西洋占星術の概要

 西洋占星術は便宜上、天動説の立場に立っており、12惑星(月・太陽を含む)が黄道上を移動していると考える。惑星の移動速度は理論上、地球からの距離が近いほど早く、例えば月は一星座を平均2.5日で移動する(一ヶ月で約1周)。太陽は一年かけて黄道上を一周する。水星・金星は1月弱、木星は1年、土星は2年半ほど一星座に留まる。通常使用されているトロピカルシステムにおけるサインとは、黄道と天の赤道の交点である春分点を基準として黄道を30度ずつに分割したものに、近接する12星座の名前を割り振ったものである。惑星の公転周期から見ると地球の直径は無視できるので、ある時点における惑星の黄道上の位置は地球上のどの地点から見ても同じになる。

 地球上の任意の地点で真南に向かって立った場合を想定した場合、東の地平線の延長線と黄道の交点をアセンダント(ASC)、西のそれをディセンダント(DIS)と呼ぶ。惑星はASCからDISに向かって移動するが、その南中点をおよびその逆側をそれぞれミディアム・コエリー(MC)、イムノ・コエリー(IC)と呼ぶ。ASC-DIS・MC-ICの軸で仕切られる4領域を更に3分割することで、12のハウスが得られる。ASC・MCなどの位置は黄道上のサインで表記し、地球の自転によって、ハウスホイールは一日で一周する。同じ時点におけるASCなどの黄道上の位置は立っている地点によって異なるため、同じ瞬間に生まれた人でも出生地点が異なれば、ASC・MCあるいは惑星の入っているハウスは異なる(サインは同一になる)。ホロスコープは惑星・サイン・ハウスの3要素から成り立っており、よく使われる例で言えばそれぞれが「俳優」「配役」「舞台設定」に対応する。ただし本システムでは出生地点・時間が不明であることを前提としているために、ハウスシステムは利用していない。

 時間と場所が正確に特定できれば、惑星の位置は確実に計算できる。しかしそうして得られたホロスコープが何を示すのかという点については、種々の説がある。古典占星術では「端的な事実」を示すと考え、一方で20世紀初期のアラン・レオに始まる心理占星術では、むしろその人の内面的な状態を示すとする。心理占星術の立場では、ホロスコープが示すものは、それぞれのサインによって色付けされた複数の惑星によって象徴されるエネルギーが、その人個人の心の内部でどういう風に存在し、互いに影響しているか、というものであると説明する。この説はかなり色濃くユング派の精神分析学の影響を受けている。太陽から土星までの惑星は個人レベルの意識・無意識に力を及ぼし、トランスサタニアン(天王星・海王星・冥王星)は集合的無意識レベルで、社会全体に影響を及ぼすとされる。これは外惑星の軌道が長く、同じ星座にとどまる時間が長いことからも導き出される結論である。12惑星のうち、月・太陽・水星・金星・火星の5つをパーソナルプラネットと呼び、それぞれ個人の無意識・自我・思考およびコミュニケーションパターン・好みや価値観・行動力や欲望といったものを象徴している。木星および土星はこれらを社会に向けて拡大していく働きと、逆に組織化することで社会に適応していこうとする働きを象徴する。サインによって色づけされた惑星の象徴するエネルギーは、惑星の配置によっては互いに調和的に働いたり、衝突したりする。これを「アスペクト」と呼ぶ。


 バースチャートのどのサインにどの惑星が入っているか見ることで、その人の基本的な性格の傾向を伺い知ることができる。その全体像を見るには「2・3・4区分方」を用いる。便宜上、地球から近い順番に太陽・月を5点、水星・金星・火星を3点、木星・土星を2点、トランスサタニアン(天王星・海王星・冥王星)をそれぞれ1点とし、各星座に入っている惑星の合計点数を算出する。これを以下のチャートと照合することで、モード(クオリティー)およびエレメントの分析を行う。火と風のエレメントは能動的な男性原理を象徴することから陽、地と水のエレメントは受動的な女性原理を象徴することから陰として、それぞれの合計点から陰陽のバランスを求める。クオリティについては下表のC:カーディナル(活動的)、F:フィックスド(安定性・頑固さ)、M:ミュータティブ(順応性・適応性)に3分される。また12星座と4エレメントについては次の照合関係がある。

C牡羊座天秤座山羊座蟹座
F獅子座水瓶座牡牛座蠍座
M射手座双子座乙女座魚座
   
エレメント心理機能判断機能の内容
思考機能論理に基づいて合理的に考える
感情機能感情に基づいて好き嫌いで判断
直感機能五感では捕らえられい総合的な直観力
感覚機能五感に基づく快・不快の判断
   
風(思考機能)
火(直感機能) ←↑↓→地(感覚機能)
水(感情機能)
カーディナル(C)が強い心的エネルギーは外部に向かい、行動に対する欲求が強い。改革・変化を好み、環境の変化に合わせて自己を確立していく。
フィックスド(F)が強い心的エネルギーは内面に向かい、自己目的達成へ強い欲求を持つ。安定した自我と不断の決断力を持つが、外部の変化・圧力には抵抗する。
ミュータティブ(M)が強い流動性と順応性を特徴とし、周囲状況への適応と調和・理解の欲求が強い。行動力や意思の強さ、決断力・持続性が弱い。

 モードとエレメントのバランスを見ることで、その人の性格の大まかな全体傾向を掴むことができる。モードはユングの「タイプ論」で言うところの「外向」(C)・「内向」(F)に対応し、ミュータティブ(M)は外向と内向が一定せず、周囲の状況に合わせて両方を使い分ける傾向がある。エレメントは4つの心理機能に対応し、その人の世界の捉え方や、判断の根拠を示す。思考−感情と直感−感覚の2軸があり、対立する機能は同時に使用することはできない。全体のバランスから見て弱すぎる心理機能、あるいは過剰に突出した心理機能と対立する機能は「シャドー」として通常は無意識に抑圧されているが、時として未熟な形で表に表れてくる(劣等機能)。相性で見る場合、エレメントバランスが似ている方が無難ではあるが、一方で相手の劣等機能が表面化した場合に対応することは困難である。逆に一方の主機能が相手の劣等機能に当たっている場合は、互いの不足を補おうとする力が働くために引き付け合う力は強いが、一方で互いに自分のシャドーイメージを相手に見ることになるために、関係の継続には努力が必要(ただし、それに成功した暁にはベストパートナーになれる)。

 基本的に男女の恋愛は自分の中にある理想の異性イメージを相手に投影することで成立している。男性の中の理想的な女性イメージ(アニマ)は金星で、女性の中の理想的な男性イメージ(アニムス)は火星で象徴されるために、アニマ・アニムスのイメージはこれらの惑星が入っているサインから読み取ることができる。


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