某所にて。

あんよ:萌えー
可 憐:こんにちは。
あんよ:わー可憐さんだー。
あんよ:…背、伸びました?
可 憐:ちょっと。
あんよ:いや、ちょっとならず。1メートル近く。
可 憐:ハンス・エンゲルはどこだ、なんちゃって。
あんよ:いや、そこまで大きくはないです。
らむだ:立ち上がーれビッグエックスーッ。
あんよ:いいから、肩車をやめなさい。
らむだ:むむ、なぜ分かった?
あんよ:どう見ても胴体長いし。だいたいあんた、今しゃべったし。
らむだ:あうち。秘密を知られてしまったからには生かしてはおけない
あんよ:阿呆いいなさんな。あ、可憐さんアイスピックはしまって下さい…。
らむだ:ふー、重かった
あんよ:ほう、可憐さんが重かったと。
らむだ:いや、転んだりして可憐に怪我でもさせたら、って思うと、責任が重かった
あんよ:あーそうですか。
可 憐:お兄ちゃん、大好き。
あんよ:くそぅいいなあ、肩車までできて…。
らむだ:さて、ぼくが再三現れたのはほかでもない
あんよ:『Repure』終了について、ですか?ぼくは未だ最終話を観ていませんよ。
らむだ:あんですとー
あんよ:キミエソも知りません。
らむだ:おっくれってるー!
あんよ:いや、イリヤは知ってるけどさ。何の話だ。
らむだ:前に話したことを、覚えてる?
あんよ:リピュアについて?ええ、「山田の視点」というのは分かりましたし、そのつもりで観てみましたよ。
らむだ:それで、どうだった?
あんよ:うーん、結局あの兄には感情移入できなかったので、その視点のままではいられましたが。
らむだ:うん
あんよ:それを楽しめたかと言われれば、どうもそうでもなかったみたいです。現時点まででは。
らむだ:なんで?
あんよ:Aパートには、どうしてもこう、第三者視点で眺めていても辛いものが…。
らむだ:でも、可憐出てたし
あんよ:それはもちろんいいのですが、物語としてどうも面白みがありませんでした。
らむだ:んーと、妹達に萌えられればお話なんて二の次でもいいという声もあるけど
あんよ:だから、その妹萌えのための描写も、今一つだったと思うんです。
らむだ:でも、衛の「ボクのにおい」とか、「お兄ちゃまぴょん」とか、「ぽーん」とか、色々あったじゃない
あんよ:あんた、よく知ってるなあ…観てたのか。
らむだ:倫敦12chで深夜放送してた
あんよ:嘘つけ。
らむだ:それはいいから、そういう萌え場面では満足できなかったと?
あんよ:うん。個々の場面では、確かに萌えられたものもあったし、深読みできるものもあった。
あんよ:だけど、全体の流れがどうにもうまくない。それが気になって、山田の心境にもなりきれない。
らむだ:だから、全体はいいから個別の場面や人物で萌えられればいいんじゃないのか、と
あんよ:いや、その全体の今一つさが、結局個々の妹達の味まで消してしまっているんだと思う。
らむだ:その味ってのは、前作のキャライメージを投影しているにすぎないんでしょ?
あんよ:それはあるけど、原作と比べてもどうかという場面はあったし。
らむだ:まあ鞠絵がプールで遊んでいるとか、ひどい光景はあるにはあったね
あんよ:でしょ?冬の寒い中うろつかせるし、キャラのあり方というものを無視しているように感じましたよ。
らむだ:でも、前作だって鞠絵を寒空の下に出してるじゃない
あんよ:あれは、第8話で大きく変化しているので説明つくんです。
らむだ:うーん
あんよ:結局のところ、成長物語として捉えなくても、リピュアは前作に敵わない。
らむだ:リピュアの方が優れていた部分もあるのでは?
あんよ:ないです。
らむだ:うわ
可 憐:…。
あんよ:いえ、可憐さんはとても素晴らしかったですよ?
らむだ:あ ん よ 必 死 だ な (藁
あんよ:嫌なツッコミを…。
らむだ:で、それで?全然ないの?
あんよ:うん。あ、Bパートはここでは問題にしてませんよ。あれは独立して評価されるべきですし。
らむだ:花穂とか、ちょっとどうかという回もあったけどね
あんよ:あれは、花穂の足をもっとメインにおかないと。
らむだ:…君にはついていけないや
あんよ:なにー
可 憐:がんばってね、お兄ちゃん。
らむだ:うん
あんよ:あ、あうー。
らむだ:ではAパートに限定して、何もいいところがなかったと
あんよ:はい。舞台が不明確、物語が散漫、結果としてせっかくのキャラも弱くなってしまっている。
らむだ:でも、サントラにあの街の設定資料はあったし、一応最終回でまとまってるし、妹達は変わっていないし
あんよ:その設定はほとんど活かされず、最終回までのタメがほとんどないんですよ。
らむだ:そりゃ、1話に12分程度じゃどうにもならない面もあるでしょ
あんよ:ではいいですか、リピュアAパート全話まとめると、普通の30分アニメの7話くらいになるとします。
らむだ:まあ、それぐらいなのかな
あんよ:これを、前作の7話分と比較してみましょう。
らむだ:え?第1話から第7話?
あんよ:それでもいいですよ。さあ、ご覧下さい。
らむだ:…うーん、こ、これは…
可 憐:大丈夫、お兄ちゃん?
らむだ:うん。しかし、これは全く別ものだねぇ
あんよ:それはそうです。でも、一応の物語になってます。これが第20話から第26話の7話なら完璧ですよ。
らむだ:とはいえ、途中だしね。それに、これならリピュアだって
あんよ:次はリピュアです。第12話までですが。
らむだ:…うーん、微妙。続けて観ると、全然流れがつかめない
らむだ:それでも、鞠絵の療養所とか倉庫のこととか、伏線が張られてはいるんだけど
らむだ:それに、リピュアの主眼は物語性ではなくて、日々の姿でしょ?サザエさんシスプリでしょ?
あんよ:本当にそうであるとすれば、伏線などがいかにも中途半端なんですが。
らむだ:それでも努力した方では
あんよ:だから、不徹底なんですよ。もし日常にたゆたうのであれば、前作からそういう話を7話分ピックアップしますよ。
あんよ:第8話、第17話、第18話、第19話、第21話、第22話。どうです。
らむだ:千影の話は日常的かなぁ
あんよ:リピュアにも彼女の話があったでしょう。
らむだ:いや、だからそういう比較は意味がないんだって。共同生活してない以上、どだい日常そのものが違う
らむだ:これは、ポケストをそのまま用いたとしても同じことだと思う。あれも全編を通じての流れはないし

あんよ:うーん、どうにも平行線ですか。
らむだ:とはいえ、ポケストとも違う集団場面を描こうとしてこけた、ということにはぼくも肯けるが
あんよ:やっぱりそう思いますか。
らむだ:それをいつまでも非難がましく繰り返したところで、何も生み出しはしまい
あんよ:あんたがこの話題をふったんだろうが。
らむだ:あうー
可 憐:あんよさん、ひどい…
あんよ:あうー。
らむだ:可憐、だいじょぶだから。要は、リピュアAパートに対する不満を確認したかったわけだ
あんよ:なら、確認できましたね。
らむだ:うん。これで、ようやく本題に入れる
あんよ:え?また何か叱りとばされるの?
らむだ:叱咤激励と言ってほしい
あんよ:嫌な予感がする…
らむだ:そんなに不満なら、自分でAパートを創出してみたまえ
あんよ:え?なんか、いきなり詭弁っぽい…。
らむだ:今回リピュアAパートで描かれた兄妹の姿に、不満があることは分かった。それはそれでいい
らむだ:しかし、それを繰り返していてはシスプリのためにはならない。
らむだ:だから、「自分ならこうする」というその想いをぶつけて、次のシリーズを考え出すんだ

あんよ:シ、シスプリのために…。
らむだ:そこがファンの基本だろう
あんよ:その通りです。
可 憐:お兄ちゃん、格好いい
らむだ:えへ
あんよ:…
あんよ:でも、ぼくは既にリピュアの後番組として、『魔法のシスター マジカル☆ヒナ』を考え出しましたが。
可 憐:かわいいですよね、ヒナちゃん。
らむだ:うん、それは認める
あんよわーい。
らむだ:しかし、だ。これはあくまでもイロモノに過ぎない
あんよ:うるさいな。
らむだ:さらに言えば、かわいいのは絵のおかげだ
あんよ:あ、あうー
らむだ:第一いま問われているのは、妹達と兄の日常を、ポケストとは別のかたちに構成することだ
らむだ:キャラを用いたパロディワールドは、ここでは問題外

可 憐:いけないなの?
らむだ:いけなかないけど、あれはあれとして、ここでは普通のポケスト的シリーズを考えろ、ってこと
あんよ:うーん、難しいなあ。
らむだ:それができなければ、いくら文句を言ったところで何も進展はない
あんよ:いや、何を言ってもそれがオフィシャルにとりあげられることは
らむだ:黙らっしゃい
あんよ:あうー…はい、今のはぼくが悪かったです。
可 憐:珍しく素直なんですね。
あんよ:まあ、ファンとしての真摯な態度というものを忘れずにいないと。
らむだ:よろしい。で、ここで問題
らむだ:前作のような共同生活ではなく、ゲーム版やポケストや今作のように一地域に各人が住まうとして、
らむだ:どうやって物語を転がしていけばいいのか、その起爆剤となる要素は何か
可 憐:毎日を描くだけだといけないのかな?
あんよ:それも一つの方法だよねぇ。ポケストをAパートに、というのはまさにそれだし。
らむだ:確かに。でも、最初から日常描写に徹底するつもりでなければ、今回みたいに半端な伏線で自滅するおそれがある
あんよ:自滅って…。あんたの方がひどい言いぐさだな。
らむだ:これを避けるには、やはり何らかの物語の流れを作ってやった方がいい
あんよ:まあ、その方が危険性は少ないだろうけど。で、その起爆剤ってのは?
らむだ:それは考える各人の自由
あんよ:それはそうだが。
らむだ:でも、君の場合には前作への愛着が強いんだから、あの作品から見つけてくればいい
あんよ:そうすると、前作の続編になってしまうのでは?
可 憐:兄妹が島を離れるまでトカ?
らむだ:それもあり
あんよ:うわーそうか、でも辛いっぽい。
可 憐:可憐は、ずっとお兄ちゃんのそばにいますよ?
あんよ:つか、ぼくの予定では、前作の続編は『精霊合体シュヴェスター』です。
らむだ:またイロモノかね…
あんよ:いいじゃないか、ぼくの勝手だ。
らむだ:でもそれは別にして、新たに考えてみよう
あんよ:うーん…
らむだ:単純に考えれば、今回では登場しなかった前作の要素を再び使えばいい
あんよ:えーと、山田とか、眞深?
らむだ:うん
あんよ:それ却下。前作のまんまになっちゃう。
らむだ:何も彼らをそのまま登場させろというんじゃなくて、その役割を要素として使えってこと
あんよ:んー?ええと、山田の役割や、眞深の役割を?
らむだ:そです
あんよ:山田の役割は、例えば、兄妹にちょっかいを出して無視されつつ、話を強引に進めること、かな。
らむだ:だとすれば、これを山田でない新登場人物で置き換える
あんよ:いや、それでは第二の山田になるだけでは。
らむだ:だーかーら、性格まで同じにしろとは言ってないでしょ
らむだ:妹達にちょっかい出すこと、兄を貶めたり利用しようとしたりすること、強引に事件を起こすこと

あんよ:ああー、そういうキャラを出せということですか。妹に惚れるキャラか。
らむだ:使い捨ての三枚目じゃなく、燦緒の要素と合わせて二枚目にしてしまえば長持ちするし
可 憐:可憐、お兄ちゃん以外の人は…。
あんよ:ぐはっ
らむだ:まあ、話が盛り上がるのにはそういう人物が必要でしょう
あんよ:そうか、つまりリピュアは安定した関係が前提にあるから、落ち着く一方で盛り上がらなかったけど、
らむだ:そういうこと。その関係を動揺させる第三者が現れれば、勝手に話は進む
あんよ:しかも、恋愛と兄妹愛をテーマにできる、と。なるほど。
らむだ:すると、今の場合は妹にアプローチする男だったが、逆に兄のほうにアプローチする女というのもある
可 憐:お兄ちゃん…?
らむだ:まあ心配するな。で、このどちらも原作で咲耶が直面している問題だから、それほど突飛な話ではない
可 憐:衛ちゃんや鈴凛ちゃんだと、女の子がときめいてますね。
らむだ:それはまたややこしくなるので
あんよ:兄や妹のライバルを登場させるのか。でもこのアイディアって、既にあちこちで書かれているような。
らむだ:ぼくはそういうの見てないから
あんよ:ひとつは確か、兄が別の女性と接近して、妹達から離れていく、という展開だったはず。
らむだ:あんですとー!?
可 憐:どうしたの、お兄ちゃん?
あんよ:お、お怒りですか?また巨大化しそうですが…。
らむだ:当たり麻枝さん『CLANNAD』まだですか

あんよ:まだだってば。
らむだ:うるさいやい。それよりその、兄離れ妹離れという展開は聞き捨てならん
あんよ:え、だって、いつかは兄も妹も、それぞれの道を歩んでいくのだし、
らむだ:それで?
あんよ:それでって…それで、それぞれが、自分の伴侶を見つけ
らむだ:喝ーーーーーーーーーーーっ!
あんよ:うお
らむだ:君はそれでいいのかシスプリ人よ
あんよ:え、だって。仕方ないですよ。
らむだ:仕方ない?何が仕方ないんだ?
あんよ:だって、兄妹は結婚できないんですよ。
らむだ:だから?
あんよ:だから、それぞれがいいひとを見つけて
らむだ:馬鹿たれ。何で「兄妹が結婚できない」から「各人が赤の他人と結婚する」が導かれるのだ?
あんよ:え?
らむだ:結婚せずに、いつまでも兄妹仲睦まじう暮らせばいいではないか
あんよ:え、でもそれは、可憐の祖母やマダム・ピッコリの話にそぐわないのでは…?
らむだ:何も同じ轍を踏む必要があるか。彼女達の限界を乗り越えて進む、それが新しい世代の責務だ
あんよ:え、えーっ。
らむだ:君は、兄妹が一緒にいる方法として、近親結婚以外の可能性を失念していたんじゃないか?
あんよ:あ、あうー
らむだ:たとえ禁忌を破って近親結婚したとしても、兄のそばにいられるのは1人の妹だけなんだぞ?
あんよ:あっ…!
らむだ:それを許していいものか。シスプリは妹達全員が幸福でなければならないんだ
あんよ:…でもそれって、たんに問題を先送りしているだけじゃ…?
らむだ:うるさい
可 憐:お兄ちゃんは、瑞佳さんと結婚しちゃったケド…。
らむだ:あ、あうー
あんよ:おい。
らむだ:…まあそれはそれとしてだ
あんよ:待て。あれだけ言っておきながら、自分のことは棚上げなのか。
可 憐:ううん、いいのお兄ちゃん。可憐、分かってるから。
らむだ:…うん
あんよ:…。
らむだ:で、だ。兄妹のどちらに言い寄る第三者が出現しても、この「全員そのまま」という結末だけは不動
あんよ:えー、それではその脇役は何のために出てくるの?結局は山田と同じく道化のまま?
らむだ:当然、兄妹愛に目覚めるため
あんよ:え?
らむだ:その者達が、兄妹愛に目覚めて新たな生き方を獲得するため
あんよ:えええーっ!?
らむだ:シスプリとは、兄妹愛の美しさを描きつくす作品だ。だったら、それをこそ脇役にも伝えないでどうする
可 憐:えっと、それだと、燦緒さんと眞深ちゃんの場合とおんなじなのかな?
あんよ:あー
らむだ:兄に惚れる女の子と、妹に言い寄る男が兄妹だったら、そういうことになるかもしれない
あんよ:それだと確かに、山神家の兄妹と重なりますねえ。
らむだ:でも、兄妹でなければ、
あんよ:なければ?
らむだ:それぞれが、自分の兄妹への愛情に目覚めることになる
あんよ:うーん、「兄妹の絆の強さに今回は負けたけど、いつの日か勝ってみせる!」というのは?
らむだ:それも別にありだけど、シスプリの主題からは外れてしまう
可 憐:だから、その脇役の人達は、みんなきょうだいがいることになるのね?
あんよ:うわー、そうか。で、最初はそいつらは兄妹の仲が悪かったりするわけだ。
らむだ:例えばね。しかし、最初にきょうだいがいないという場合も考えられる
あんよ:え?後から生まれるとか?
可 憐:年の差がすごいカモ。
らむだ:その手もあるかなぁ。ぼくが考えていたのは、ちょっと違うんだが
あんよ:どんな?
可 憐:あ、分かりました。
らむだ:はい、言ってごらん。
可 憐:一人っ子だと思っていたけど、実はきょうだいが…っていうお話。
らむだ:うん、ほぼ正解
可 憐:きゃあ。
あんよ:ええと、つまり、親の隠し子?
らむだ:でもいいし、養子に出してたでもいいし、拉
あんよ:うわーっうわーっ!
らむだ:ともかく、そのキャラが、きょうだいの存在を知らなかったということであれば、何でもいい
らむだ:例えば、可憐達の兄に片想いの少女が、咲耶と闘ったり、可憐と冷戦を続けたり、雛子に振り回されたり、
らむだ:四葉にチェキされたり、千影に見つめられたり、春歌に襲われたりして色々苦労する

あんよ:それは、むしろ命がけだ…。
らむだ:白雪と味勝負して完敗して、悔し涙にむせんだりする
あんよ:ああー。それは萌えそう。
らむだ:衛と張り合って競走して、翌朝筋肉痛で動けなかったりする
あんよ:それもなかなか。でも若いのに筋肉痛か…。
らむだ:へこたれそうな時、鈴凛にやんわりと慰められたりする
あんよ:あああー。
可 憐:花穂ちゃんに応援されちゃったりして。
らむだ:亞里亞に泣き出されて困ったり、鞠絵の介抱に慌てたりする
らむだ:眞深や燦緒も登場するのなら、色々うまい見せ場もできる

あんよ:頑張るんだな。で、最後は。
らむだ:やっぱりふられる
あんよ:ぐは
らむだ:それはやむを得ない。そして、兄妹愛の凄まじさに心を打たれる
あんよ:失恋かぁ。
らむだ:彼女にとって、妹達は自分をはるかに越えて「女の子」らしい魅力に溢れているように思える
あんよ:でも、頑張ってきた彼女も立派に女の子らしいと思うけど。
らむだ:そう。自分自身の魅力を高めつつ、妹達の兄を思う心を間近で感じ取ってきた
らむだ:「兄がいたら、自分もこんなふうに兄を慕ったのかな。兄妹って、いいな」
らむだ:そんな憧れを抱いた彼女が家に帰ると、「実はお前には兄がいたんだ」

可 憐:わあ、素敵。
あんよ:ええー?
らむだ:少女はまだ見ぬ兄をあれこれ想像しつつ、すっかり「お兄ちゃん大好き」っ子になっていたのだった
らむだ:「初めて会うときには、手作りのクッキー渡そっと。お兄ちゃん、食べてくれるよね…?」

可 憐:ハッピーエンドね。
あんよ:…そうなのか…。
らむだ:この女の子を男に替えれば、最後に「実はお前には妹がいたんだ」という話になるわけ
あんよ:で、妹萌えな人間になっている、と…。
らむだ:そういうこと。この展開のポイントは2つある
あんよ:どんな?
らむだ:まず、少女の場合は妹達と張り合うことになり、結果として妹達全員の個性が描ける
可 憐:みんな登場できるものね。
あんよ:さっきみたいにか。男の場合には?
らむだ:惚れっぽい性格で、年長者全員にアタックしてそのたびごとに砕ける
あんよ:うひ。年少者は、周りで色々するわけか。
らむだ:そんな感じ。もう一つのポイントは、この少女なり男なりを主人公にすることで、視聴者の視点が定まる
あんよ:あー、脇役じゃなくて。山田視点や眞深視点を最初から真ん中におくわけだ。
らむだ:これによって物語の軸ができるとともに、妹萌えが分からない初心者がとっつきやすくなる
あんよ:前作の効用について言われていたことですね。
らむだ:うん。ただし前作では初心者の視点は航だったけど、今度のは兄妹の外側にいる第三者
あんよ:前作とリピュアが、初心者向け・上級者向けだったとすると、今回のはまた初心者向け、と。
らむだ:ところが既に兄妹は確固としてあるわけだから、上級者はそちらに視点をおいてもかまわない
可 憐:見る人次第で、いろんな立場から楽しめるのね。
らむだ:しかも、最後には全員が兄妹愛の理解に至るという寸法
あんよ:な、なるほど…。
らむだ:これは、前作で兄妹関係の形成過程を描いたから、別の兄妹愛形成過程を描けるということだし、
らむだ:リピュアで完結・停滞する兄妹像を描いたからこそ、その動揺を描けるということでもある

あんよ:うわー、全部に意味がある。無駄がないなぁ。
らむだ:当然だ、シスプリに無駄な部分なんてあるもんか
あんよ:その通りです…。そうか、次の流れをそう考えれば、リピュアに独自の意義がまた見いだせるのか…。
らむだ:ただ、少女が主人公の場合、どんな性格がいいか悩むけど
あんよ:あ、それなら妹とかぶらない上で主人公らしいのがありますよ。勝気、意地っ張り、でも涙もろい。
らむだ:ああそうか。ようするに眞深でいいわけだね
あんよ:髪型はポニーテールで決まり。
らむだ:激しく同意
可 憐:お兄ちゃん、ポニーテールが好きなの?
らむだ:可憐はそのままがいいんだけど、勝気なポニテというのは一つの完全態なんだ
可 憐:ふぅん…。
らむだ:ただ、うまく描かないと春歌とかぶるから、ショートカットというのもありかもしれない
あんよ:それは衛とかぶるにょ
らむだ:うーん、いっそ縦ロールか
あんよ:それは禁じ手です。
らむだ:まあ細かいところはともかく、そんな感じ
可 憐:こんなこと考えつくなんて、お兄ちゃんすごい。
らむだ:えへへ
あんよ:普段、何を考えているのやら…。
可 憐:でも、こういうお話だと、可憐達の映っている時間が短くなっちゃうカモ…。
らむだ:それはそうなんだなぁ…。
あんよ:前作第1話の前半みたいになったら、ちょっと酷。
らむだ:でも、このシリーズの第1話とか、想像すると面白いよね
らむだ:転校するその日に、遅刻しそうになってひたすら走る主人公の少女
あんよ:ちょっと待て、そんなに基本通りでいいのか?
らむだ:いいの。こういうお約束な展開に油断していて、気がつくとシスプリ世界というのが理想的なんだから
あんよ:うむむ。では、曲がり角で出会い頭にぶつかった相手が可憐達の兄で、彼に一目ぼれ、と。
らむだ:そ。んで、何とか始業時間に間に合い、転入した教室には可憐が
あんよ:あれ、兄じゃないの?
らむだ:兄は、主人公より年上でないと駄目なんだよう
あんよ:あ、そうか。それで、学校を可憐に案内してもらっている最中に、兄に出くわすと。
らむだ:驚く主人公の横で可憐は「あ、お兄ちゃん」と
あんよ:このへんは、誰がどの学校にいるかで色々変わってきますね。
らむだ:可憐も含めて、そうだね
あんよ:で、妹達の厚い壁に阻まれ、これと闘っていくことに。
らむだ:「根性だ、根性!」とか言いながら
あんよ:それ、カスミン。
らむだ:いいじゃない、ちょうどポニテだし
可 憐:主題歌も、カスミンと同じ人達なの?
あんよ:あうー、それはどうかと…。
らむだ:そいえば、あれも姉妹で歌ってたっけねぇ
あんよ:エンディングは、その回で闘う相手だった妹の声優さんでいいのでは。
らむだ:そだね、そうすればまた何枚もCDとか売れるし
あんよ:うわーっうわーっ!
可 憐:皆様、よいお年を。

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