その4 海外放送を聞こう!

 

 今回作ったラジオは、おそらく6-10MHzぐらいが受信範囲だと思う(使用コイルによって変わってくる)。まず可変抵抗器を半分ぐらいの位置にして、バリコンを端から端まで動かしてみよう。どこかで音が大きくなって、さらに動かすと発振気味になるはずだ。もし何かが聞こえた所で音が小さかったり、逆に発振していたりしたら、抵抗器の方を動かしてやると聞きやすくなる。電波は夜遅くなるほど強くなるが、あまりに電波が強くなりすぎても混信が増えて受信しにくくなる。

 

 それでは実際に、自作ラジオを使って海外の放送を聴いてみよう。中・高校生では英語の放送を聞き取るのは大変だろうから、入門編として海外日本語放送を取り上げよう。2005年8月現在、11ヶ国の国営放送局と5つのキリスト教系局が、短波帯で日本語放送を行っている。この他にNHK国際放送と「ラジオ日経」も(当然のことながら)日本語で放送を行っている。放送時間・周波数・放送局の住所などの情報は、「片手にラジヲ」のサイト(http://www.alpha-net.ne.jp/users2/gota/)や「BCL / 海外放送のページ」(http://www5a.biglobe.ne.jp/~BCLDX/)に掲載されている。なお英語が得意な人は「KAYS」のサイト(http://www.ne.jp/asahi/kay/kay/)に、日本でよく聞こえる海外放送の情報があるので、そちらを見るとよいだろう。また、世界の短波放送の動向は「月間短波」のサイト(http://www5a.biglobe.ne.jp/~BCLSWL/)が参考になる。

 

 夕方の6時(18:00)から夜10時近く(21:50)までの各時0-50分の間には、「チョソンの声」日本語放送の強烈な電波(デムパ)が、6070,  7580,  9650kHzで垂れ流されている。内容の特殊さもあって、誰が聴いても他の局と間違えようがないし、放送している時ならいつでも確実に聞こえるので、これをマーカーとして他の局を探すことにしよう(バリコンのダイヤルを右に回すと受信周波数は上がり、左に回すと下がる)。なお放送の聞こえ方には地域差があり、以下は茨城県で受信したケースをもとにしている。

 

(1)      6MHz帯の日本語放送

 

 関東地域であれば、昼間にラジオ日経(第一放送:6055kHz, 第二放送:6115kHz)が強く受信できるはずだが、夜になると他の電波も強くなってくるので、だんだん聞き取りにくくなる。夕方6時過ぎに第一放送受信し、そこから右にダイヤルを回すと「チョソンの声」が聞こえるはずだ。この位置を覚えておいて、夜9-10時と11-12時にダイヤルを左に回すと5975kHzの「ラジオ韓国」が受信できる。また夜10-11時にダイヤルをさらに左に回すと、5905kHzの「ロシアの声」が受信できる。ただし、低い周波数ほど再生がかかりにくいこともあって、いずれの放送も受信感度が上がらないかもしれない。

(2) 7MHz帯の日本語放送

 

 確実に聞こえるのは中国国際放送(昔の「北京放送」)で、夕方6時半から夜中の12時過ぎまで7190kHzで放送している。7580kHzの「チョソンの声」にダイヤルを合わせてから、少し左の方にダイヤルを動かしてやると強い日本語の電波が受信できるはずで、20分も待っていれば「CRC中国国際放送のホームページ」の宣伝が入るはずだ。中国本土と仲の悪い台湾(中華民国)の「台湾国際放送」(昔の「自由中国の声」)は20-21時と22-23時に7130kHzで放送している。ということは、中国国際放送からほんの少しだけダイヤルを左に回すだけで、こちらが受信できるということだ。実際にやってみると、強い中国本土の電波を微妙に被りながら、とつとつした日本語が聞こえてくるといった感じだ。ハワイから放送している宗教局AWR(アドベンチスト・ワールド・ラジオ)は22:00-22:30に7180kHzで放送している。つまり夜10時にダイヤルを回してみると、「台湾国際放送」→「チョソンの声」→「AWR」→「中国国際放送」といった順番で日本語放送が聞こえることになる。

 

(3)   9MHz帯の日本語放送

 

 夜9時から受信する場合、9650kHzの「チョソンの声」と9465kHzの「KTWR」(太平洋の声)が良いマーカーになる。これらより少し上(9840kHz)には「ベトナムの声」が20-23時の各前半27分に出ているが、混信などの問題もあって、完全に内容を聞き取るのは難しい。「インドネシアの声」(20:30-21:00:9525kHz)は、これ以上に受信が難しい。

 

もっとはっきりと聞きたい人向け

 

 最近では「ヤマダ電機」などの家電量販店で、中波・短波・FM・TVと12バンドもカバーしている中国製ラジオが2000-3000円台で入手できる。日本メーカー販売(製造は海外)の同等製品(SONY ICF-SW11, Panasonic RF B-11)は定価8000円台(実売価格6000円程度)であり、半値で買えてしまう。「こんな安物で大丈夫か?」と思ってしまうが、実際に「YM-12」(ELECTRIC INC)に3mほどのビニルアンテナを付けてテストしてみたところ、RAE(アルゼンチン:未テスト)以外、全ての日本語放送が実用的な状態で受信できることが確認された。RA-068S(ANDO INTERNATIONAL)も同等品で、同じぐらいの値段で市販されている。本格的に番組の内容を聞きたい人はこの手のラジオを使って見るとよいかもしれない。中国製ラジオのレビューが「RADIO FREQ WEB」(http://www.geocities.jp/radiofreqweb/)にあるので参考にされたい。なお、この手のラジオは感度は高いが入力の過飽和に弱いので、アンテナの長さは数メートル程度にしておいた方がよい(普通、細めのビニル線を張って、片方を本体のロッドアンテナに数回、巻きつけておく)。