「Stay ever... 〜約束なんてできない〜」

(GA-BANG / 2003.2.28)


 今はなきソフトハウス「GA-BANG」の第2作にして最終商品(概要は この辺を参考)。システム周りは必要なものは揃っているが、うちの環境ではパッチを当てた状態でもフルスクリーン起動できず、最後には立ち上がるまで異常に時間がかかるようになってしまった(理由不明)。えろシーンは各キャラ4回ずつあるが、一枚絵のクオリティは(デッサン狂いまくりの)立ち絵のそれと大差ないレベルなので推して知るべし。ではテキストはどうかと言えば、これもまた微妙。「ONE」+「家族計画」的な「泣きゲー」路線を狙っているようにも見えるが、今ひとつプレイヤーを騙しきれていない雰囲気。どこかで聞いたことがあるような、手垢が付きまくっている話しで固めているだけあって、個別シナリオの流れ自体には間違いがない。ただ、話しの展開を急ぐあまりにシーンの繋ぎ方が悪く、そのためにご都合主義的に病気や事故が発生したり、直ってしまったりするように見えて仕方がない。さらに個別シナリオを統合して見た場合、全体の整合性が取れていない所が目立つ。これに加えてキャラクターの言動が過剰なほどに色付けされている上、主人公の内面描写のテキストもあまり上手くない(というか、初プレイ第一章は「地雷を踏んだか?」と思った)。とは言え、ラスト付近の畳み掛けるような展開には見るべきものがある。目についたキャラ狙いで一度、通しで最後までプレイしてみて、上記の点が気にならないようならば、全員クリアを狙ってもよいかもしれない。

(以下、ネタバレあり)

 このゲームを理解するには、主人公(瀬上圭一)を巡る人間関係を抑えておく必要がある。まず彼には腹違いの姉(結莉)がおり、幼い日に母を亡くした後は、父親と3人で暮らしていた。ところが、彼が高校に入った頃、父親が2度目の再婚。その相手というのが、幼馴染の菜穂。つまり、成り行きで恋愛相手だったはずの相手が姉弟の関係になってしまったと。

 この辺から、話しがかなりインチキ臭くなってくるが、菜穂が圭一とともに登校していた途中で、突然、倒れてしまう。彼の許婚にして脳外科医の瀬上診有から「菜穂が遺伝病に冒されていて、早くて3年、遅くとも5年以内に理性と記憶を失って死ぬ」と聞かされてから、彼はその秘密が菜穂にばれないようにと行動するようになる。そんな頃、彼の前にクラスメイトの「委員長」美村楓子が登場。父親に似て下半身がルーズな圭一は、成り行きで彼女とセフレの仲になってしまう。公園で出会った謎の占い師(ユキ)の「誰も選べずに、破局を迎える」という予言通り、彼はどの相手とも中途半端な関係のままで、自分の病気に気づいた菜穂に迫られて、あわや…という所で母親に現場を見られてしまう。結局、圭一は菜穂と引き離されて、一年間、別の学園で過ごすことになるのだが、そんなある日、父親から「菜穂が死んだ」という手紙が届く(ここまでが1章)。

 圭一が家に帰ってきてみると、そこは喫茶店になっていた。一年前にパテシィエコンテストで優勝した結莉が店を開き、死んだはずの菜穂もそこでウエイトレスとして働いていたのだ。しかも、彼がその前から逃げ出した楓子まで「家政婦」として、彼と一つ屋根の下で住む羽目になってしまった。二章以下はその「家族」の中で展開される圭一と攻略対象キャラの間の恋愛沙汰を描いていて、ユキも7月16日以降、この家族の中に入ってくる。大まかにそれぞれの話しを書くと、こんな感じ。

 結論。たしかにラストだけ見ると悪くないのだが、あまりに日常生活の描き方がおざなり過ぎで、最初から最後まで「ご都合主義の展開」に見えて仕方がない。同じプロットでも、書きようによっては、もう少し何とかなったのでは?


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