「ひなたのおか」

(PUMPKIN SOFT / 2001.12)


 PUMPKIN SOFT の第1作目。多分、純愛系VNを狙っていたものと思われるが、その超越したシステム周りのバグの多さに、おちおちとストーリーを追っていられない。これが嘘や誇張でないことは、 2ちゃんねる 「ひなたのおか」スレ を見るとわかるだろう。レビューとしては こちらがお勧めか? こっち には「そもそも起動しない」というレポートが上がっているが、最新版のパッチを当てると、一応、動作はするようになる。いろいろと無残だが。

 このゲーム、そもそもは主人公がマップ上を移動して、攻略対象キャラを選んで行くタイプのもので、「シックパラメーター」によって、行動回数が制限される仕様に「するつもり」だったらしい。実際にシステム画面とペラ紙の説明書から、その意図「だけ」ははっきりとわかる。だが、実際には、一度読んだ場面(ゲーム世界内の時間)の管理が全くできていないのに、「ゲーム内の時間を巻き戻す」なんていう余計な機能を組み込むものだから、訳の分からないところで、何度も同じ話を聞かされた挙句、(多分、フラグの管理もできてないために)勝手に終了して、スタート画面に戻るといった現象が発生したりする。そんな無駄な所に手を回すぐらいなら、はじめから任意位置でセーブできるようにシステムを組む方が早いと思うのだが、これってどうよ?

 皆様のご批判に、さすがのソフトハウスもまずいと思ったのか、「一日の行動は1ターン」という制限を設けることで、これに対応。それでも、選択の組み合わせによっては、この現象が依然として起こり続けているのだから、始末に終えない。商業作品として、こんなものが販売されていることが不思議なぐらいである。

 パッケージ絵には5人、キャラクターが描いているのだが・・・
 「先生!攻略対象は、この中のどこにいるのですか?」
という、これまた意表を突いた攻撃。一体、何を考えているのでしょうか?(藁。

 ということで、一応、説明しておくと、この作品に出てくる女の子は4人。うち一人は既にあぼーんしていて、回想シーンにしか出てこないのだが、「焼き芋マニア」千里シナリオでは重要な役割を果たす。つまり、元恋人である死人にまだ未練があるのでは、と千里の気持ちが揺らぐ訳ですね。この辺、「死人は無敵だ・・・」という、五代くん@めぞん一刻の台詞を思い出します。ここから、「死人、これ最強。ただし、永遠の世界に連れて行かれるという、両刃の剣。素人にはお勧めできない。」といった展開になるわけです。もう一点、このシナリオでは、主人公の親友、楓が大活躍する。主人公は不治の病にかかって、2年間の闘病生活に入っていたのだが、死を直前に控えて、短い安定期に入り、故郷に戻ってきていた。さて、発病する前には主人公と千里・楓は3人でうまくやっていたのだが、この2年間に千里と楓が「デキてしまったのでは?」という疑惑が急浮上。この辺のストーリー展開は悪くないのだが、何の選択の余地もなく、それは千里と主人公をくっつけようとした楓の策略であったことが明らかになる。まあ、この一件で、主人公が千里に恋愛感情を持っていることを再認識する訳だが、「寝取られ」エンドがないというのは、残念な所だ。 。

 次は雲雀。楓の妹で巫女さん。私は別にハアハアしませんが、その筋の人には大人気らしいですね>巫女さん(お。このゲーム、始めは千里か雲雀のどちらかだけを追いかけていれば、問題なく話しが進むので、巫女さん狙いなら、ひたすらに雲雀をストーキングしる。「神社の祭りで舞を舞うのに、人手が足りないから、手伝ってくれ」という話から、主人公・雲雀・楓の3人で練習を始めるのだが、雲雀が死病の主人公になびいて行く姿を見て、兄の楓は「妹と別れろ」と主人公に迫る。この辺の「友情と、妹を思う気持ちの板ばさみ」というのは、いかにも浪曲的な展開で、好感が持てる。結局、雲雀は兄よりも恋人を選ぶ訳だが、この辺、「妹属性」な人には堪えられない展開なのかも知れず。

 最後に梢。主人公の主治医の娘で「ボク」女。年齢不詳だが、ランドセルを背負っていても不思議はなさそうな雰囲気。彼女のシナリオに乗るには、千里シナリオを12月21日まで進めて、そこから選択になる。これ以上の情報は、(私の環境では)なぜか22日以降に進めないので不明。

 結論、プロットのセンスは悪くないと思うが、「オネエや893、侍の焼き芋屋」みたいな、力の抜けるテキストはいかがなものか。あと、ゲームにしては、プレイヤーの選択の余地が少なすぎる。千里シナリオなら、「彼女の真意を聞き出す/やめておく」、雲雀シナリオなら「彼女の前から立ち去る/断固、居座る」みたいな選択があってもよかったのでは?


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