魔法のシスター
マジカル☆ヒナ

これがお話だ!


<全26話 各話内容>
 話数と題名 放映日 (収録巻)
予  告  と  内  容
 第1話 「しみつのおくりもの」 4/4 (第1巻)
「ヒナのなまえは「みなかみひなこ」、もうじきしょうがくいちねんせい! みんなにはしみつだけど、マジカル☆ヒナにへんしんしちゃうの! どお? うらやましい? 『魔法のシスター マジカル☆ヒナ』。みてくんないと、『めっ』しちゃうよ?」(番宣)
 小学校入学を間近に控えた海神雛子は、航と可憐と一緒に買い物に出かける。その途中、公園のベンチに倒れている老人をかわいそうに思い、とっておきのお菓子を分けてあげたところ、老人はお礼にと光る指輪をくれた。行き着いたデパートで迷子になった雛子は、航と可憐が謎の怪物(シャドウ)の襲撃に巻き込まれかけている場面に出くわす。そのとき老人の声が脳裏に蘇り、雛子は指輪に願いを込めて、マジカル☆ヒナに変身し、「おねがい」パワーで玩具売り場のぬいぐるみを操り、怪物を倒すのだった。
 第2話 「ろうかははしっちゃいけません!」 4/11 (第1巻)
「きょうからヒナはしょうがくせい! おともだちいっぱいつくっちゃうよ、クシシシ。でもはるかせんせいにおこられちゃった……。ヒナ、ほんとはいいこなんだよ、ね、ありあちゃん?」
 入学した雛子は亞里亞と同級生になり、はしゃぎすぎて担任の春歌に叱られ落ち込む。だが、転んで膝をすりむいた雛子を優しく介抱する春歌に、雛子は亡き母の面影を感じて安らぐ。そこに現れた怪物は歩けない雛子と亞里亞を追いつめるが、その危機を救ったのは先生が放った矢だった。長刀を折られてもなお戦う春歌に勇気づけられた雛子は、変身して文具や跳び箱を操り、春歌と力を合わせて怪物を撃退する。春歌の怪我を「いたいのいたいのとんでけ」しつつ、雛子は春歌先生が大好きになった。
 第3話 「りんりんちゃんは、はつめいか」 4/18 (第2巻)
「はつめいかのりんりんちゃんがひっこしてきたの! はつめいかってなに? うわぁ、おうちがぐるぐる、ヒナのおめめもぐるぐる、もうたいへん! え、ヒナにてつだってほしいの?」
 鈴凛の家に発明品を見に行った一同は、そのうさんくささに呆れて帰ってしまうが、雛子と亞里亞だけは大喜び。そんな2人を気に入った鈴凛は、子供用スプリングシューズなどの実験を依頼する。そんなとき町中に出現した怪物に立ち向かうマジカル☆ヒナだったが、トンデモ発明品のおかげでピンチに陥ってしまう。だが、油断した怪物はプロトメカ1号が運んできた激辛キムチグラタンを一口食べて卒倒し、一気に形勢逆転となる。鈴凛はヒナの正体を知り、協力することを申し出た。
 第4話 「ありあちゃんといっしょ」 4/25 (第2巻)
「ありあちゃんちにあそびにいったら、すっごいおやしきでびっくりしちゃった! アリリ、ありあちゃん、なんでないてるの……? じいやさん、ありあちゃんをいじめたら、『めっ』だよ?」
 亞里亞の家を初めて訪問した雛子は、大きな屋敷に驚きながらも、メイドとたった2人で暮らしていることを不思議に思う。メイドは、雛子が航の妹であることを知ると、亞里亞に友達づきあいをやめるように言う。涙ぐむ亞里亞を見かねて自分の家にこっそり連れて行こうとするが、メイドに見つかり慌てて離れの地下へ。そこに隠されていた小箱の中のリボンは、実は魔法の品だった。地上に現れた怪物にマジカル☆ヒナが負けそうになった時、友達を想う亞里亞の心が彼女をリリカル・アリアに変身させ、彼女の「おすまし」パワーに守られたヒナが「おねがい」パワーで強敵を破るのだった。
 第5話 「きょうはえんそく、たのしいなっ」 5/2 (第2巻)
「あしたは、がっこうのえんそく! ありあちゃんとはるかせんせいとみんなで、どうぶつさんをみて、おべんとたべて、それからそれから! クシシシ、はやくあしたにならないかなー。」
 動物園に遠足に来た雛子達は、ペンギンさんを「ピョンピョン」と呼ぶなど大喜び。しかしお昼を食べている最中に、動物達が暴れ出し園内はパニックに。怪物の仕業と知った雛子達は、クラスのいじめっこをもかばいながら、おやつやエサを操って動物達を落ちつかせ、バナナの皮で怪物の足を滑らせて檻の中に閉じこめてしまう。一方で亞里亞は変身したものの何もせずに「うごくバナナはきらいー……。」と涙ぐむのだった。
 第6話 「おひめさまは、だぁれ?」 5/9 (第3巻)
「ヒナのまちで、フラワープリンセスコンテストがひらかれるの! あ、かれんちゃんたちもでるんだ。おひめさまになれたら、おかしいっぱいもらえるのかな? ヒナもでようかなー。」
 町内で今年の「花の乙女」を決めるコンテストが開催され、可憐達も自薦他薦を問わず出場することとなった。趣向を凝らした衣装を纏う少女達に植物性怪物が襲いかかり、会場の人々は花粉の魔力で眠らされてしまう。花穂に教えてもらった知識が功を奏して敵の弱点をついて倒すが、咲耶の優勝で決まりそうだったコンテストは結局、参加しなかったものの甲斐甲斐しく皆の介抱に努めていた春歌の姿が審査員の心に響き、見事栄冠を勝ち取ってしまった。
 第7話 「やまださんだいさくせん」
5/16 (第3巻)
「やまださん、またふられちゃったの? ヒナがたすけてあげよっか。……アリリ、ほんとにかのじょさんができちゃった? ゆびわかしてなんていうから、ヒナこまっちゃったよぉ……。」
 女の子にふられ続ける山田に、見かねた雛子達が協力するものの、咲耶、鞠絵、白雪、可憐と軒並み失敗。何をやっても駄目な山田だが、見知らぬ少女眞深からいきなりデートを申し込まれ有頂天に。しかし眞深は魔界のスパイで、雛子達に接近しようとしていたのだ。眞深に指輪を奪われかけ危機に陥った雛子は、亞里亞とプロトメカ1号に助けられ怪物を何とか撃退する。だが眞深は小学校の用務員として雇われ、雛子達の監視の役につくのだった。
 第8話 「おちゅうしゃなんてこわくない、よ?」
5/23 (第3巻)
「ヒナ、おちゅうしゃいやだよお……。まりえちゃんもいやだよね、ね?そうだまほうでなおしてあげる!……え、だめなの?まほうをひとにつかっちゃ、『めっ』なの?」
 風邪をひいて病院に連れて行かれた雛子は、やはり風邪で偶然通院していた亞里亞を励まそうと、大嫌いな注射も泣かずに頑張る。帰りの受付で短期入院中の鞠絵と出会い、回復した雛子は鞠絵にも元気を分けてあげようと、みんなで折り紙やお絵かきをし始める。そんなとき病院を襲った怪物を、医療器具を操り撃退するが、鞠絵の病状は悪化。「おねがい」パワーで治そうとするも、「魔法を人に使うと自分の身を滅ぼす」というおじいさんの警告の声が聞こえてきた。雛子達は心を込めたお手紙などを持ってお見舞いに行き、そこで働く医者や看護婦の姿に感動し、「おねがい」パワーで病院の庭を美しく飾るのだった。
 第9話 「はやくおっきくなあれっ」 5/30 (第4巻)
「まもるちゃんってすごいなー、かけっこもなわとびもいっつもいちばん! ……アリリ、かほちゃんどうしたの? ヒナもとっくんしたら、かけっこいちばんになれるかなぁ? ……アイタッ!」
 小学校の最上級生の衛はスポーツ万能で学校中の人気者。そんな衛を羨ましく思う花穂は見習おうとするも失敗ばかりで、チアリーディング部での練習でも叱られてしまう。花穂を励まそうとする咲耶と雛子達だが、かえって花穂を傷つけてしまう。落ち込んだ花穂が公園に行くと、馴染みのおじいさんが花壇に手入れしながら相談に乗ってくれ、また衛が苦手な球技の練習をしている姿を見てハッとする。そこに怪物が現れ、花穂は腰を抜かしながらもおじいさんと花壇を庇おうとし、衛ともども窮地に陥るが、ヒナ達が駆けつけて辛くも撃退した。衛に勇気を褒められた花穂は照れながらも、自分にできることを少しずつ頑張っていこうと決意するのだった。
 第10話 「たいへん、しみつがばれちゃうよ!」 6/6 (第4巻)
「わぁ、へんしんしてるとこみられちゃったぁ!? どうしよう、ヒナたちのことがテレビにでちゃう……。よつばちゃんったらしつこいんだから、このままじゃへんしんできないよー!」
 ジャーナリストを目指すフリーターの四葉は、雛子が変身する姿を偶然目撃してしまう。スクープを土産にトップ記者を狙う四葉は小学校の中にまで潜入し、雛子を大いに困らせる。駅前に出現した怪物に立ち向かうにも、四葉が見張っていて変身できない。だが、一人で先に変身してしまったアリアがなすすべもなく怪物に放り投げられた時、四葉はつい「とう!」とジャンプ一閃でアリアを抱きとめ、そのまま壁に激突して気絶してしまう。その隙に変身したヒナは怪物を倒し、目を回していた四葉は雛子に起こされて特ダネを逃したことを激しく後悔しながらも、今後も気になる雛子を追っかけて、たびたび春歌にしょっぴかれることになるのだった。
 第11話 「まかいはおおさわぎ」 6/13 (第4巻)
「はしってえいってどーんってしたら、へんなところにでてきちゃった! アリリ、ありあちゃんがひかってる……? ねぇねぇでぐちはどこなの、じょおうさま? ……うわあ!?」
 眞深が召喚した怪物を追いかけるヒナ達は、逃げようとした眞深の結界の中に飛び込み、一緒に魔界に入ってしまう。闇の中で怪物達に取り囲まれ、絶体絶命かと思われた時、アリアの体が青白く輝き、怪物達はその光に怯えて動けなくなる。何が起きたのか分からないがチャンスと見たヒナは、怪物達を脅かして出口までの道順を教えてもらう。しかし、右と左を1カ所取り違えたため道に迷い、気がつくと真っ暗な中で淡く光る泉の前に出ていた。その真ん中に兄の航によく似た彫像が立っているのを見て驚いたヒナは、思わず近寄ろうとするが、厳しい制止の声がそれを阻んだ。魔界の女王、千影がその恐ろしい姿を現したのだ。
 第12話 「マジカル☆ヒナ、だいぴんち!」 6/20 (第5巻)
「じょおうさま、こんなにつよいなんてずるーい!? ヒナ、まけちゃうよお……。ありあちゃん、じょおうさまのことしってるの? おにいたま、おねがいヒナたちをたすけて!」
 魔界の女王に立ち向かうヒナだったが、千影のペンダントの前に全く攻撃が効かず、逆に強大な魔力で追いつめられてしまう。その危機を救ったのは、泣きながらヒナに寄り添うアリアの輝きだった。光に触れた千影は、その闇のベールをはぎ取られ、美しい素顔をさらけ出す。その顔を見たアリアは、不意に何かを思い出し「ねえやー?」と呟く。アリアに離れるように叫ぶ千影に、ヒナは視界に入った兄そっくりの彫像に思わず助けを求めてしまう。そのとき、ヒナに応えるかのように彫像から「ちかちゃん。」と暖かい声が響き渡り、呆然とする千影の隙をみてその彫像に飛びつくと、ヒナ達は闇の中を抜けて公園の噴水の中に舞い戻ることができた。一方、眞深は女王の逆鱗に触れて処罰されかけるが、あの声を思い出した女王の躊躇で、かろうじて最後の機会を与えられた。
 第13話 「おえかきびより」 6/27 (第5巻)
「きょうもあめでつまんない。みんなのおかおをおえかきしよっと。おにいたま、かれんちゃん、ありあちゃん、はるかせんせっ、かほちゃん、それからそれから……じょおうさま?」
 梅雨空の日曜日、雛子はお絵かきをして過ごす。兄や可憐、亞里亞、春歌、マジカル☆ヒナに変身できるようになってからの色々な出来事。亞里亞からの電話に出ている間に、航は雛子の絵をつい見てしまうが、その中にあった千影とペンダントの絵に、はっと何かを思い出しかける。可憐の声で我に返った航は、心配する可憐に顔を赤らめて慌ててごまかし部屋を出る。掃除をしに来たはずの可憐は、お絵かき帳をめくってそれらの絵を確認すると不意に表情を消して、絵の中の千影に「あなたには、渡さないわ……。」と静かに語りかけるのだった。
 第14話 「おにいたまとデートなの!」 7/4 (第5巻)
「きょうはおにいたまとデート! クシシシ、いいでしょ? さくやちゃんもいきたい? ……わわ、このかいじんさんわるいこだよー!? ヒナがまもってあげるから、みんなおちついて!」
 今日も男運のなさを嘆く咲耶は、デパート屋上のヒーローショーを見に行く雛子と航に退屈しのぎについて行くが、会場には子供よりもおおはしゃぎな四葉がいた。記者失格の四葉をからかう咲耶は、逆にアイドルへの道に踏み出せないことを揶揄され口ごもる。亞里亞が不在のチャンスに、眞深は、ショーの怪人役になりすました怪物ともども雛子に攻撃を仕掛けるが、スクープを狙おうとして舞台を破壊してしまう四葉と、飛行型プロトメカ1号に乗った鈴凛に邪魔されてしまう。あわや大混乱に陥りかけた観客席を、咲耶は咄嗟の機転で司会のお姉さんに取って代わり、子供達をヒナ達の応援に導いて巧みに場をまとめた。怪物が倒され安堵する咲耶は、子供相手の仕事も向いていると航に言われ驚くが、その感情も見知らぬ美青年からの褒め言葉にかき消されてしまう。雛子にも声をかけたこの青年こそ、眞深の兄であり魔界からの新たな刺客である燦緒だった。
 第15話 「どうしよう、まけちゃった…」 7/11 (第6巻)
「まみちゃん、もうわるいことはやめようよー。……アリリ、まみちゃんのおにいたま? どうしてまみちゃんをぶったりするの!? そんなことしたら、『めっ』しちゃうんだから……キャアッ!!」
 燦緒は高校(中高一貫制)に転校生として入り込むと、航とすぐに親しくなり、また咲耶や白雪達の注目の的になった。一方で、既に手持ちの怪物もなく、ヒナ達に単身挑む眞深。その胸のロケットには、魔界に囚われた兄の肖像が秘められていた。元々下級天使として生まれた眞深の相打ち覚悟の技を、ヒナとアリアは力を合わせて辛くも防ぎきった。全ての力を出し尽くした眞深の前に、不意に兄の燦緒が現れる。兄が解放されたのかと喜び飛びつく眞深を、燦緒はあざ笑い打ち倒す。その衝撃に心身砕かれ失神する眞深を、どこからか現れた可憐が介抱し、その代償として魔界へ移動するためのフラフープを奪い去る。一方、ヒナとアリアは燦緒の非情な攻撃の前になすすべもなく破れ、助けに入った鈴凛がアーマードプロトメカ1号で時間を稼ぐ間に逃げるほかなかった。
 第16話 「かほちゃんもなかまいり!」 7/18 (第6巻)
「だめだよ、このままじゃやられちゃう……。おじいさんもまけちゃったの? かほちゃん、あぶない! アリリ、かほちゃんそのバトンなぁに? え、ヒナたちをおうえんしてくれるの!?」
 再び現れた燦緒と怪物に、ヒナもアリアも太刀打ちできずただ逃げ惑う。2人を守ろうと出現したおじいさんも、奮戦及ばず致命傷を受けてしまう。チアリーディング部練習の帰路、そこに出くわした花穂は馴染みのおじいさんが倒れているのに驚いて介抱し、彼女に気づいた怪物に襲われかけるが、身を挺して庇ったマジカル☆ヒナに助けられる。倒れたヒナの正体が雛子であることに気づいた花穂は、怖気づく心を振り払い、手にしたバトンで2人を守ろうとする。そのとき間に入ったおじいさんは、最後の力を花穂に託して消える。練習用バトンは魔法のバトンとなり、その力で花穂はファンシー・カホに変身。カホの「おうえん」パワーでヒナとアリアをパワーアップさせると、3人は燦緒と怪物を一気に撃退するのだった。一方、病院を抜け出した眞深は兄の姿を遠くから見つめ、何の力も残されておらずとも兄を元に戻そうと決意した。
 第17話 「はるかせんせい、やめないで!」 7/25 (第6巻)
「はるかせんせい、おみあいするんだって。え? おみあいしたら、せんせいやめちゃうの!? だめだよせんせい、ずっと、ずっと、ヒナたちのせんせいでいてくんなきゃ、やぁだぁ……。」
 春歌が次の休日にお見合いをすると聞いた雛子達は、先生をやめる気かと早合点して妨害工作を企む。学級有志一同、花穂まで巻き込んでの作戦も、鈴凛の発明品などで邪魔しようとするが逆効果だったり、山田や四葉に見つかってこちらが邪魔されたりと、なかなかうまくいかない。だが、雛子達を狙って出現した燦緒と怪物に、レストランは大混乱に陥る。食事中の見合い相手は騒ぎに巻き込まれたくないばかりに、春歌に急いで逃げようと言い、その態度を見た春歌は一礼して交際を断ると、たすきがけしてモップを振りかざし子供達を助けに向かう。仲間達がいるため変身できずに困惑する雛子達は、なぜか現れた眞深の計らいで無事変身し、怪物を倒し燦緒を撃退した。春歌は雛子達に学校をやめないでと泣きつかれ、感激しつつ教育的指導を行った後、壊乱した店内で呆然と立ちつくすウェイターに全員分の白玉あんみつを注文するのだった。
 第18話 「おにいたまのおもいで」 8/1 (第7巻)
「たいへん、おにいたまがあぶないの! ゆうかいされちゃうよ、たすけなきゃ! おにいたま、だいじょうぶ? あたまいたいの? じょおうさまのこと、しってるの……?」
 取り巻きの女子を撒いてようやく航と二人きりになれた燦緒は、航に暗示をかけ隠れ家に連れて行こうとする。尾行する眞深は鈴凛経由で雛子に連絡し、ヒナ達はかろうじて航を魔界に拉致されることを阻む。我に返った航は、燦緒に命令すべく魔法陣に浮かんでいた千影の顔とペンダントを偶然直視し、激しい頭痛に襲われ倒れこむ。薄れゆく意識の中で見たものは、はるかな前世の記憶だった。過去の世界で前世の航は幼い千影と出会い、義理の兄妹となり、そしてとある女性と結ばれる直前に、胸を千影にアイスピック状の凶器で貫かれて落命したのだ。不意に意識を取り戻した航は、「兄くん…………。」と呼ぶ魔界の女王の声を拒絶するが、悲しみを浮かべて消えていく彼女の表情に、心をかき乱されるのだった。
 第19話 「どこのだれかは、しりません」 8/8 (第7巻)
「はやてのようにーやってきてー、はやてのようにーさってゆくー。びしょうじょかいとうクローバー、せいぎのためにーたたかうよー! ……ねえよつばちゃん、『はやて』ってなぁに?」
 繁華街での怪物の出現に、ついにマジカル☆ヒナの正体をつきとめて雑誌に売り込みにかかろうとする四葉だが、子供の頃に憧れていた特撮ヒロイン「美少女怪盗クローバー」の声が心に響いて、ヒナ達の危機を見過ごすことができない。雑誌への電話をたたき切った四葉は手近の商品で「美少女怪盗クローバー」に変装し、高笑いとともに颯爽と参上。あっけにとられるヒナ達を尻目に、新たな敵の登場に動揺する怪物達を7つ道具で翻弄し、その隙に鈴凛のマジックハンドで戒めを解かれた3人が勝負を決した。記者への望みを断たれたうえ、バイトも無断欠勤が祟ってクビになった四葉は、その調査メモを見て驚いた鈴凛に研究・調査の助手として雇われることになり、感謝感激に打ち震えつつ正義のために戦う決意を固めるのだった。
 第20話 「びっくり! そっくり! メカひなこ」 8/15 (第7巻)
「ヒナのおたんじょうびに、りんりんちゃんがプレゼントをくれたの。またへんなのつくったのかな……うわぁ、ヒナがふたりいるぅー!? そっちがメカひなこだから、ヒナは、ヒナひなこ?」
 相変わらず身辺を徘徊する四葉に煩わされる雛子だったが、それは鈴凛の最新作のための情報収集だった。雛子のお誕生日パーティに招かれた鈴凛は、雛子そっくりのロボットをお披露目する。大喜びの雛子は自分の代わりにお手伝いをさせようとするが、どうにも要領を得ないうえ、かえって面倒を引き起こしてしまう。雛子は腹を立て「堅くて冷たくて嫌い」と言ってしまうが、帰宅後航に諭され反省する。翌日公園で雛子達がメカ雛子に遊び方を教えていると、燦緒と怪物が出現し、雛子の不意をうつ。その鋭利な切っ先を受け止めたのは、メカ雛子の強靱な装甲だった。さらにドリルミサイルやロケットパンチで敵を翻弄するも、オーバーヒートで停止寸前。だが今度は本物のヒナ達が後を引き継ぎ撃退する。雛子はメカ雛子にお礼を言うと、一緒にお風呂に入り一緒に寝ることに。しかしメカ雛子の冷却水漏れで、おねしょと間違われてしまうのだった。
 第21話 「おあついうちに、めしあがれっ」 8/22 (第8巻)
「しらゆきちゃんのシュークリームたべると、ヒナ、いっつもニコニコしちゃうんだよ。わるいこだって、きっとほっぺたおちちゃって、いいこになれちゃうんだから、ね?」
 人の心を害する食べ物をばら撒く怪物に、白雪が敢然と立ち向かい料理勝負をすることに。犠牲者を集める良い機会と考え、それに応じた燦緒だったが、白雪が作ったココアスフレと取り違えて雛子達が味付けしたシュークリームを一口食べた途端に、封印されていた記憶を取り戻しかけ、目元を覆う仮面が薄らいでしまう。それは、かつて妹の眞深がこしらえてくれた激辛シュークリームを髣髴とさせた。彼の正体が燦緒だと気づいた白雪は、封印を破られかけた激痛に逆上した燦緒に襲われ、絶体絶命となる。だが「あんちゃん!」と叫ぶ眞深の声に、燦緒は振り上げた鉤爪を止め、ヒナ達が怪物を倒すのを見て、何も言わずに撤退した。白雪は、いつか燦緒が素直な心で食べてくれることを祈りながら、ケーキ作りに励むのだった。
 第22話 「しゅくだい、おわらないよ」 8/29 (第8巻)
「なつやすみのしゅくだい、こんなにのこってるー!? ありあちゃんはもうおわっちゃったの? きょうはおさんぽ? ヒナも、もっとはやくやっとけばよかったよー……。」
 夏休みも残りわずかだが、雛子は宿題が片付かず、航と可憐に手伝ってもらう始末。妹の不始末を詫びる航に、可憐は、航と一緒にいる時間が長くて嬉しいと答え、航を赤面させる。しかし心の中では、あの千影への想いも薄らがずにいた。そんな航の横顔を、可憐は黙って見つめる。一方、亞里亞はじいやに工作の宿題を任せ、隙を見て家を抜け出し雛子の家に行くが、とても遊べる状態ではない。そのまま町中を散歩すると、咲耶や白雪、鞠絵、四葉、山田らが、それぞれの今日を生きる姿に出会う。夕暮れの公園で、花穂とブランコに乗りながら、幸せな気持ちで歌う亞里亞。だがそこに燦緒が出現し、亞里亞に、仕度をなさいませ、と伝える。実は、魔界の王女であり千影の妹である亞里亞をこれ以上人間界に染まらせないため、魔界に帰還させる命令を女王が下したのだ。
 第23話 「ありあちゃん、いかないで!」 9/5 (第8巻)
「ありあちゃんはヒナのいっちばんたいせつなおともだち。なのに、まかいにいっちゃうの? ありあちゃんがいないと、ヒナ、サビシイサビシイびょうになっちゃうよ……。」
 亞里亞の正体を燦緒から知らされて、花穂は慌てて鈴凛に相談する。雛子には黙っていようと約束するが、四葉がつい口を滑らせてしまう。驚いた雛子は、亞里亞を自分の家に匿おうとし、夜中に家を襲った燦緒の攻撃に航や可憐達を巻き込んでしまう。騒ぎに気づいて駆けつけた春歌達は、忘却の魔法によって亞里亞のことを忘れてしまっていた。動揺するヒナから亞里亞を奪い去る燦緒だったが、魔方陣に浮かぶ千影は、眠る亞里亞を抱きつつ、航を傷つけた咎により燦緒を粛清しようとする。燦緒を襲う業火の奔流を、間に飛び込んだ眞深が背に受け止める。呆然とする燦緒の口に、手作りのシュークリームをそっと噛ませると、眞深の体はついに限界を越えてしまい消え始める。その刹那封印を破って全てを思い出した燦緒は、炭化しかけたシュークリームを口に収め、妹の名を呼びながら抱きしめようとするが、眞深は満面の笑顔とともに消失する。燦緒は宙を抱いたまま絶叫し、航は傷ついた可憐をかき抱き、雛子は花穂の胸の中で泣きじゃくるのだった。
 第24話 「おにいたまなんて、だいきらい!」 9/12 (第9巻)
「ありあちゃん、どこにいっちゃったの? ヒナ、なかよしさんやめないんだから。おにいたま、そんなにこわいかおしちゃやだ、ありあちゃんをいじめちゃ『めっ』だよ!?」
 入院した可憐の寝顔を見つめて、航は千影を憎む心を強めていき、雛子に恐がられる。一方、燦緒は雛子達に決闘状を突きつけ、最後の戦いに臨んだ。雛子の秘密にも気づいた航が隠れて注視する中、ヒナとカホは防御力が足りないにもかかわらず渾身の力で燦緒に立ち向かう。燦緒は既に死を決意し、眞深への償いに、少しでも多く苦しもうとしていた。だが、そこに突然現れたアリアが、航以外の全員を区別なく攻撃し始めた。燦緒はヒナとカホを庇って大怪我を負う。航はアリアに飛びかかり、彼を攻撃できないアリアを、燦緒が取り落とした剣で倒そうとするが、ヒナに腕をとられてしまい、その隙にアリアは姿を消す。ヒナをなじる航に、ヒナは泣きながらいやいやする。そんな兄妹のいさかいを横目に、燦緒は、人を憎み傷つけるより人を愛し守りたい、と呟いて最後の力で3人を魔界に転送し、草の上に倒れると青空の美しさに初めて気づき、静かに目を閉じた。
 第25話 「さいごのおねがい、きいてよね」 9/19 (第9巻)
「おにいたまも、ありあちゃんも、みんな、みんな、いなくなっちゃやだ。みんななかよしさんで、ニコニコしててくんなきゃ、『めっ』なんだからね? だから、ヒナ、ヒナね……。」
 兄妹の仲直りができないまま、魔界を進むヒナ達。時折脳裏をかすめる前世の記憶に脅かされ、航は女王を討つ決意を必死に保つ。その眼前に出現したアリアとじいやは、航を捕獲しヒナとカホを倒そうと迫る。しかしアリアはカホに涙ながらに頬を張られ、ヒナに抱きつかれ、封印された亞里亞の心を取り戻しかけてふつりと意識を失う。これに気を奪われたじいやを航は逆襲するが、ヒナの声に「亞里亞ちゃんが悲しむから…。」と攻撃をやめ、道案内させる。行きついた泉の間で、千影目掛けて突進した航は泉に落ち、彫像の魔力で前世の記憶をついに完全に取り戻し始める。遠い記憶と近づく千影を必死に拒む航が思わず可憐の名を呼ぶと、航の胸に下げられたお守りが輝き、眞深のフラフープを利用した可憐が突如現れ、彫像の胸に刺さったアイスピック状の凶器を抜き取り、驚く千影に向けて構え突進する。無防備な千影を庇って、意識を回復したアリアが間に飛び込み、彼女を守ろうとヒナが身を投げ入れ、それを見た航も咄嗟に割って入り、その胸に凶器が突き刺さる。前世の復讐を遂げようとした可憐は最悪の事態に動顛し、自害しようとしてカホに阻まれる。瀕死の航は、前世でも千影が可憐を攻撃するのを防ごうとして自らが犠牲となったことを思い出し、千影と可憐にこれ以上憎しみ合わないように願う。死を前にした兄を救ったのは、ヒナの禁じられた「おねがい」だった。蘇る兄の姿に笑顔を浮かべつつ崩れ落ちる雛子は、粉々になる指輪を残して、闇の中へと消えていく。
 第26話 「みんながダイダイだーいすき!」 9/26 (第9巻)
「ヒナ、ゆめをみてたの。ちかげちゃんの、とっても、とっても、かなしいゆめ……。ヒナはもうまほうつかえないけど、みんな、きっとげんげんげんきになれるよね、ね?」
 雛子が消えた瞬間、航達もまた人間界に追い出されていた。雛子を救い出すために魔界へ戻る方法を懸命に探す航、花穂、鈴凛、四葉。そこに可憐が現れ、自分が案内すると申し出る。四葉に非難され詰問されてもひたすら耐え続ける可憐を、花穂と航は信じることにした。再び侵入した魔界は、千影に代わって玉座を狙うシャドウ達が争い合っていた。カホ、メカ雛子、アイスピック可憐、美少女怪盗クローバー操るジャイアントプロトメカなどの奮戦で、泉の間への血路を開く。最後に行く手を塞いだ巨大怪物をジャイアントプロトメカで押さえ込ませ、これに止めを刺されようとしていたじいやを救出して泉の間に飛び込むと、そこは闇の中に泉が浮かび、深淵に落ちていくヒナの魂を、千影とアリアが引き戻そうとしていた。
 肉体を泉に浮かべる雛子はまどろみの中で千影の過去を知り、その優しさとかなしみと兄への愛を、幼い「ちかちゃん」の姿に見る。「ちかちゃんも、ヒナとおんなじなのね。おにいたまのこと、だいすきなのね。」ちかからもらったペンダントの輝きが、ついに雛子を覚醒させる。その途端に千影の力は失せ、深淵は雛子の代わりに千影を飲み込もうとし、その手を掴み踏ん張る雛子とアリアを、泉にたどり着いた航達が必死に支える。千影の身代わりになろうとする可憐の手をも航は離さず「もう誰も失わせない!」と叫ぶ。千影の涙と可憐の涙が深淵に零れ落ちて闇の彼方に2つ輝き、魔法の使えない雛子のお願いが深淵に響き渡った。そこに乱入する先刻の巨大怪物に、航はバランスを崩し、それを見て千影と可憐は共に手を離して最後の攻撃を怪物に浴びせる。咄嗟に伸ばした航の両手は可憐だけを掴み取り、千影は微笑んで深淵に吸い込まれていく。アリアはその後を追って飛び込み、千影の胸に寄り添って「亞里亞、ねえやが、すきー。」と微笑む。千影は亞里亞を抱きしめ、雛子達は2人の名を叫び、深淵の彼方の2つの輝きは2人を包む。その輝きの中に、純白の翼を広げた青い髪の少年と赤い髪の少女を確かに見て、雛子達は崩壊する魔界から脱出した。兄にしがみついて泣く雛子は、可憐にどこにも行かないでとお願いし、可憐も2人が戻ることを心から祈る。
 数日後、元気なく登校した雛子は、春歌の「元気になって退院して、今日からまたみんなと一緒に……」という言葉に、はっと前を向く。そこには、先生の隣で微笑む亞里亞と、その後ろで「みなさん、また仲良くしてあげて下さい…………。」と頭を下げる千影の姿があった。雛子の轟く歓声に、職員便所の掃除をしていた眞深は苦笑し、一方の燦緒は高校の前に立っていた。(EDは全員が登場する特別篇)


戻る