「D.C.」

(Circus/ 2002.6.29)


 「曲芸商法」で有名な「 Circus」の有名作品。関連作品がいろいろと出ているようだが、さくらと音夢のシナリオだけ読めば、この作品でやりたいだろうことはわかるはずなので、中古で投売りされている無印をプレイすれば十分だと思われ。リアル妹のもつイヤさ(うっとおしさ)はよく表現されていると思うが、世界観の設定そのものは、もはやありきたりな水準で目新しさはない。

さくら・音夢シナリオを一言で纏めると「主観の外部に存在する世界が、他人によって作られた虚構だった」というもので、萌先輩はこれを逆に描いた(つまり、現に存在する世界から虚構世界に逃げ出した彼女を「現実の世界」に引き戻した)ものに過ぎない。音夢の病気も「想いが心のキャパシティを超えたため」とかいう、わかったようなわからないような説明だし、なんかどこかで見たような設定だなと思ったら、minoriの「Wind -a breath of heart」(2002年4月19日発売)も同じような構造を持っているわけだ。

 もっとも、この作品をプレイする人の大多数は、「私がリアルに認識している世界は、実はニャントロ星人の見ている夢なのでは?」といった哲学的な問いに興味があるわけではなく、単に「いもうと(病弱系)」や「いもうと(炉里)」や「ネコ耳メイド」なんかがイイ!だけだろう。それほど長い作品でもないので、こういうのが好きな人が手軽にプレイするにはよいのではなかろうか。正直、私には退屈だったが。


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