アニメ版『シスター・プリンセス』初期の危機とその超克

〜第3話の2つの表を手がかりに〜



はじめに 〜問題と視点〜

 第3話「お兄様といっしょ」を観て気づくのは、妹達が作成した2つの表が、ごく無造作にではあるが、何度も画面に登場しているということである。アバンタイトルの画面を拡大してみると、これらの表が、ウェルカムハウス内の当番表と、<お兄ちゃんと一緒>表であることが分かる。
 管見の限りでは、これらの表の内容についての考察は、これまでなされていない。とりわけ<お兄ちゃんと一緒>表については、この話の最終部において破かれてしまっているため、その話限りの小道具としてのみ認識されているようである。きわめていい加減な作品と批判されやすいこのアニメ版では、そのような先入観でとらえられても仕方のない面はある。
 しかし、作品全体におけるこの第3話の位置づけを考えてみれば、そこに一つの疑問を提起することができるだろう。つまり、この話では、前回で全員揃った妹達がようやく出会えた兄に対して過剰な関わりをもとうと努力し、それゆえに発生した危機を乗り越えることで、兄も妹達もその後の家庭的関係を構築する段階へと進むことができたという、全編を通じてきわめて重要な内容が示されている。これをふまえるならば、破棄されてしまった表に示されていたものこそ、妹達が当初期待していた生活像を読み取り、その後の変化をたどるために、無視しえない意義をもっているのではないだろうか。
 このような観点から、今回、DVDの映像を拡大してこれらの表を復元し、その中身をふまえながら、第3話の内容について若干の検討を行うこととする。検討する2表については各章に示してあるが、こちらにも別ファイルとして置いてある。別ウィンドウで開き、以下の説明と合わせて参照されたい。


T 当番表について 〜妹達の義務〜

当番表[実際には表題なし]
 月  火  水  木  金    
朝  食 可 憐 咲 耶 可 憐 咲 耶 可 憐  衛 白 雪
四 葉 鈴 凛 白 雪  衛 春 歌 鞠 絵 千 影
昼  食 (なし) (なし) (なし) (なし) (なし) 咲 耶 咲 耶
鈴 凛 春 歌
夕  食 咲 耶 可 憐 咲 耶 可 憐 咲 耶 可 憐 可 憐
白 雪  衛 四 葉 鈴 凛 白 雪  衛 鈴 凛
配 膳 ・
洗 い 物
鈴 凛 白 雪  衛 春 歌 鈴 凛 春 歌  衛
眞 深 眞 深 眞 深 眞 深 眞 深 眞 深 四 葉
買  物 咲 耶 可 憐 咲 耶 可 憐 咲 耶 可 憐 可 憐
 衛 春 歌 鈴 凛 白 雪  衛 四 葉 咲 耶
洗  濯 (なし) (なし) 可 憐 (なし) (なし) 咲 耶 鞠 絵
白 雪 眞 深 春 歌
白 雪
風呂掃除 咲 耶 四 葉  衛 春 歌 鈴 凛 白 雪 (眞深)
 航  航  航 可 憐
掃除(屋内) 鈴 凛 白 雪 眞 深 千 影  衛 春 歌 千 影
四 葉 春 歌  航 白 雪 鞠 絵 眞 深 四 葉
掃除 (外) 春 歌 (なし) 四 葉 (なし) 春 歌 咲 耶 可 憐
鞠 絵 鈴 凛 鈴 凛  航  航
おてつだい・
備品交換
花 穂 雛 子 亞里亞 花 穂 雛 子 亞里亞 (なし)
雛 子 亞里亞 花 穂 雛 子 亞里亞 花 穂

 月曜日から始まるこの表は、主人公達が住むウェルカムハウスにおける家事の役割分担を定めたものである。ややくせのある縦長の文字で書かれているが、誰の字かはこの時点では分からない。


1.食事関係

 まず、調理全体での当番回数の内訳は、可憐・咲耶(各7)、衛・白雪・鈴凛(各4)、春歌・四葉(各2)、鞠絵・千影(各1)となっている。
 平日の朝食と夕食は、可憐と咲耶を主力とするローテーションを組んでいる。二人は朝夕で入れ替わり、そのペアを組む相手は白雪(3)、衛・鈴凛・四葉(各2)、春歌(1)。なお、平日の昼食には白雪を中心に作られた弁当をとるとすれば、表にはないものの白雪が毎朝台所で忙しくしているはずである。
 土日の食事は、朝は可憐・咲耶の主力が休み、代わりに鞠絵や千影が土日専属で入る。一方で両日とも昼食は咲耶、夕食は可憐が担当する。ここでも、白雪はおやつ作りなどに自発的に関与しているだろう。

 次に、配膳・洗い物をみると、主力2名以外がローテーションを組む一方で、眞深が日曜以外毎日担当しているのが特徴的である。
 買物は、夕食担当の主力と、調理・配膳等の担当でない年長者がペアを組む。買物は下校時に行うと考えられる。
 この二つを合わせると、眞深(6)、可憐・咲耶・衛(各4)、鈴凛・春歌(各3)、白雪・四葉(各2)となる。

 以上を食事関係として一括すると、各人の当番回数は、
可憐・咲耶(各11)、衛(8)、鈴凛(7)、白雪・眞深(各6)、春歌(5)、四葉(4)、鞠絵・千影(各1)

である。


2.洗濯・掃除関係

 ここでは食事関係以外をまとめて扱う。
 洗濯は白雪(2)、可憐・咲耶・鞠絵・春歌・眞深(各1)。ただし、土曜の咲耶は可憐かもしれない(文字が判別しづらい)。
 風呂掃除は航(3)、可憐・衛・咲耶・白雪・鈴凛・春歌(各1)。ただし、月曜の咲耶は可憐かもしれない(同上)。航の当番回数が多いのは、男子風呂を使う唯一の人間だからである。日曜の眞深がカッコ入りなのは、男子風呂の汚れがひどくなければ可憐は女子風呂も掃除するが、もし必要ならば男子風呂掃除に可憐が専念し、眞深を女子風呂掃除にあてる、ということだろう。
 屋内外掃除は、屋内が白雪・千影・春歌・四葉・眞深(各2)、衛・鞠絵・鈴凛・航(各1)。屋外が鈴凛・春歌・航(各2)、可憐・咲耶・鞠絵・四葉(各1)。ただし、土日は、可憐と咲耶が航と外掃除のペアを組む。
 おてつだい等は、花穂・雛子・亞里亞(各4)がローテーションを組み、日曜は3人とも休む。

 以上を合計すると、各人の当番回数は、
春歌・航(各6)、白雪(5)、花穂・雛子・鈴凛・四葉・亞里亞・眞深(各4)、可憐・咲耶・鞠絵(各3)、衛・千影(各2)
である。


3.解説

(1)本作品における妹達の年齢

 両方のカテゴリを合わせると、各人の当番回数は、
可憐・咲耶(14)、白雪・鈴凛・春歌(11)、衛・眞深(10)、四葉(8)、航(6)、花穂・雛子・鞠絵・亞里亞(4)、千影(3)
となる。この配分原理が公平を期しているとすれば、それは各人の年齢や体力などに応じた配分を実現しようとするものだろう。
 航はまさにこの第3話から高等部の新入生となり、また第2話で自分の年齢を15歳と公言している。そして可憐と眞深を除く11人は、幼稚園・初等部・中等部のいずれかに就学している。それゆえ、このアニメ世界では、妹達はおおよそ14歳以下であることになる。

 まず、可憐の年齢について。航と同学年(高校1年生)ではあるが、「外国に行ってたから」高等部に飛び入学した、という台詞から、本来は中学生相当ととらえるべきだろう。すると、飛び級を可能とするような経歴はどのようなものなのか。ここで、滞在中に就学していた外国での義務教育制度とその年数が問題となる。つまり、
(1)日本の義務教育期間(9年)より1年以上短く、かつ中学校卒業と同程度の学力を保証できるか、あるいは
(2)日本の義務教育期間と同年数で、1年以上早く修了できる
という条件のいずれかが、ここでは必要となるのである。この観点から実際に諸外国の就学期間を調べた(リンク先日記5/21分の追記参照)ところ、(1)については義務教育8年間という経歴が複数の国(イタリア、ルーマニアなど)で可能であり、また、これ以上短い就学期間では、「外国に行ってたから」という理由での飛び級は困難と判明した。そして、(2)については、就学が日本より1年早い国が存在した(イスラエルなど)。どちらの場合にも、航と可憐が同級生になるためには、可憐は航の1つ年下、つまり14歳である必要がある。当番での位置づけが咲耶と対等であることからも、この想定は信憑性が高い。つまりアニメでは、可憐は、最年長者の一人なのだ。
 ここから、当番回数が同じ咲耶もまた14歳(ただし中3)と考えられる。

 続く白雪・鈴凛・春歌は、全員13歳(中2)とする。

 『12人いる!』「TVシリーズ全話解説」(第3話分)によれば、中等部以上と初等部以下は制服の描写から判別できる。これにしたがい、残る中等部所属は、鞠絵と四葉となる。そこで、この二人を12歳(中1)とする。ここまで、中3は14回、中2は11回、中1は8回と、3ずつの等差数列になっている。もちろん鞠絵には病身ゆえの配慮がなされている。

 衛が10回もの当番をこなしているのは、鞠絵達の代わりをつとめられるだけの体力をもってしてのことである。中等部所属ではない以上、体格からいっても、初等部の最上級生、11歳(小6)であろう。

 花穂はクラブ活動を行える学年であるゆえ、9歳(小4)か10歳(小5)となる。おてつだい要員に含まれていることを考慮し、下の妹達との年齢差をあまり大きくしないために、9歳(小4)をとる。第13話では英語の宿題をしているようにみえるが、小学校にも英語教育が導入されようとしている現在、とくに重大な問題ではない。

 同様に、亞里亞は7歳(小2)、雛子は第3話中で幼稚園児であることを明言しているので、5歳(幼稚園年長)とする。
 ただし、第5話で雛子がメールで「学校の教室でもピョンピョン」と発言していることに注目すると、雛子は去年まで幼稚園児だったために、いまだに自分が通っている小学校を「幼稚園」と言い間違えてしまうことがあったのではないか。こう考えると、雛子は6歳(小1)という可能性も高い。亞里亞とさほど年齢差を感じさせないところをみると、むしろこちらが適切とも考えられる。ただし、この学園のような複合的学校施設では、幼稚園児が初等部教室を使用する場合もありえるので、断定はできない。

 千影はたった3回の当番だが、彼女の普段の役割こそは、この物語全体にかかわる重要性をもつため、表に示される回数と年齢は対応しないと考えられる。これだけの不審な振る舞いをしながらも、可憐や咲耶に対して独立独歩の関係をもちうるとすれば、年齢は同じ14歳(中3)にしておくのが妥当だろう。

 眞深は航と同級生であるが、当番回数は13歳(中2)程度でしかない。これは、苦労の多い皿洗いを一手に引き受けている分の負担軽減によるのか、目立ちすぎて可憐や咲耶の敵意をひかないための自己抑制か、本来13歳なのか、など様々な理由が考えられる。
 「体格からは衛と同じ11歳程度と皆に思われた眞深が、衛と同様に他妹の分を負担したものの、実年齢は15歳だった」という仮説をとれば、眞深は燦緒と双子の妹ということになる。体格が小さいのは体質や栄養失調などのためだろう。
 また、眞深が実際に13歳前後であるとすれば、なぜ彼女が高等部に入学できたかということになるが、これは、彼女に航を監視させようとする燦緒の策謀と、これに対して可憐に眞深を監視させようとするじいやの策謀とが重なったためであろう。しかし当然この場合、入学資格としての学力に相当無理が生じる。
 あるいは、可憐と同じ「外国に行ってたから」飛び入学できる年齢として14歳、ただし経歴がコロンビアやインドの現地学校に就学、という仮説も不可能ではない。この場合、彼女の生活力の高さは納得できるものとなり、一応不満がない。ここでは、とりあえずこの説をとることにしよう。

 以上をまとめると、当面の年齢設定として、下記の通りとなる。


   14歳:可憐、眞深(高1)
       咲耶、千影(中3)
   13歳:白雪、鈴凛、春歌(中2)
   12歳:鞠絵、四葉(中1)
   11歳:衛(小6)
   9歳:花穂(小4)
   7歳:亞里亞(小2)
   5・6歳:雛子(幼稚園年長あるいは小1)


 結論として、アニメ版は、原作と若干異なる年齢設定を行っている。飛び級などによって可憐の地位が高められているのは、たんに彼女をメインヒロイン扱いしようと横車を押しているのではなく、すでにこの設定の段階で、それが可能なように作られていた。事実、第II章でみるように、可憐は、物語の展開のうえできわめて重要な役割を演じるが、それはこの年齢設定によって、きちんと基礎づけられていたのである。

(2)各項目について

 食事関係では、可憐・咲耶が主力であるのはともかくも、白雪より衛や鈴凛が多く登場していることに驚く。しかしこれは、大抵の場合に主力の補助にとどまることを考えれば納得できる。また、白雪は暇があれば台所にいるだろうし、平日の弁当や毎日のおやつでもその真価を自主的に発揮しているので、当番の枠をもはや離れている。もしこの当番制に問題があるとすれば、鞠絵が倒れた土曜日の朝が衛一人になること、また日曜の朝は必ず事件がおきそうなこと、である。
 配膳・洗い物での眞深の位置づけには注意が必要である。これは、多人数分の食器片付けという難問に対して、おそらく生活にも苦労してきた眞深の皿洗いバイト経験が最大限に活かされていると考えられる。調理当番にならないのは、調理の腕前というより、この皿洗いの負担に対するバランスだろう。あるいはすでに眞深に疑念をもつ可憐が、食事に毒物などを混入されないように手配したということかもしれない(食器に塗られると危ないが)。また、眞深のペアは体力自慢か、機械の支援を期待できることが多い。ここでもやはり日曜に不安が残るが、見かねた眞深が結局手伝ってしまうという予測もなりたつ。なお、可憐と咲耶は調理の主力という名目でこの洗い物に関わらないことにより、手荒れを未然に防いでいることにも注目したい。

 買物ペアは、食材中心ゆえに夕食当番の主力が一方を担当するが、14人分の必要量とペアの体力の差を勘案すると、水曜には木曜(可憐、白雪が当番)の分まで大量に買い込みメカ鈴凛で運搬するのではないかと考えられる。その場合木曜の献立を予め知らされる必要があるが、それはおそらく白雪が水曜の朝食を作りながら尻を振りつつ決定することになる。

 洗濯は土日主体だが、中日の水曜にも可憐と白雪が担当する。航の下着を間に両者拮抗することだろう。なお、この両名が洗濯のために早く帰宅することで、咲耶・鈴凛が買物から戻れば、ただちに可憐と白雪が木曜の夕食分の食材を適切に保管・下ごしらえできるというメリットもある。

 風呂掃除は男子と女子で分担されるが、男子風呂は唯一の使用者である航が週3回、そして日曜に徹底的に洗うために可憐が担当する。おそらく対抗上、咲耶は月曜の風呂掃除で男風呂もチェックするのだろう。この場合、航とペアという点で咲耶が得をしているようだが、可憐も航の残り湯などを独り占めできることを考慮すればほぼ引き分けであり、お互いの性格にも合致した分担といえるだろう。

 屋内外の掃除は中堅が担当するが、航とペアを組めるのは可憐、咲耶、眞深の3人だけである。可憐と咲耶はたった1回の当番ながら、おそらく「土日は徹底的に外掃除」の名目のもと、この組み合わせを押し通したものと考えられる。なお、月水金はメカ鈴凛による内外の美化が試みられるだろう。この掃除における問題点があるとすれば、水曜の掃除当番が屋内の白雪と千影の二人だけという点であるが、これにもすでに対応策が講じられている。つまり、白雪が環境美化のつもりで屋内にデコレーションしたクリーム等は、翌木曜当番の鞠絵操るミカエルが責任を持って舐め取ることになり、さらに残る三人は千影の残した何物かを除去しうるよう屈強な者が揃っている。なお、千影は掃除がてら、呪術に用いるための航の痕跡(毛髪や爪など)を求めて徘徊することになるだろう。とくに木曜は男子風呂場が狙い目である。

 おてつだい等担当の三人は、他の姉達の手伝いのほか、花瓶の花や水を換えたり、花壇に水を撒いたり、鞠絵と一緒にミカエルを洗ったりする仕事を受け持つ。日曜は三人とも遊ぶ日である。

(3)各人の役割と課題

 皆が引き受ける負担の程度を分かりやすくするために、当番表を各人ごとに再編成してみた。

(各人の当番一覧)
当番回数 想定年齢
可 憐 朝食 夕食,買物 朝食,洗濯 夕食,買物 朝食 夕食,買物 夕食,買物,
風呂,外掃除
14 14
花 穂 手伝い (なし) 手伝い 手伝い (なし) 手伝い (なし) 4 9
 衛 買物 夕食 配膳,風呂 朝食 買物,内掃除 朝食,夕食 配膳 10 11
咲 耶 夕食,買物,
風呂
朝食 夕食,買物 朝食 夕食,買物 昼食,洗濯,
外掃除
昼食,買物 14 14
雛 子 手伝い 手伝い (なし) 手伝い 手伝い (なし) (なし) 4 5-6
鞠 絵 外掃除 (なし) (なし) (なし) 内掃除 朝食 洗濯 4 12
白 雪 夕食 配膳,内掃除 朝食,洗濯 買物,内掃除 夕食 風呂 朝食,洗濯 11 13
鈴 凛 配膳,内掃除 朝食 買物,外掃除 夕食 配膳,風呂,
外掃除
昼食 夕食 11 13
千 影 (なし) (なし) (なし) 内掃除 (なし) (なし) 朝食,内掃除 3 14
春 歌 外掃除 買物,内掃除 配膳,風呂 朝食 外掃除 配膳,内掃除 昼食,洗濯 11 13
四 葉 朝食,内掃除 風呂 夕食,外掃除 (なし) (なし) 買物 配膳,内掃除 8 12
亞里亞 (なし) 手伝い 手伝い (なし) 手伝い 手伝い (なし) 4 7
眞 深 配膳 配膳 配膳,内掃除 配膳 配膳 配膳,洗濯,
内掃除
(風呂) 9
(10)
14
(12-15)
 航 風呂 (なし) 風呂,内掃除 (なし) (なし) 風呂,外掃除 外掃除 6 15

 可憐は食事の主力として毎日当番をもち、とりわけ日曜の午後から月曜の朝にかけて多忙である。日曜の外掃除が兄とペア、また男風呂掃除の担当であるというアドバンテージをもってしても、多忙による兄との接触の薄さは避けがたい。このことは、土曜日の重要性を増す(夕食の支度は必要だが)ほか、朝食以降は何もない月曜や、(後に判明する)兄と同じ教室にいる時間の価値を増す。

 花穂は年少者の一人に数えられ、お手伝いという半端仕事しか任されていないようだが、一方で自発的に花壇の世話を行い、また雛子と亞里亞の面倒をみることが、自分自身の成長にも反映することになる。しかし、表作成者が意図したように、兄を応援する以外に年少者を励ますことも自分にできると気づくまでは、その成長も今しばらくは遅々たるものなのかもしれない。

 衛は食事関係の当番に入れられることが多く、その一方で外掃除は担当しない。これは、衛自身が「女の子らしい」ことも身につけたいからか(鞠絵とのペアが多いあたり)、他の妹達の配慮ないし嫌がらせか、あるいは当番でなくても衛が自発的にローラーブレード用のコースを保全するために外掃除を行うからか、いくつか納得しうる理由が挙げられる。しかし、土曜の朝食と日曜の皿洗いは緊張が走る

 咲耶はもう一人の主力として食事全般を受け持ち、土日は昼食も担当する。土曜は洗濯物を兄に手伝ってもらいそのまま外掃除というコンボ、日曜は午後の可憐との買物に兄もつき合わせるかあるいは午前中に勝負をかける。これらによって、(後に判明する)平日に兄と教室が違う不満を解消することにもなる。月曜の風呂掃除も密室ゆえの利点が期待できる。

 雛子はお手伝い要員として、花穂に率いられて様々ないいことやいらんことをすることになる。土日は当番も連休となるため、 外掃除中の兄にからんだり、風呂掃除中の兄にからんだりと、家の敷地内で大活躍が期待できる。しかし、じつは水曜以外は兄のペアが可憐・咲耶のトップ2であるため、返り討ちを食らう危険性が高いのが厳しい現実ではある。

 鞠絵は病弱ゆえにさほどの当番をもたない。調理も意外と体力を使うので、専ら掃除を受け持つ。洗濯についても日曜に当番があるが、体力が不安なため特別に三人制となっている。全般的にペアの相手はタフな者があてられ、このフォローをまた気に病むことでさらに体調を壊すという悪循環が予想されるが、ミカエルの世話を毎日行うなど、表にはない特別な役割もないわけではない。

 白雪は思いのほか食事関係から外されているが、これは第3話でも描かれているように、原作よりも味覚破壊料理傾向がやや強調されているからであろう。しかしお昼の弁当は勝手に担当するだろうし、おやつも同様であることを考えれば、それ以上の問題を発生させないために掃除洗濯にも当番を適宜入れたのは、表製作者の賢明な判断と言える。なお、土曜の風呂掃除は隠れたチャンスである。

 鈴凛は意外にも食事関係の当番が多いが、これはメカをあてにされていることもある(第2話では台所でバーナーを用いていた)だろうし、食事を作れる女の子になりたいという本人の希望もあるかもしれない。ただし朝食・昼食はサンドウィッチになりそうだが。金曜に洗い物と風呂掃除と外掃除が一度に担当となるものの、おそらく風呂掃除以外はそれなりに機械化している。空き時間は機械の開発や改良に専念しているはずである。

 千影は当番回数がきわめて少ないが、他人には理解できない次元で家の安全を管理しているだけでも充分すぎるといえる。それでも日曜朝の献立には不安が残る。この人を白雪や四葉と組ませるあたり、表作成者がよほど何も知らないのか、それとも作成者自身がペアを組みたくなかっただけなのかは不明だが(最年長同士は組まないということかも)、ともあれ正面衝突しそうな衛・鈴凛・春歌や、影響を受けてしまいそうな年少者達を避けたのは結果的に最善であった。白雪や四葉なら興味を覚えつつ結局何の影響も受けないからだ。

 春歌はその年齢や能力に応じて多くの当番を割り当てられているが、調理そのものの担当は2回しかない。これは、本人の調理能力に問題がある(大量の和食が作れないなど)のでなければ、表作成者の意図によるものであろう。掃除当番が多いという点からも、たんに体力に期待したという以上の、小姑的作為を読み取れる。ここで救いなのは、春歌本人が天然なためその作為に気づかず全く傷つかないということである。空き時間は自発的に台所に入ったり、修養や屋敷周辺のパトロールなどに精を出していると考えられる。

 四葉も掃除中心の当番を受け持つが、春歌と異なり仕事の信頼性に欠けるだろう。とくに鈴凛や千影とペアを組むときは、両者の得体の知れない実験を黙って(口はうるさいが)チェキしていそうで不安が残る。しかし、両者の看過した問題点を指摘してくれるという意外性も備わっていそうなので、理にかなった組み合わせとあえて言うことも不可能ではない。木金は暇なので調査やそのまとめを行うのだろうが、それ以外でも空き時間は兄のチェキにあてるはずだ。

 亞里亞は雛子とともに花穂に率いられ、お手伝いしたり昼寝したりぼんやりしたりすることになる。休みが日月なので雛子よりも割を食っている格好だが、当人にしてみればそのような事情は問題にすらならないと思われる。「くすん」と横車を押せばそれですむからである。なお、体力がなさそうに見えるが、じつは第2話では台所で溶接用シールドを構えるだけの腕力を垣間見せており、見かけにだまされてはいけない。だいたい毎日あの格好でいることにはそれなりの体力がいるだろう。

 以上、この当番表は、各人の年齢や体力、個性などに応じて、それなりの公平さを実現していると考えられる。もちろんそこには各妹の思惑が垣間見えはするが、もはやそれは、定められた役割分担の中での個人努力の範疇に属する。そして、当番とは航との共同生活を維持するために必要な義務だとすれば、これを全うすることで、兄と一緒にいられる権利を各人が公平に獲得できるはずであり、それは次の<お兄ちゃんと一緒>表によって保証されるはずであった。



U <お兄ちゃんと一緒>表について 〜妹達の権利〜

<お兄ちゃんと一緒>表   表作成 四葉
   月  火  水  木  金  
  9:00   雛 子 鈴 凛 白 雪 亞里亞  衛 白 雪 咲 耶
  10:00  四 葉 亞里亞 花 穂  衛 咲 耶 雛 子 鈴 凛
  11:00  咲 耶  衛 四 葉 春 歌 白 雪 鈴 凛 四 葉
  12:00  (全員) (全員) (全員) (全員) (全員) (全員) (全員)
  13:00   衛 四 葉 雛 子 花 穂 千 影 四 葉 春 歌
  14:00  鞠 絵 春 歌 亞里亞 雛 子 四 葉  衛 可 憐
  15:00  花 穂 花 穂 咲 耶 四 葉 雛 子 亞里亞 鞠 絵
  16:00  白 雪 雛 子 鈴 凛 鈴 凛 亞里亞 花 穂 雛 子
  17:00  亞里亞 千 影 四 葉 白 雪 鞠 絵 咲 耶 四 葉
  18:00  (全員) (全員) (全員) (全員) (全員) (全員) (全員)
  19:00  四 葉 鞠 絵 千 影 咲 耶 可 憐 春 歌 花 穂
  20:00  可 憐 白 雪 春 歌 可 憐 四 葉 鞠 絵 白 雪
  21:00  春 歌 四 葉  衛 鞠 絵 花 穂 四 葉 亞里亞
  22:00  鈴 凛 可 憐 鞠 絵 四 葉 春 歌 可 憐  衛
  23:00  千 影 咲 耶 可 憐 千 影 鈴 凛 千 影 千 影

 当番表の横には、妹達のそれぞれが兄と一緒にいられる時間を公平に確保するために、朝9時から夜11時までのローテーションを完全に決定した表が掲示されている。これが「<お兄ちゃんと一緒>表」(そう明記されている)である。
 この表の文字は、当番表に比べて子供っぽいはっきりした形をしている。表の右上にははっきりと、「表作成 四葉」と記述されていることからしても、明らかに四葉の手になるものであろう。「お兄ちゃん」という表記から、当初は可憐の字かと錯覚したが、基本的に兄を指すときの共通語として「お兄ちゃん」を用いるようだ(第1話での風呂場のメッセージボードなど)。ただし、この表の原案が可憐だった可能性も若干ある。


1.全体的特長

 表を見てまず気がつくのは、当番表では月曜から始まっていたのに対して、こちらは日曜から並べられているという点である。ここには、兄のそばにいるという意味では土日も平日も対等であるという考えをひとまず読み取ることができる。春休みの間なら問題はないが、しかし全員が学校の生徒であることを考えるだけでも、これはあまりに空理空論でしかない。平日の登校時間を割り当てられた者は、授業を除いた休み時間にしか航に会うことができない。ただし、ウェルカムハウスのように他の妹に邪魔される可能性がないだけでも、メリットを感じるのかもしれないが。
 それゆえ、この曜日のずらしには、表製作者の何らかの欺瞞意図を予感することもできる。例えば、咲耶は金曜日17:00に割り当て時間をもっているが、この日の夕方は、彼女は買物と夕飯の仕度で忙しいはずなのだ。咲耶が航を買物や台所にまで付き合わせようという気ならともかく、もしそうでないとすれば、わざと当番表とずらされて書かれているために、咲耶がそのことに気づかなかったという可能性もある。このようなトリックは他にも、水曜日16:00の鈴凛が買物当番であるなど、若干見てとれなくもない。
 ただし、この表の作成者が四葉であることを考えると、いずれもたんにうっかりだった可能性の方が高い

 これと関連して、各人の持ち分には、時間的な偏りがある。例えば千影は夜中に集中しており、雛子や亞里亞は大半が夕食前にある。一方、同年代でも可憐や春歌は夕方以降に多いが、咲耶は比較的どの時間帯にも分散している。ここでも可憐がいかに登校時間以外に自分の割り当てを集中させているかが分かるだろう。咲耶でさえ平日午前中に1回は我慢して入れているのに、である。

 しかし、何より問題なのは、この表がじつはそもそも各人に公平な機会を与えていないという点である。一応は妹の一人として潜入している眞深の名前がこの表の中に存在しない。つまり、全時間を13分割しているにもかかわらず、毎日一人分が本来空いてしまっていることになる。しかし表では、そこを四葉が一人で埋めてしまい、毎日四葉の名が2回出てくることになっているのである。はたして、表を作成した四葉が、自分の独断でこのような利己的で不平等な決定を下したのだろうか。そして、それを他の妹達は黙認したのだろうか。


2.時間配分についての合意成立過程

 この表を作成するにあたり、妹達はどのような原理にたって合意したのかを考えるために、まず、この表が作られた経緯を想像してみよう。

 第2話で13人の妹が揃ったとき、そこにあったのはお互いの存在への驚き、喜び、そして当惑と微妙な緊張感である。お互いの性格もまだよく分からず、手探りで関係を築いていこうという段階では、それぞれの兄を想う気持ちや、兄をよく知りたいという欲望は、放置しておけば簡単に衝突し、やがて妹同士の相互不信や全面対決さえ惹起しかねない。利己的欲求を剥き出しにして兄を奪い合う、いわばホッブス的な「万人の闘争状態」の危険性がここにある。そしてまた、その争い以前に、このウェルカムハウスでの共同生活をいかにして可能にするかという問題も、急いで解決する必要があった。14人もの大所帯の中で、航が満足できる生活環境を維持するには、各人が個々バラバラに生活しているわけにはいかない。

 そこで両方の問題を解決するため、当番の分担を決める一方で、兄に対する各自の権利を保障する最も簡単な方法を、年長者、あるいは四葉が提案した。つまり、学年的な遠近の差はあれ、同じ星見が丘西学園に通う生徒として対等な立場にある(とりわけ航だけが高等部に所属するならば妹達は皆平等に離れていることになる)という仮定のもと、兄との関係を各自緊密にしていける機会を時間的に平等に保障する、というものである。これを四葉が主張したのであれば、時間という基準を用いたあたり、英国で疎外されていたとはいえさすがにパブリックスクール的規律の中で生活していただけのことはある、と納得できる。
 それはともかく、いわば社会契約に基づく公正な共同体の創造が、ここでなされるわけだ。ただし航という絶対的価値をもつ存在を中心にする以上、この共同体はむしろ宗教的なそれに近いかもしれない。兄の前では全員が平等、ということである。こうして、この表は、当番表の横に、当番と対にして守るべき律法のごとく貼り出されることとなる。これを破る者は、当番を無視して集団生活の秩序を乱すのと同様に、兄をめぐる妹達の相互信頼関係を不可能にするものと位置づけられたわけである。

 そのさい、千影は自分の目的にかなうように深夜の時間配分を希望した。鈴凛も深夜の作業のために1回分要求し、これらを受け入れながら可憐と咲耶も1回ずつ深夜枠を獲得した。咲耶が先なのは主導権を握るため、可憐が後なのは咲耶の行動に対応するためであり、二人の対照的な戦略が見て取れる。一方、雛子は休日の朝一番を熱望した。亞里亞は同じ日曜に無理に対抗せず、その代わり、土曜の寝る前に本を読んでもらいたがった。これは、そのまま添い寝させてしまえば後に続く衛や千影は意外と黙認してくれそうなうえ、さらに翌朝の雛子の時間に不可避にくいこめるという作戦であり、さすがにフランス仕込みのしたたかさを示している。他にも、衛は兄の体力が残っている時間帯に、春歌はお稽古事のお披露目やお灸が可能な夕食以降に、鞠絵も移動が困難でない屋敷にいる時間帯に、などといった意見をそれぞれ出したのかもしれない。そして、可憐の割り当てが全て登校時間以外ということは、可憐が他の妹達に「学校での楽しい時間を他の妹達に譲る」という態度をとりつつも、可憐自身が登校時間を度外視していたということを推測させる。

 ところが、ここでこの作業に積極的に参加できない者が一人いた。もちろん眞深である。固定的時間に拘束されると、かえって自分の秘密任務に差し支えるからだ。そこで、言葉を濁しつつ遠慮しようとしたため、他の妹達から不審に思われ次第に窮地に陥いったかどうかは分からないが、ともかくその眞深分の時間の再配分という難問に皆で頭を悩ませ始めた。どうやっても残る12人で公平に分けられないからだ。
 ここで名案を思いついたのが表作成者の四葉である。すなわち彼女は、

「全部この四葉にお任せなのデス、名探偵である四葉がみんなのために兄チャマをチェキしちゃいマス!」

と宣言したのだ。眞深の分まで自分の持ち時間とすることで、四葉は航をチェキするためにより多くの機会を得ることになる。そして、そのチェキの結果得られた兄情報は、四葉から皆に伝達され共有されるというわけだ。
 航と初めて会い、初めて暮らす妹達にとって、これは魅力的な提案であった。何より、情報の平等という新たな観点が優れていた。兄についてのより多くの情報を四葉から得ておけば、それを各人が自分で聞き出すための余計な手間は不要となり、自分の貴重な割り当て時間をそれだけ有効に用いることができる。一方、当の四葉にしてみれば、自分自身への割り当て時間でもどのみち兄のチェキに専念する予定だった(学校で飛び跳ねつつ「何でもチェキ!!」しているのはつまりこの現われである)ので、その時間が2倍になるのは手放しで利益といえた。

 こうして、表の名前を眞深から四葉に置き換えることで、全ての準備は整った。あとは、実際にこの表にしたがって行動できるかどうか(ついでに、四葉が役に立つかどうか)にかかっていた。そして、この時点では誰一人として、自分からすすんでこの協定を破って抜け駆けしようとは思っていなかったはずなのである。これを遵守することこそが、妹達にとって相互闘争を回避し共同生活を保持し、航との関係を構築するための唯一の基盤であるからだ。


3.合意の破綻

 しかし、日曜からの配列順にも明らかなように、平日の学校生活における各人の環境の優劣を無視したきわめて形式的な解決を図ろうとするのは、例えば、偶然航と出会ったにもかかわらず会話もできないという異常性に対する欲求不満を呼び起こすことになり、また逆に、やむをえない「偶然」を装った狡猾な行動を助長することにもつながるのではなかろうか。時間という枠組みでの規律化は、やがてその解釈や妥当性をめぐって破綻する可能性を少なからずもっていたのだ。
 だが、そのような崩壊過程をとる以前に、最初の登校時で早くも致命的な問題が発生した。少なくともこの表を作成した段階では、可憐(と眞深)が航と同級生になるという事態は未だ判明していなかった。しかし、登校直後に明らかになる可憐のこの圧倒的に有利な立場(眞深は自分の持ち時間の放棄というかたちであらかじめペナルティを負っている)は、当然ながら可憐に対する羨望・嫉妬と、この表の「公平さ」に対する不満を呼び起こすこととなる。

 ところで、なぜ可憐が飛び級によって航と同級生になれたかを、ここであらためて検討してみよう。このプロミスドアイランドは、一切が航と妹達のために構成されている箱庭、楽園である。その楽園を総括しているのがじいやであり、学園もまたその管理下にあるはずだ。とすれば、可憐の飛び級は、じいやが必要だと考えたからこそ実現した。では、なぜじいやはこれを必要としたのか。それには、二つの理由が予想される。
 一つは、海神家と「山神家」の闘争の問題である。この構図は、『12人いる!』「TVシリーズ全話解説」(第26話分)において仮説として提示されているが、本稿ではこれに依拠しつつ推論することにしよう。まず、もともと12人の妹達を呼び寄せたのがじいやであるならば、眞深というイレギュラーが混入したことに気づいていないはずはない。この第3話の時点で、その正体が「山神家」の娘であることまで察知しているかは不明だが、ともかく、自分の計画に干渉しようとする勢力があることは理解しているだろう。しかも、この眞深は、飛び級によって航と同学年になる資格を持っていた。ここでじいやは、敵性勢力による干渉を排除するのではなく、むしろそれをも自らの計画のうちに含みこもうと、見取り図を修正し始める。この結果、当初は妹達全員が航と別学年でもありえたにもかかわらず、あえて、正当な理由で飛び級しうる可憐を、眞深とともに兄と同じクラスに配属させ、眞深が航にいかに関わろうとするかを可憐が監視できるようにしたのである。そのような任務について可憐がすでにある程度勘付いていたことは、教室に入ってきた眞深に「あ、眞深ちゃん」と手を振った可憐のごく自然な態度と、しかし全く笑っていない目の表情に示されている。
 もう一つは、<お兄ちゃんと一緒>表による秩序の破綻を、じいやが素早く予測していたというものである。じいやにしてみれば、航が人間性を回復する前に、妹達の監視による非人間的な生活状態が続いてはたまらないし、一刻も早く「きょうだい」としての関係を構築してほしい以上、時間配分という形式的な枠にしばられた関係性のレベルにとどまられていても困る。この段階を経ることで「雨降って地固まる」にせよ、それは航の精神状態が手遅れにならないうちになされなければならない。しかも、あと1週間もすれば、大潮で島と本土が地続きになる第4話参照)タイミングで、航が容易に逃げ出してしまう可能性もあるのだ。そこで、じいやは、そうなる前に状況を一気に悪化させる手段として、可憐と眞深を航の同級生にして、不均衡を発生させた。ウェルカムハウスに直接干渉することは困難だが、これならば初登校時に必ず起動するからだ。

 この不測事態に真っ先に気づいたのは、おそらく可憐と同学年であるはずの咲耶か、あるいは(それなりに有能であるとすれば)チェキしていた四葉であろう。ここから緊急情報を伝えられた他の妹達は、ただちに鋭く反応する。つまり、基本前提であった学校内での平等が崩れた以上、<お兄ちゃんと一緒>表による協定を破棄することを各人が決意したのだ。この日、学校内外で航のもとに現れた順番は、(可憐、眞深、)花穂、白雪、春歌、衛、四葉、鞠絵、鈴凛、咲耶、雛子、亞里亞、千影。もはや表に基づく時間配分は完全に無視されている。
 そして、咲耶が立ち去った後でうめく航の様子を階段から覗き見る眞深&山田の背後には、うつむきがちに階段を下りていく可憐がいる。明らかに彼女は、気配を察知させずに、航と眞深を同時に監視下においていた。ここで可憐は、他の妹達の態度と、眞深の行動とを把握し、事態が急速に悪化していることを理解した。そして教室で航ににべもなく拒絶されることで、この認識はいっそうの確信へと変わったのである。残り全ての妹達が敵となった状況で、兄を味方にすることさえままならないという現実。せめて兄の相談役として特権的な位置を積極的に求めようとしても、肝心の航が一切のコミュニケーションを拒む。

航 「お願いだから一人にして…。」
可憐「…夕食の当番だから、先に帰るね。」

 疲れきって下校する航に、ウェルカムハウス門前で待ち構えていた千影が
「美しい死相が出ているよ…。」と告げるのは、兄の心身の状態に対しての言葉であるとともに、背後にいる妹達の間ですでに不協和音が轟いていることへの間接的な警告でもある。この危機的状態は、直後に続く咲耶の「またカレーだわ。」というぼやきにも反響している。このぼやきは、この日は可憐が食事当番で早く帰宅していることを当然知った上での台詞なのだ。
 そして、ここでもう一つ注意しなければならないのは、同じく食事当番として帰宅しているはずの可憐の相棒(衛か鈴凛)は、このときまだ航とともに門前にいるということである。さらに、可憐とペアを組む買物当番(咲耶、白雪、春歌、四葉のいずれか)も、やはり兄と一緒にいる。つまり、大量の材料を一緒に運ぶ相方も調理のペアもいない可憐は、必然的に、備蓄のあった保存のきく食材で手間をかけない献立を考えねばならず、だからこそ根菜などを使ったカレー(とおそらくサラダ)を作ることになったとも言える。以上で明らかなように、<お兄ちゃんと一緒>表で保証される権利が平等でないという不満は、その権利と対になるべき当番の義務をも、放棄させることとなったのだ。

 ここでカットをかえて描かれる、部屋の窓から一同を見つめる可憐の後姿は、すでに把握していた破局をあらためて確認している。だからこそ他の妹達と顔をあわせないためにも一人早く帰宅していたのだが、それは逃避にこそなれ何の解決にも結びつかない。あるいは、可憐自身が調理や買物の当番をあえて自分一人で引き受けることで、いくぶんでも緊張緩和を図ったのかもしれないが、それもやがて他の全ての妹達にまで配慮しなければならなくなるとすれば、結局は共同生活の破綻以外の何物をも生み出しはしない。
 では、可憐はどうしたらいいのか。学級を移ることが不可能である(可能であってもその意志もない)とすれば、このまま全妹の闘争状態へと突入して共同生活を解体するしかないのか。そして、可憐に対して醸成された敵意を解消することはもはや不可能なのか。この同級生という絶好の位置を保ちつつ、自分に兄との生活の足場を与えてくれる他の妹達とも共存することはできないのか。


4.合意と信頼の再構築

 これを解決する手がかりは、兄である航その人が与えてくれた。もともと、「当番をきちんと守るから航と一緒の時間を確保できる」という考え方は、航自身が求める「ぼく一人の時間」というものを全く度外視している。一見公平にみえるこの集団は、じつは、当番にも参加している航その人に、正当な権利を与えていない。いわば、20世紀初頭の欧米列強が、「(列強だけで構成する)国際社会で応分の責任を果たすから、アジア・アフリカに利権を確保できる」と勝手な取り決めをしてパイの切り分けに走ったのと同様である。妹達の契約の中で、航はあたかも所有権の対象として非人格的に扱われてしまっていたのだ。可憐が自分から何をせずとも、状況を打破するきっかけは、これに不満をもつ兄が与えてくれることになっていたのである。
 では、航はどうやって可憐の求める契機を与えてくれるだろうか。一つは、彼自身が妹全員の前で苦痛を訴えるという積極的方法である。もう一つは、妹達の前から逃げるという消極的方法である。前者はやがて第5話で妹達のメール攻勢に対して実行されるものだが、そこまで自己主張できるだけの対話的関係を彼自身が構築しようとしていない現状では、この積極策はとりえない。事実、教室で可憐が手をさしのべたときに、航は文句を言うかわりにコミュニケーションを拒絶している。それゆえ、航がここでとる行動は後者、すなわち逃避となる。

 つまり、この日のうちに状況に耐えられなくなった航は、一人でいられる場所を求めて夜明け直前に家を出ていく。心痛もあっただろうが眠りの浅かった可憐は、隣室からの物音に直ちに目覚め、航が屋敷を出て行く姿を黙って見送る。そして、ここで他の妹達を起こして一緒に行動しようとはせずに、自分ひとり兄の後を追っていく。いや、正確に言えば、他の妹達は、ここで目覚めようがないのである。なぜなら、可憐が夕食に忍ばせた薬が、大半の妹達を深い眠りにつかせていたからだ。ここで、薬物に敏感なはずの千影がなぜ気づかなかったのか、という疑問があがるだろう。だが、千影こそは、この可憐の企みに協力していた、あるいは少なくとも黙認していた唯一の妹なのである。千影も可憐も、航を独占したいという点で絶対的に対立する間柄だが、その目的を果たすために共同生活を必要とするという点では、ここでの利害は一致していた。先述の門前シーンで、千影が死相云々に続けて
「必要なら薬をあげようか…。二度と目が覚めない、ぐっすり眠れる薬をね…。」と語っているのは、この睡眠薬のことをほのめかしているのである。もちろんそれは、航にではなく、他の妹達を安らかに眠らせるためのものだった。そして、この薬物を可憐が千影の協力によって入手した可能性は少なくない。可憐が早く帰宅したのは無論このためでもあり、また千影が玄関で先に待っていたのも、このことを裏付ける。

 他の妹達の干渉を排除できた可憐は、島から出ようとする兄の努力を見守り、その努力を船頭じいやが無に帰すのを確認する。幸いまだ大潮の日ではないため、歩いて出て行けない航を妨害するのはたやすいことだった。だが、これは外的強制によって航の意志をくじくだけのことであり、彼が自分からこの島に残る気にさせることは、じいやにはできない。それゆえじいやは、その妨害の役目を済ませた後は、「もう一度よく考えなされや」と言い残して、速やかに退出する。そしてこれを受けて、可憐は航に翻意をうながす自分の役目を果たそうと、兄の前に姿を現す。
 ここで航は、初めて妹に対して、自分の不満を打ち明ける。教室ではただ拒絶するだけだった彼が、ようやくここで、可憐に自分の意志を直接示すのだ。これをうけて可憐は見事な手管を用い、最後には航に寄りすがって涙を流すまでして、この目的を達成する。その鍵は、可憐が自分達の行動を説明するさいの台詞、

可憐「可憐たち、ただお兄ちゃんに喜んでもらおうと思って…。だけど、お兄ちゃんには迷惑だったんだよね。」

にある。これに対する

航 「そんな…行き止まりかよ。」

という言葉には、可憐の言葉から想起される、妹達の善意と自分の自由の二律背反が含意されている。
 こうして可憐は、「自分達が兄に喜んでほしいあまりに、兄につらい思いをさせてしまっている」という「事実」を確定させた。本話前半部で明らかなように、どの妹もただ「喜んでもらおうと思って」兄につきまとっているわけでは決してない。だが可憐はこれを自分達の好意・善意として航に認識させてしまう。また、たしかに冒頭でも航の独白として述べられている通り、この妹達への抵抗感がもともと航にあったことは間違いない。しかし、ここで続く可憐の謝罪と涙を通じて、航は、自分のいらだちが、妹達の態度によるものだけでなく、妹達を理解しようとしない自分の態度によるものでもある、と理解してしまう。この認識自体は今後の彼の成長に非常に大切なものではあるものの、それは同時に可憐の目論見をも満足させるのだ。そして可憐は、兄の気持ちを理解している唯一の妹として大きくポイントを稼ぎながら、航とともに帰宅する。この時点で、航が逃げ出すことによる共同体の崩壊は、彼の自発的意志を喚起するかたちで、しかも可憐の優位を保障するかたちで、ひとまず回避できた。

 さて、続いて解決すべきは、他の妹達の不満である。
 これを考えるさいに注意したいのは、帰宅の場面で彼女達が当番を守ってきちんと働いているということだ。鞠絵と春歌が外掃除を(衛もやがて自発的に)行い、花穂と雛子がお手伝いをしている。玄関先で座っている亞里亞は、今日はお手伝いがお休みの日なのだろう。屋内では鈴凛と四葉が一緒にいる。これは当番表によれば月曜の姿ということになる。ただし、朝方にしては咲耶と白雪が料理をしているが、これは可憐が不在だったので、夕食当番の可憐-四葉ペアとまるごと入れ替わったと想像できる。(だがどうにも問題が残る、この日が月曜であるならば、前日登校したというのはどういうことなのだろうか。始業式だからか。)
 なぜ彼女達は、航と可憐の不在を、こうも気にせずにいられたのだろうか。前日の状況からすれば、朝の起きぬけから各人が兄をチェキしようとすることは間違いない。そして、兄も可憐もいないと分かれば、当然抜け駆けを予期して直ちに捜索に移るはずである。にもかかわらず、それをせずに当番に専念できるとは。いや、専念とは言えない。各人は仕事をこなしながらも、航の帰還を待ちわびている。亞里亞は「兄やぁ…」と寂しそうにつぶやき、鞠絵は「すぐ帰っていらっしゃるわ。」と言いつつ咳き込み、四葉は不安げに「兄チャマ、早く帰ってこないかな、ワトソンくん。」と独白するのである。そして、まだねむねむな雛子に衛が「よい子は元気にお手伝い。」と肩を押すのをみると、ここには、「当番を守ることが兄との共同生活を回復する(帰還をうながす)はずだ」という共通の態度を看取できないだろうか。

 言うまでもなくこれは、当番表に合意した時点での全員の共通理解にほぼ重なる。しかし、ここでは、その目的が「共同生活の構築」から「回復」へと転じている。兄の不在という今しがたの経験が、妹達の自覚的な義務履行を導いているのである。おそらくこれは偶然なされたものではない。例えば一つの予想として、可憐が航を追って出て行くさい、彼女は、咲耶に事情を説明した手紙を残していったのであろう。もちろんその説明内容は、機密事項に触れるものではない。兄が逃げ出そうとする理由、「このままの状態を続ければ今度こそ兄は本当に姿を消す」という予想、これを避けるための当番遵守の確認、個人的な役得についての譲歩、などであった。もしその手紙の文章を想像すれば、次のようなものだったのではないか。

「咲耶ちゃん
 こんなお手紙を書いたりして、ごめんなさい。じつは、咲耶ちゃんにしか頼めない、大事な大事なお願いがあるんです。それは、お兄ちゃんのこと。お兄ちゃん、今朝はやく、急に荷物をもって家を出ていっちゃったの…。たぶん、お兄ちゃん、可憐たちがいつも一緒にいたがるから、それでとってもくたびれちゃったみたい…。可憐もみんなも、お兄ちゃんがいるのが嬉しくて、それでついはしゃぎすぎちゃったのかな…。
 それで可憐、お兄ちゃんを止めに行ってきます。
 可憐、お兄ちゃんと一緒のクラスになれて、とっても嬉しかったの。でも、それでお兄ちゃんがつらい気持ちになるのなら、可憐、別のクラスに移ります。それがだめなら、おうちで会わないようにします。ううん、もし可憐が一緒にいるだけでいやだっていうのなら、可憐、お兄ちゃんと一緒に暮らせなくても我慢します。だって、せっかくこうして会えたのに、このままずっとお兄ちゃんがいやな思いをして、それでみんなを嫌いになっちゃったり、また出ていっちゃったりしたら、とっても悲しいから…。
 だから可憐、絶対にお兄ちゃんが戻ってくるようにします。たとえ可憐が代わりにいなくなっても、みんながお兄ちゃんと一緒にいられるように、がんばってお願いしてきます。だから咲耶ちゃん、ほかのみんなに、お兄ちゃんがこれからも一緒に楽しく暮らせるように、おうちや学校でどうしたらいいのかを、お話してあげてください。可憐ばっかり学校でお兄ちゃんのそばにいて、なのにこんなふうにお願いするのはとっても勝手だって自分でも思うケド…でも、こんな大切なことをお願いできるのは、咲耶ちゃんだけだから…。咲耶ちゃんなら、お兄ちゃんの気持ち、いっぱい分かるはずだから…。
 きっとお兄ちゃん、朝ごはんまでに帰ります。可憐が当番だけど、咲耶ちゃんと白雪ちゃんで夕方と入れ替えてください。みんなでおいしい朝ごはんが食べられそう。
 でも、もし、もし可憐も帰ってきちゃったら…みんなと一緒にごはん食べても、いいですか…?                 可憐」

 起床後これを読んで驚いた咲耶は、この内容をさらに噛み砕いて他の妹達を説得し、当番を守ること自体で航に本当に喜んでもらえるよう、各人を仕事に促したのである。ここで、可憐、咲耶、千影ら最年長者の思惑は一致した。もし咲耶が可憐の目論見に気づいていたとしても、ここで全てを台無しにしてしまうほど浅薄ではない。むしろ姐御肌の咲耶のこと、可憐の(表現はともかく)スジを通した態度をそれなりに評価したうえで、自らの役目を意気に感じて見事な雄弁をふるい得ただろう。だからこそ鞠絵は無理をしてでも外掃除を行おうとし、衛は雛子を励ました。共同生活の維持に向けて、皆が再び一致団結したのである。

航 「ぼくは、みんなのことを、まだよく知らないんだよね。」

 そう話していた兄が見たものは、和を取り戻した妹達の笑顔であった。
 このような態度の変化を帰宅直後に確認したうえで、時間配分の原則破棄と競争の緊張緩和、公平の実現方法の見直し等に向けて皆の意見を一致させるのは、可憐にとってはたやすいことだった。

 まず、<お兄ちゃんと一緒>表は破り捨てられた。兄のプライベートを尊重しようとする意識がここで芽生えた。そして、最悪の事態を回避するために多少の有利不利にはお互い寛容であろうとする新方針によって、当面の緊張は避けられたのである。
 次に、航の情報を皆に平等に伝えるという四葉の役割を、兄と同級生の可憐が自主的に分担することで、皆の不満はいくぶん和らげられた。この務めを機能的に果たすために、第3話の最後で(睡眠薬を投与されなかった鈴凛が徹夜でこしらえていた)ノートPCが航に渡され、さらに第5話ではモバイルが全ての妹達にいきわたり、情報伝達が高速化されることになる。現状の優位をできるだけ確保しつつ共同生活を継続するという可憐の目的は、こうしてわずかな譲歩のみによって完全に達成されたのである。
 そして、皆に公平な機会を与えようという当初の理想は、別の方向で追求されていく。時間的平等というあまりに硬直化した配分原理ゆえに失敗したこの努力は、今回の反省をふまえながら、それぞれの個性を発現して兄に関われる機会を適宜保証するというかたちで、より曖昧に、しかしより柔軟に継続されていくこととなるのである。つまり、1話1キャラクターメインという今後しばしば見られる形態は、たんに番組制作側の構成というだけでなく、妹達自身が合意したこの番組内原則に基づいているのだ。
 その素早い現われは、直後の第4話である。ここで雛子がその幼児としての個性を全面に出し、自分を兄に受け止めてもらおうとするのだ。このとき他の妹達は、雛子の努力を支援し、あるいは干渉しないという方向で、一致協力する。このような協働に皆がまだ不慣れであることは、第4話での花穂の秘密暴露などにも見て取れるが、お互いがいつか自分もそのような機会に恵まれると信じればこそ、やがて違和感も薄らぎ、互いを無理なく助け合っていけるようになるはずだった。最初の状態がイエス(兄)の寵愛を奪い合う使徒的集団生活だったとすれば、ここでは、「(兄との逢瀬を)祈り、(その日を迎えるために当番を)働け」という修道院生活の段階へと展開したということができよう。
 それにしても、この時点で妹達が示す手探りのぎこちなさこそは、兄も妹達もこだわりのない間柄になるために、必要な過程だったのであろう。最後の場面で

千影「ふふふ…兄くん気をつけた方がいい…。まだこれから、なんだからね…。」

というつぶやきが示すように、問題はこれから、ようやく入り口にたどり着いたばかりなのである。とはいえ、たとえ最終回に至ってもなお、あたりまえの嫉妬、あたりまえの嫌悪感が互いを結びつけるまでにはまだしばらくの時が必要に思われるとしても、その道は第3話以来、彼らに約束されているのだと確信する。それは決して論者の個人的な願望ではなく、第5話で兄のメル友に皆でやきもちをやくあたりに、すでにその片鱗は示されているのだから。


おわりに 〜約束の島を目指して〜

 以上検討してきたように、この第3話の2つの表に示されているのは、共同生活を構築しようとする妹達の意識と論理、そして兄をめぐる様々な思惑と葛藤、であった。第3話は、この意図が破綻し、より望ましい形で再生する過程を描く、シリーズ中でもきわめて重要な位置を占めている。その後の展開を理解するうえでこの第3話が不可欠であり、その第3話の理解は表の解釈を必要とするということから、これらの表はアニメ版『シスタープリンセス』の根幹にもあたる重大な意義を有していた。さらに、この作品中で可憐や千影が果たしているきわめて大きな役割も、その年齢という基本的な要件も含めて、これらの表を通じて第3話を理解してこそ初めて明瞭に指摘することができるのだ。
 そしてまた、これだけの解釈を許す本作品は、けっして単純・安直と批判されるにとどまるものではなく、むしろ、徹底した検討を行うことが可能な基盤をもつ誇るべき作品なのであり、そしてその検討の余地をいまだ多く残していると言ってよい。今回得られた知見をふまえて、今後さらに各話の検討をすすめていきたい。そのさい、家間抗争の過程を一つの軸としつつ、航の成長と兄妹関係形成の様を追っていくことになるだろう。

 追記:この2表については、SIS-PRI'60s編同人誌『Sister Princess Chronicle シリーズ・4 駄目駄目な僕(rep.)』(2002年、p.52-3)で既に正確に一覧化されていた。本考察掲載後に判明したため、ここに記して先駆者に敬意を表する。

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