる永劫の闇に向かって…………。闇を打ち払うことができるのは、もうひとつの闇だから…………。

 …………おや…………。
 西風のかいなが星々を薙いだのか…………いや、風のせいじゃない…………臆病なまたたきが、何かを恐れていっそうわななき震えているようだ…………。…………そうか…………ゼフィロスは、怒り狂っているんじゃない…………この風の暴君さえも、星々とともに、何かを恐れて喚いているだけなんだ…………。それは一体…………何ものなのか…………。
 そのとき、私の背後に音もなく舞い降りたのは…………私の敵であり、私そのものでもある存在…………。

「…………やあ…………君だったのか…………?」

 黄色い帽子を目深にかぶったその幼い女の子は…………しかし、わずかに首を横に振り、猛烈な風の中をただ黙って立っていた…………。そして、口元をきっと結んだまま右手を突き出すと…………小さな手のひらに包んだ、赤い宝石のはまった金色の鍵を、私に差し出したんだ…………。

「…………これを…………私にあずけるというのかい…………? だが、そんなことをしたら…………」

 そう…………私にこの鍵をあずけたならば…………私は、いよいよ兄くんの魂を…………この手に収めることができてしまう…………。あの礼拝堂で、兄くんと一緒にいたとき…………もしもこの鍵があったなら…………私は、兄くんと永久の契りを結べていたに違いないんだ…………。そして、この鍵を手にした今だって…………。
 …………しかし…………。

「わかったよ…………扉を開けるのは、私…………そして、私たちなのだから…………」

 そう言って微笑んでみせると…………女の子は、帽子のつばに顔を半ば隠したまま…………口元を、やっとわずかにほころばせた…………。そうだとも、私は…………兄くんを守ってみせるよ…………。きみの、その想いは…………わたしと同じものだから…………。
 風のいたずらに一瞬目を閉じて、再びまぶたを開けたとき…………女の子は姿を消していた…………。約束したからね…………私は、兄くんを守ってみせる、と…………今までどおり、たとえいかなる運命の破片が降り注ごうとも…………。たとえ相手が、神とも見まがおう存在だとしても…………。

「…………フッ…………」

 兄くん…………神に戦いを挑んだルシフェルは…………星々の狭間で、こんなふうに笑ったのかもしれないね…………。
 そして私は…………金色の淡い輝きを左の胸にそっとしまいこむと…………明朝の来客に備えて、早めに眠りにつくことにしたんだ…………。その客人の力と闘うために…………今宵は兄くんの夢を、ゆっくり味わねばならないからね…………。

 フフフ…………おやすみ、兄くん…………そして深く、冥く、甘い夢を…………。
2006年6月11日(日) ウェルカム・ハルヒ4
 <がひょーーーーーん>

 間の抜けた音を道連れに、まぁるい島の真ん中めがけて落ちる俺様。
「おわーーーーーっ!?」
 またもや神の気紛れな怒りによって、どこか遠くの場所に飛ばされたようだ。むかむかむか。今度また会ったら尻にカオスをつっこんでやる。そのカオスもなぜか手元にない。シィルともども別のところに分散したのだろう、神のくせにどこまでもワンパターンなやつだ。
 などと考えてる間に地面がみるみる接近してくる。俺様のようなスーパーヒーローがこんな事故でくたばっていいわけがない。なにしろ俺様の女達が泣いて悲しむ。それでもただのヒーローだったらそのまま地面とお友達になるとこだろうが、そうは問屋がおろさない。なにしろここにいるのはスーパーがつくヒーローだからだ。さすが俺様、がははは。
 さいわい予備に背負っていた剣<ぷりょスレイヤー>を抜きはなつと、迫る地面に向けてどっかと(踏ん張る足場はないけど)構える。激突する寸前に、ランスアタックの反動で速度を打ち消すのだ。
「よーし、ランスアターーーーック!!」
 振りかぶった剣を全身で振り抜く、その瞬間にしかし俺様の目に飛び込んできたのは、ちょうど降下予定地点のあたりでこちらを見あげるがきんちょの驚いた顔。
「げっ!? そこをどけ!」
 思わず剣を最後に横ざまに薙いだため、ランスアタックの軌道がずれ、俺様の体もあっちに吹っ飛び、ご無体なポーズのままくるくる回って池の中へ。

 <ばしゃーーーーん>

「ぶわっ!? お、溺れる!」
 鎧の重さでみるみる沈むうわー。どうにか装備を半分がた切り離したものの、もはや息が続かない。お、俺様はこんな間抜けな終わりを迎えるのか……。
 ……シィル……。

「うーん……あれ?」
 気がつくと池のほとりで横たわっている俺様。目の前には、黒髪ロングポニーテールのあでやかな凛々しい美少女が、唇を接近しつつある。そうか、溺れた俺様に人工呼吸をしようとでもいうのだな。うむ、グッドだ。黙って寝ていよう。
「あ、春歌ちゃん。この人、目が覚めたみたいよ?」
「まあ、ほんと」
 遠ざかる桜色の唇。あああー。さすがに怒って起きあがる。
「余計なことを言うな、ちびすけ!」
「ヒナ、ちびすけじゃないもん!」口をとがらすちびすけ。
「うるさい、お前はちびすけで十分だ!」
「あらあら、元気になったようですね。安心しました」
 やんわり微笑む黒髪の少女は、どうやら俺様を引っ張り上げてくれたらしい。意外に力あるのか。だが顔立ちも胸の大きさもべりーないす。うはうは。
「雛子ちゃんがワタクシを呼びにきてくれたんです。空から落ちてきた人が溺れてる、って」
「そうだよ、だからヒナも命の恩人なんだよ」
 なにを生意気な。だいたいこのちびすけがぼんやり立っていなければ、無事に着地できたはずなのだ。しかしこっちの春歌ちゃんとやらの機嫌を損なうのもよくないな。
「うむ、助かった。礼を言うぞ春歌ちゃん」
「いえいえ、ご無事で何よりです」
「ちびすけもよくやった。ちびすけにしては上出来だ。やるなちびすけ」
「もー! ちびすけじゃなくて雛子だよ!」顔を真っ赤にして膨れている。がはは、やはりガキだな。
「そのご格好ですと、新しいアトラクション担当の方ですね?」春歌ちゃんが変なことを訊く。「本当にご苦労様です、また楽しいショーを見せて下さいね」
「あ、そっか。それでプロミストパークから飛んできたんだね」ちびすけ雛子も納得した模様。「すっごい剣だね、こんどはお姫様と騎士さまものなの?」
「違う、俺様はヒーローなのだ」
「ふーん、ヒーローなんだ。じゃあ、冒険ものなのかな」
 誤解があるようだが、ここはひとつ乗っかっておくか。春歌ちゃんともっと仲良くなるためにも。にひひ。
「うむそうだ、大冒険だ。お前が観たらあんまりすごいんでちょんべんちびるぞ」
「そんなことないよー!」
「あ、いけない。もうすぐお客様達が到着されるんでしたわ。もしパークにお戻りになるのでしたら、よろしければ途中までご一緒にいかがですか? −−ええと、」
「ランスだ。よし、行こう」

 というわけで、俺様が降り立ったのは、見知らぬちっぽけな島。
 その名も、プロミストアイランド。
 なんにせよ、うまい飯といい女にはありつけそうだ。
 まずは体力の回復だ。うんうん。
 そのうち、俺様の女達を探さねばならん。
 面倒をかけさせたあいつらには、あとでおしおきだ。
 そして、

「そうそう、なくなってないだろうな」
 下着のかくしの中をまさぐると、
「おお、あった」
 つまんで取り出したのは、1枚の羽。
 銀色に輝くそれは−−。
「……翼人、か」

 『Rance XII −約束の乙女達−』
2006年6月12日(月) 投げ
 さすがにもう続きません>ウェルカム・ハルヒ。とりあえず昔考えていた「プロミストアイランドでランスがにはは」という無茶苦茶な二次創作設定に、さらにハルヒを追加するという暴挙です。いわば妄想ハイペリオン。
 しかし物語って書けませんね! だめだ。このあとどういう風に各人が関わっていくのかはどなたか考えて下さい。たぶん基本ラインとしては、「そんな馬鹿な」と「やれやれ」がしっくり噛み合いながら、「よしグッドだ、がはは」が暴走するさまを団長殿がアトラクションと思いこんでさらにブースト、カラスがカァという感じでしょうか。ちなみにハイパー兵器は封印。

 つか登場人物大杉。妹達がまだ全員でてきてないのに。ダン・シモンズ先生すごい。
2006年6月13日(火) さっか好きか
 サッカーW杯決勝トーナメントを観ていて、各チームの展開の速さにいちいち驚いているわけですが。しかも代表的プレイヤーがどの試合でもちゃんと(ぼくにも分かるような)目立った仕事をしてるという凄さ。いやでもスーパースターが活躍するのって実力通りでごく自然なことだよね、と思いつつ何か喉元にひっかかっていましたが、ああそうか。そんなごく自然な凄さを楽しむことが、日韓大会ではさっぱりできなかったんだ、と納得。日韓の視聴者にはあれこれ面白い大会でしたけど、世界のサッカーファンにとってはなかば悪夢だったのかもしれません。

(この日記をメモしていた時点では、あんな決勝戦になるとは夢にも思っていませんでした。)
2006年6月14日(水) いろいろすみません(下品)
 何度試みてもPC直りません。あまりに溜めすぎなので部分的にでも更新。

 馬鹿話。

らむだ「合体ロボットで、操縦席もススッと同じ場所に集まるのがあるけど、
    パイロットも数珠繋ぎに合体してたらやだよねえ。」
美 森「まさにコックピットか。」

 ダイラガーやサウザンガーはもう修羅場です。

らむだ「『あしゆびチュッパチャップス』からいろいろ連想してたんだけど、」
美 森「その最初のがそもそもよく分からんが。んで?」
らむだ「『あしゆび歯ブラシ』というのはどうだろう。
    歯磨きがくせになるほど習慣化するというアイテム。」
美 森「そんな磨きにくい歯ブラシ使えるか。」
らむだ「でも口の中にいれる時間は人によってやたら長いから、
    磨きにくくてもトータルで考えればちゃんと役立つよ。」
美 森「どうせお前のことだから、しじゅう口に入れっぱなしになるんだろ。」
らむだ「そんなことはないですよ!」
美 森「そうか?」
らむだ「『あしゆびチュッパチャップス』とローテーションしますよ。」

 実際の商品を想像するとえらい怖いわけですが。
2006年6月15日(木) いまごろ4話
 アニメ版ハルヒ第4話、ファミレスで各人が食べてるメニューですが。国木田はカレーか、谷口はチョコパフェ(甘党?)、鶴屋さんはピザ、長門さんはBLTサンド(原作通り)、朝比奈さんは和食(焼き魚?)、キョン妹はハンバーグ(原作通り)、ハルヒはエビフライ、キョンは…オムライス? ちょっと意外な組み合わせもあり。
 その直前、キョンが2回戦出場辞退をハルヒに説得する場面。あそこで原作だとハルヒは「あんたは、それでいいの?」と訊いてるのですが、アニメ版ではその台詞が省略されるかわりに、続く「ま、いいわ」云々のとこに「あんたがそれでいいなら」と付け加えて、きちんとフォローしてます。この「あんたは〜」という台詞は、『憂鬱』での「あんたは、つまんない世界にうんざりしてたんじゃないの?」というあの言葉を静かに反響させながら、ハルヒがキョンに意志決定を初めて委ねたという、記念すべき瞬間なのでした。で、数日後には再びキョンに向かって「どっちがいい?」ですから、読者としましても古泉とはまた違った微苦笑を浮かべる次第です。

 ちなみに長門有希の100冊。このうち既読なのは、2.『エンディミオン』、7.『クレープを二度食えば。』、12.『バブリング創世記』、23.『ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論』、29.『デュマレスト・サーガ』(15巻あたりまで)、41.『法の書』、42.『イーリアス』、43.『真ク・リトル・リトル神話大系』、53.『イメージシンボル辞典』、84.『ダーコーヴァ年代記』(12巻あたりまで)。少なっ。
2006年6月16日(金) あああ
 本日の夕暮れ:

 ピザ食べる→指にタバスコつく→うたたねする→股間をいじる→悲鳴
2006年6月17日(土) いつもの会話(下品)
 馬鹿話。

らむだ「『貧乳おかしらつき』ってどうだ。」
美 森「いや、どうだと言われてもなあ。
    つまり、乳首がついてるってことか。」
らむだ「ないのもあるのか!」

 後でこれを思い出したり。

美 森「しかし相変わらず意味不明なことばかり言うね。」
らむだ「そういうのが案外、名言として親しまれるのかもね。」
美 森「そんなことないです。」
らむだ「あうー。」
美 森「まあ、『屁のつっぱりはいらんですよ』はそうかな。」
らむだ「あ、あれは最近意味が分かりました。
    腸カメラ飲んだあとの気持ちがまさにそれ。」

 あれはほんとにいりません。
2006年6月18日(日) 読書羞間
 本屋に立ち寄って書棚の間を徘徊していたところ、小学校低学年としか思えない背格好の女児が、何か難しそうな文庫本をそっと開いて熱心に読んでます。あれ? どこかで見たようなサイズと段組、と思ってよくよく見れば、目の前の棚はフランス文庫。
 うわーやばーい、ちょっと早すぎーと思ってすぐ隣のSF棚へつつっと横歩き。わざとらしく空咳などすると、女児がぴくっと身をすくめる仕草。そこでぼくは一言、「やらないか」(嘘)。
 いや、若干プレッシャーをかけたのち新書棚へと移動して、またこっそり戻ってみるとすでに女児は消え去っておりました。おかっぱのかわいらしい子でしたが、あの雰囲気はもしかしたら座敷童だったのかしら。そんなことはないですよね。だってプールのにおいがしたんだもん(通報)。
 それにしても、ああいう本に興味を持つのはまあ仕方ないとして、その棚の真ん前で読みふけっちゃいけませんよね。例えばコバルト棚まで移動してからじっくり、とか。ぼくは子供の頃、よく岩波文庫の前まで移動してましたが。あれって今思えば、どう見てもバレバレ。

 更新環境再構築、もすこしでなんとか。
2006年6月19日(月) ぷにゆかば
 「なぜ人を殺してはいけないのか」と問う子供に対しては、「うん、別にいけなくはないよねえ」と笑って首を絞めてあげればいいのではないでしょうか(極論)。死なない程度に。で次に、自分が殺されたくないように、普通の人はみんな殺されたくないんだよ、と分かれば、少なくとも日常レベルではおけ。共感的に理解できない場合は、殺したら殺されるぞ、という理解でも。まあ、そういうことをする大人をそもそも信用しないでしょうけど。
 もう一つは、そういう問いを発する人が、誰かに理不尽な目にあわされていて、そいつを殺したいほど苦しんでいる、という場合もあるでしょう。その場合は、問い自体よりもその問題を解決する手助けをする、と。

 メモより。この頃、こういう話題がどこかで出ていたみたいです。
2006年6月20日(火) めれちん
 『皇国の守護者』漫画版を2巻まで読む。直衛の顔の陰影が原作でのイメージに比べてあまり深くありませんが、そのぶん「卑しい」表情が分かりやすくてこれはこれで。そして姉の泣きぼくろに何故にか動揺。これ、原作に描写ありましたっけ。物語は、西田の死を劇的なものにするなど、かなり変更しており、それぞれ効果的に思えます。原作文章で長々と説明してある内容が絵のはしばしに細かいながらもきちんと表現されているのも丁寧。ただ、あの夢の場面は……あの独白、後で齟齬をきたさないかとやや心配。原作でもああだったかしら。
 そいえば猪口曹長の造形も、イメージとはちょっと違ってたかな。この顔もなかなかではありますが、ぼくが想像してたのはもう少し細めの顔立ちで目つきが鋭くて、ええと、範馬勇次郎みたいな。文字通りの鬼曹長。つか一人で帝国軍を海にたたき込めます。
 ちなみに、メレンティンの顔イメージはギャリソン時田でした。
 そんな細かいとこは個人の趣味次第としても、全体として原作の雰囲気を絵の中に巧みに移植しながら、漫画ならではの新たな面白さを付け加えてくれている良作です。単行本でのれいこ(麗子?礼子?)の登場が待ち遠しいですね。
2006年6月21日(水) 5年目のクレーフォー
 四葉への誕生日プレゼント。屋根の上でも使える携帯ユリアポッド(ぱぁん
 島では、彼女も18歳ですね。性格はだいぶん落ちついたのかしら。
2006年6月22日(木) 叩かれ
 この頃より、2chなどに貼られたハルヒ考察が叩かれはじめたっぽい。「自作自演」とまで言われてしまいましたが、あうー。ぼくは自意識過剰なので、宣伝するなら自分とわかるかたちでやりますよ(厨)。とはいえ紹介してくださってる方もご好意によるものと思いますし、参照していただけるのは素直に嬉しいです。

可憐「どなたか分かりませんが、紹介してくれてありがとう!」

 それは謝意になってません。ええと、引用はもちろん自由ですけど、その場合、ご自身の考え(ぼくの解釈への批判とか)もあわせて書いていただけたら、いいな、と。つか、2chでもどこでもすごく面白い解釈がすでにあちこち記されてるので、そういう手間ももはや不要かも。

 メモより。その後、ふたばあたりでは「自分の文章に酔っている」という批判も受けました。ひ、否定できない。
2006年6月23日(金) へんたいひこうだー
 mixiより【変態バトン】。

■1:あなたは変態ですか?
ぼくを知る人はみなさんそう言います。なぜ。

■2:ぶっちゃけ変態ですよね?
はい。

■3:レジが何個かあったら、とりあえず店員が格好良い or 可愛い方のレジに並ぶ。
気弱に見える方に。

■4:電車に座ったときに、となりにイケメン or カワイイ子が座って欲しいと激しく思う。
電車よりもバスがいいですかね。2人席が多いので。てか、あまり思いません。

■5:漫画『殺し屋 1』が大好き。
未読です。

■6:今ちょっと好きな人がいる。
激しく好きな人なら。可憐とか。

■7:異性に大事なのは匂いだ。
匂いも臭いも大事です。だいじというか、おおごとというか。

■8:こんなバトンに真面目に答える人はちょっと変態だと思う。
うん、せいぜい「ちょっと」ですよね。本物の変態は不言実行してるはずで。

■9:もう一度よく考えて下さい。あなたやっぱり変態ですよね?
まあ、いいとこ不完全変態。ごきごき。

■10:最近自分がやらかしてしまった変態エピソードを教えてください。
最近はないです。

■11:過去にやらかしてしまった変態エピソードを教えてください。
うーん、しびんでビールとか。てか、書けるかそんなエピソード。

■12:『あ、私(俺)ってちょっと変態かも』と思うことを挙げてください。
幼児をだっこしたとき、性欲なしに肉体が反応したことがありました。
あ、これって上の回答に使えましたね。

■13:実は私(俺)、異性の○○が好きなんです。
妄想。背中。過去。

■14:最後に一言どうぞ。より変態チックに。
最近は、大阪の取説の夢とか見られなくなってるし、たぶんぼくの変態の泉は涸れ始めてるんだと思います。それに限らず全般的に頭が固くなりつつあるのかもしれませんが。新しい妄想を繙いたつもりでも、ふと検索してみると同じことを数年前に自ら語っていたりするのです。こうなると何を考えてももはや繰り返しにすぎないわけですから、チベットのお寺にあるような、1回転させるとお経を1回読み通したことになるというあれを自作して、黙ってぐるぐるしてみるとか。もちろん、唱えたつもりになるのは下品な妄言(罰当たり)。回るとこにはぱんつ被せて。

■15:変態だと思う人に「たくさん」回して下さい。
どうぞお好きに。
2006年6月24日(土) 支離滅裂
 すっかり前の話題になってしまいましたが(本日記更新は7月半ば)、シャナ夏葉薫さんより。サイト名ほめていただきどもですー。すると、ぼくが想定したような記憶の抹殺というのは言い過ぎで、むしろシャナが「報い/責任」として引き受けざるを得なくなるというその経路を描くことで、ひとたび抹殺されかけた死者の記憶がかえって殺害者に強固なものとして突きつけられるのですか。
 これに対してしゅんたんの意見も、ぼくの場合にはかつて救いのないSFなどを読んだときに感じた「ふさけた話」つまり絶望的な世界設定への「怒り」を指し示していて、これもすごくよく分かる。もしかしたら、シャナ達もこれからそこへと向かうのかもしれませんが。
 で、この問題はシャナ原作を読まないとぼくの結論も出てこないわけですけど、ハルヒ原作に重ねて考えてみますならば。『陰謀』で登場した敵対グループの者達、とくにあの嫌な感じの少年あたりは、まさにこの「ふざけた話」だという感情を、ハルヒやキョンやSOS団員の希望に添って構築されてしまいそうな未来と世界に対して、持っているということになるんでしょうか。あの少年の場合、そこに、変更させたくてもその試みさえすでに規定事項にすぎない、結局はどこにも自分の自由意志など存在しない、という虚無感に到達しているように見えます。その、絶望と不即不離であるような足掻く意志が、ではそのことをもって肯定的に受け入れられるかといえば、彼らが望む世界はよりいっそう他者を排除するものなのかもしれませんし、だいたい朝比奈さんがそう悪い人でもないと判断してるのでたぶん問題ありません(何なんだ)。いやまあ、そのへんがハルヒシリーズというか。
2006年6月25日(日) 復旧
 というわけで、PC環境がほぼ完全に復旧しました。美森氏どうもありがとう。ブラウザを立ち上げるとなぜかメモ帳が開いてタグが並ぶ、という状態に陥ったあの頃が夢のようです。滞った返信・更新を急ぎはじめます、失礼しました。

 朝番プリキュア。みのりのおかげで、いっそう変化の兆しが。幼い子がここまであけっぴろげに他人を信頼するのは最近ちと危ないとする向きもあるわけですが、それでも、こういう瞳を向けられた大人がその期待に自分をあわせてしまうということは確かにあって。第1期のこれを思い出しました。
2006年6月26日(月) においもの設定
 以前IRCでネタになっていた、「匂い・臭い」をテーマにした魔法少女ものを、全13話くらいでぽちぽち考えてみるの巻。

<タイトル>『香水天使 セイント・コーミィ』

     香水天使はパヒュームエンジェルと読む。
     セイントはSaintとscentをかけている(でも発音があってない)。

<ねらい>女の子にとっていつも気になる「匂い」を主題としつつ、
     5歳〜10歳女児向けの香水・香り付きアイテムを商品展開する。

<主要登場人物>

春野かおり:主人公。小学3年生。少し引っ込み思案だけど心優しい少女。
      お風呂が大好き。シャンプーハット愛用。寝癖が悩みのタネ。
      はやく素敵な女性になりたいと願っている。
おとうさん:会社員。煙草好き。
おかあさん:専業主婦。最近、化粧が濃い。

バブル:シャンプーハットの妖精。いろんなあわから召喚される。
アロマ:可愛い柴犬。じつは魔獣。

みはやちゃん:ケーキ屋の娘。のんびり者。かおりと仲良し。
モレナちゃん:ドイツ人のハーフ。自尊心が強いが、じつは恐がり。
かけるくん:サッカー少年。かおりの幼馴染みでケンカ友達。
沢谷先生:明朗快活な担任。かおりの片思いの相手。

スティンカー:世界の悪臭化を目論む秘密組織。様々な魔人を町に送り込む。
ネスティ:少女戦士。毒ガスと催眠ガスが武器。人間の少女・黒岩アスカとして教室に潜入する。
オドレス:スティンカーの主。その正体は謎。
2006年6月27日(火) においもの第1話
第1話「あわから、あわわ」

 この春に小学3年生になったかおりは、子供っぽさ返上とばかりに、大好きなお風呂に一人で入ることに決めた。しかし、かおりはシャンプーハットがないと頭を洗えない。被らずに頑張ってみたものの、目にしみて仕方なく母親を呼ぶ始末。
 これではいつまでも大人になれない、と焦るかおりは、窓からシャンプーハットを投げ捨てようとするが、どうしても手が離れない。そのとき星々の間から飛来してきた虹色に輝くシャボン玉が、かおりの部屋に漂いこむと、シャンプーハットに触れた。とたんに輝きは部屋を包み込み、妖精バブルが姿を現した。
 かおりは驚いて声も出ず、バブルが話すのをただ見つめる。バブルの故郷であるパヒュームランドから、妖精たちはかおりの世界に幸せな匂いを日々運んでいるのだ。ところが、この世界にいまや、不幸をもたらす組織がその手を伸ばそうとしているのだという。しかも、まさにこの町に。
 説明を飲み込めないまま、かおりはバブルに連れ出される。すると通りでは、あちこちに開いた下水口から吹き出す悪臭によって、通行人が次々と倒れていた。立ちすくむかおりをマンホール魔人の攻撃が襲う。あやうく家まで逃げ延びたかおりは母親に事態を説明できないまま、臭うわね、と風呂場に連行される。どうしていいか分からないかおりに、バブルはシャンプーハットを被って魔法のシャンプーを使うように促す。その通りに洗髪し始めた瞬間、かおりの体は虹色に輝く泡にくるまれて、香水天使セイント・コーミィが誕生したのだった。
 感嘆する間もなく風呂場の窓から再び現場へ向かうと、なおも暴れる魔人に呪文を唱えて、巨大な魔法のあわで包んで空に飛ばしてぱちん。見事に敵をやっつけた。やった、とはしゃぐコーミィだったが、体を覆い隠すあわが次第にはじけていくことに気づいて、慌てて家に戻るのだった。

 次回、第2話「ふわふわ、リンス」。
2006年6月28日(水) においもの第2話
第2話「ふわふわ、リンス」

 進級時にクラスがえを行った教室で、かおりは引っ込み思案なためになかなか新しい友達が作れない。前から仲良しのみはやが他の同級生たちとの仲立ちをしてくれるものの、クラス女子をはやくも仕切りだしたモレナに気圧されて、かおりはますます内にこもってしまう。憧れの沢谷先生にも、もっと元気を出してなどと言われて、かえってへこむ。
 翌朝、モレナから漂ういい匂いが女子たちの人気を呼び、その秘密が新製品のリンスにあると教えられる。賑やかな雑談を離れた席から聞いていたかおりは、自分もモレナにあやかりたくて、帰宅後におこずかいを握りしめて買い物に出かける。しかし、店に並んだ新製品は大人向けで値段も高くて手が出ない。仕方なく子供用の棚に足を運ぶと、そこには偶然にもモレナがいた。同級生に気づいた途端、手にした商品を慌てて後ろに隠すモレナを見て、かおりは教室の彼女と違う何かを感じつつ、ぎこちない挨拶をかわす。
 そこに突如、パイプ魔人が出現すると、詰まり物の悪臭を周囲にまき散らしながら暴れ出した。恐怖に怯えたモレナは、腰を抜かして座り込んでしまう。かおりは咄嗟にモレナをかばい、体を引きずってトイレの個室に連れ込んで、ここでじっとしてて、と言い残し扉を秘めると、洗面所の石けんを泡立ててバブルを召喚し、セイント・コーミィに変身する。魔人をパイプクリーナーで攻め立てて最後はぱちんとやっつけた後、元の姿に戻ってトイレに向かうと、ちょうどモレナは少しちびった下着を洗面所で手洗いしている最中だった。
 モレナは大失態に顔を青ざめさせるが、かおりもまた戦闘の衝撃で少々ちびっており、「じつは、わたしも……」と脱いで洗い始める。かおりの照れた横顔を見つめるうりに、モレナはいくぶん心を和らげて、先ほどのかおりの勇敢な行動を思いおこし、本当は臆病な自分を助けてくれたことに感謝する。思わぬ言葉にさらに照れたかおりは、ふとモレナがさっき手にしていた子供用リンスに話をそらす。じつは姉の購入した新製品リンスを勝手に使ってしまったことがばれて怒られ、やむなくいつものを買いに来たのだという。そんな裏話にかおりは思わず笑ってしまい、モレナもややむくれはしたもののつられて声を合わせた。こうしてともだちになった二人には、洗ったパンツの冷たさもいくぶん心地よく感じられたのだった。

 次回、第3話「くんくんアロマ」。
2006年6月29日(木) においもの第3話
第3話「くんくん、アロマ」

 みはやと一緒に下校中、かおりは、よれよれな柴犬の子が倒れているのを発見する。手をこまねく二人のもとに沢谷先生が通りがかり、知り合いの動物病院へと連れ帰る。さいわい命に別状なく、三人は首輪のないこの犬をどうするかで話し合った。
 犬を気に入ったかおりは、帰宅して母親にお願いするが、案の定だめと言われる。だが、娘が珍しく我を通そうとしているのを感じた父親は、率先して世話をすることや途中で投げ出さないことなど約束のうえ、飼うことを許可してくれた。喜ぶかおりは早速子犬を家に連れて戻り、アロマと名付けて世話やしつけを始める。アロマはトイレのしつけも不要なほど賢くてかおりたちを驚かせるが、体を洗うことをいやがるほか、なぜか洗濯前の汚れ物の中がお気に入りだったり、かおりの膝裏をなめたがったりと、やや奇行も目立った。散歩に連れ出すとあちこちでいたずらを始め、しまいには公園にいたモレナのスカートの中に首を突っ込んで、動物の苦手なモレナに悲鳴をあげさせる始末。かおりはペットを飼うことの大変さを思い知るのだった。
 そんなある日の夕暮れ、アロマが突然唸ると散歩紐を振り切って駆けだした。慌てたかおりが後を懸命に追いかけ、ようやくわんわん吠える声のもとに辿り着いたとき、アロマがポリバケツ魔人から通りすがりの老人を守ろうと立ちはだかっている姿を目にする。ポケットに入れている携帯用シャンプーでコーミィに変身するが、老人をかばって危機に陥る。だがそのとき、魔人の足下を襲ったアロマのおかげで、コーミィは一発逆転をものにした。
 老人の無事を確認したのち、元の姿に戻ったかおりはアロマを抱きしめて頭をなでてやった。嬉しそうにしっぽをふり、かおりの首筋をぺろぺろなめるアロマは、今日はお風呂でいっぱいきれいにしてあげるからね、と微笑むかおりの言葉に、たちまち血相を変えて腕の中から逃げだすのだった。

 次回、第4話「うきうき、ケーキ」。
2006年6月30日(金) においもの第4話
第4話「うきうき、ケーキ」

 みはやの家は、町で人気のケーキ屋さん。だからといって毎日ケーキを食べられるわけでもないと言うが、かおりはいつも羨ましくて仕方ない。もうじき発売予定の新作ケーキのことを教えてもらい、バブルともどもわくわくして待っていた。
 しかし、町周辺ではここしばらく食中毒事件が大量発生していた。注意を呼びかけるニュースを見ながら、かおりは別段気にも留めずにプリンを食べていたが、父親までもが食中毒で病院に運ばれたという電話を母親から知らされる。思わずスカートにこぼしてしまったプリンをアロマが舐めとるのに気づかないほど、かおりはショックを受けていた。
 軽症ですんだ父親を見舞うなか、かおりは看護婦たちの立ち話を小耳にはさむ。事件発生した各店舗で不審人物の目撃情報があるというのだ。怖いながらもみはやの店のことが心配になり、何となく近くに立ち寄ると、まさにタッパーウェア魔人が中身の腐乱物から病原菌をまき散らそうと、裏口を探している最中だった。
 驚いたかおりはポケットをまさぐるが、今日に限って石けんなどを所持していない。焦る中でふと思いつき、店に入っておじさんへの挨拶もそこそこに買い物をし、裏口へ回ってそのショートケーキの生クリームをすくいとった。微細なホイップを使って何とか変身できたコーミィは、ともだちの店とケーキを守るために、魔人をたちまちぱちんとやっつけた。しかし、元の姿に戻ってからも、変身に用いたクリームの甘く濃い匂いが消え去らず、当初は喜んでいたかおりも次第に胸焼けがしてきてしまう。帰宅後すぐさま体を洗ったかおりが風呂場から出たとき、母親が笑顔とともに差し出したのは、今日発売のあの新作ケーキだった。

 次回、第5話「むずむず、かさぶた」。

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